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【第一巻発売中】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
代理戦争編

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第258話 オケアノスvs火緋色金開幕

 聞きたいことも聞けたので、僕はサウナ室を出た。

 最後、ロゼッタさんは僕にこう言った。


『他人に畏怖を抱いたのはこれで3度目かな。吾輩も君はすでに完成された素材だと思っていた。成長の余地はさほど無いと思っていた。だが、それは誤りだったわけだ。これ程嬉しい誤算は無いよ。君とチームを組んで良かった。君が完成していく様を特等席で観察できる。人の脳を研究する身として、君の成長を間近で見られることはとてつもなく大きい。いいよシキ君……クレイジーに暴れまくれ』


 ただ成長しているってだけの話なのに、ロゼッタさんは大げさだ。

 タオルからいつもの服に着替えて、エレベーターでメインシップの艦上へ出る。


 このスピカ・セーラスは会場の上を飛んでいる。僕はスピカ・セーラスの上に大の字で寝転がって、空――宇宙を見上げる。


 透明な膜の先に見える宇宙は星々に照らされていて、綺麗だった。


「下が騒がしくなってきた」


 そろそろ試合か。僕はリストバンドを確認する。

 今回はスピカ・セーラスからスタート。序盤は艦上から相手のスペースガールを狙撃する。シノハさんの姿を確認できたら倒しに行く。それだけ。後は自由。


「あー、いたいた。こんなとこでなーにしてんの?」


 僕は体を起こし、後ろを見る。

 そこには逆立ちのラビちゃんが居た。


「な、なんで逆立ち……?」

「普通に歩くのに飽きてたからだよっと!」


 ラビちゃんはジャンプして頭と足の位置を入れ替える。


「どう? シノハちゃんに勝てそう?」

「さっきロゼッタさんにも同じこと聞かれたよ。大丈夫。なんとかなると思う」

「一応私もシノハちゃんの動画見たけどさ~、ジャブだけ警戒してもダメだよ。あの反射神経もエグいエグい。正面からじゃどんな攻撃も回避しそうだ」


 このゲームの中では反射神経・動体視力・身体能力全て大幅に上昇している。だから上級者レベルになると正面からの射撃ならば躱せてしまう。


 シノハさんは上の上、トップレベルの反応の持ち主。ラビちゃんの言う通り、正面からじゃ如何なる射撃にも反応するだろうね。


 だけど、


「それも含めて大丈夫。僕、あの人より反応が良い子を知っているし……倒し方も心得ている」

「ほ~、頼もしいね」

「ラビちゃんこそ、あの姉妹ちゃんを倒せる?」

「うーん、どうだろうね。昔のアネモネちゃんは良くて中の上ってレベルだったけど、ログを見るにかなり上達している。前は居なかった妹のネモフィラちゃんの存在もあるし、一筋縄じゃいかない。それになーんか隠し玉を持ってそうなんだよね……」


 あの自信家のラビちゃんが『勝てる』と断言しないなんて珍しい。

 それだけの強敵なんだ。


「なんとかするけどさ。シキちゃんには任せられないし」

「う、うん。2人ともかなり接近してくるし、常に2人行動だからね……あまり戦いたくない。緊張するから」

「でも前回は1対2でも勝てたじゃない」

「アレは色々と特殊で……相手の片方が慣れた相手、ニコさんだったっていうのもあるし、ペテルさんもあまりプレッシャーを与えてくるタイプじゃなかったから……」

「あ~、そっかそっか。緊張の度合いは相手にもよるんだっけ」

「姉妹ちゃん、特にアネモネさんは恐ろしい……グイグイ来るタイプは僕、すっごく緊張しちゃうから。お願いラビちゃん、絶対倒して!」

「どこまでいっても(いん)の性分は変わらないね~」


 僕はラビちゃんの左手を、右手で掴む。


「え? どったのシキちゃん……」

「前回の戦いと言えばさ……」


 ラビちゃんは体を強張らせて、顔を僅かに紅潮させた。


「ねぇ、ラビちゃん……」

「え? えぇ!? ちょ、シキちゃん……いきなりそんなっ……!」


 僕はラビちゃんの耳に口を寄せて、呟く。


「――僕のバニー姿をシーナさんに見せたって、ホント?」

「……」


 ラビちゃんは逃げようとするけど、僕はラビちゃんの左腕を脇に挟んで捕まえる。


「さ、さっき、シーナさんから聞いたよっ! ぼぼ、僕の……バニーガール姿の3D映像を被ったって! そそそ、それもすんごく……え、エッチな感じで……!」

「いやいや! シキちゃん! アレはやむを得ずだね! 隙を作るために仕方なくだよ仕方なく! 戦術だよ戦術!」


 反省の色なし。


「……知ってるラビちゃん? 仮想空間では痛みは最初からカットされてるけどね、こういう感覚は設定しないとカットされないんだよ?」


 僕はとあるアイテムを実体化させる。

 それは『くすぐり棒』と呼ばれるアイテム。プラスチックの棒の先に羽毛でできた玉が付いている道具だ。


「ちょ、シキちゃん……まさか、覚えてるの!?」

「……胸の周り、だよね。ラビちゃんの弱いとこ。子供の頃、ダーツで僕が勝った時に教えてくれたよね……!」

「待ってシキちゃん! 試合前にシャレになら――」


 僕は服の隙間からくすぐり棒を押し込み、ラビちゃんの胸の周囲をくすぐる。


「にゃははははははは!? ななな、なんでぇ!? なんでこの感触はデフォでカットしてくれてないのゲームマスター様ぁ!!?」

「も、もうあのバニー写真は捨てること! それに、僕に化けるのもやめること! わ、わかったぁ!?」


 さすがの僕も怒り心頭だよ!

 艦内の出来事だったから、外に映像は流れなかった。けど、もしも映像で流れていたら……仮想の姿だとしても恥ずかしくて死ぬ!


「お、お許しよぉ……! し、しかし……陰キャな子に責められるこのシチュエーションは中々捨てがたい部分もある……この責め慣れてない感じがグッドぉ……!」


(ぜ、全然反省してない……!?)


 頬を膨らませて、更にくすぐりを強めようとした時だった。青い稲妻が僕らの全身に走った。


「このタイミング!?」

「危なかった……あと少しでおしっこ漏らすとこだったぁ……!」


 全身の感覚が消え、視界が一変する。

 僕はスピカ・セーラスの格納庫に転送されていた。


『ステージ名・廃都市3。戦闘開始します』

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スピンオフ『シスター・イズ・バーサーカー』もよろしくお願いします。 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
開戦寸前でやることは擽り尋問ってw ガッチガチな緊張感からのスタートよりは全然大丈夫なんだろうけど
惜しい、逃げ切られた! やはりラビちゃんは強敵である。 エースは何れも強敵だけど、ヒヒイロカネはエース以外にも隙が見えないのが恐ろしいですよね。 純粋に強兵であるのはともかく、大型兵器とΩアーツの詳…
更新お疲れ様です。 いよいよ試合開始ですなぁ…。ヤンデレボクサーに謎ツインズ…一筋縄では行かない(多分データにない隠し技持ってるだろうし)でしょうが、シキちゃん達に勝って欲しいですね! あ、アワード…
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