第256話 星王観戦
VIPルームA。オケアノスvs火緋色金観戦室。
いまここに錚々たるメンバーが揃っていた。
第1スペースコロニー・フリーパーチの王『トゥルー』
第2スペースコロニー・火緋色金の王『PPP』
第3スペースコロニー・オケアノスの王『六仙』
第4スペースコロニー・狐倶里の王『狐姫』
第5スペースコロニー・KnightNightの王『マザー=フリル』
加えて、六仙の副官ネスとオケアノスマスコットのソルニャーが居る。
「騒々しいな。なぜ各コロニーの王が揃っているんだい?」
呆れたように六仙が聞くと、まず狐姫が反応した。
「この代理戦争の決勝戦ですからね。注目するのは当然です」
「裏では狐倶里とKnightNightの試合をやっているんですよ?」
「ふっふっふ!」
マザーは高らかに笑い、
「最下位争いなんてわたくし達も視聴者も興味ないですわ!」
「最終戦を戦うプレイヤーの身にもなりなよ……」
フリーパーチの王トゥルーはソルニャーの頭の上に寝そべる。
「もうウチらと戦う事は無いんスから、別に見られてもいいじゃないッスか」
「そうだけどさぁ……落ち着かないよ」
「あらあら。いつも冷静な六仙さんも、最終戦はやはり緊張しますか」
「からかわないでくださいよ狐姫さん。これの結果でアンノウン……未知の惑星に行けるかどうかが決まるのですから、そりゃ緊張しますって」
六仙はここまで黙っているPPPに視線を向ける。
「ところで、君はこの人数が気にならないのかい? PPP」
現在、この部屋では右から順に六仙、狐姫、マザー、PPPの順に座っている(ネス・ソルニャー・トゥルーは後ろの空いた空間に居る)。六仙から1番遠い所に居るPPPはひじ掛けに頬杖をつき、小さな声で話す。
「別にいいだろう。この程度でとやかく言う必要は無い」
「ふーん」
六仙はモニターに視線を移す。
「契約は忘れないでよPPP。もし僕らが勝ったら大会終了後から60日間、全てのコロニーはオケアノスに侵攻できない」
「いちいち言わなくともわかっている」
「その辺は心配ないッスよ」
トゥルーが会話に割り込む。
「契約破ったらマジで、ウチが侵略側を滅ぼすんで。たとえ3つのコロニーが手を組んで契約を破ったとしても、全部ウチが始末しますから、ご安心くださいッス」
トゥルーの穏やかな威圧。
六仙、PPP、狐姫、マザーに至るまで全員が表情を強張らせる。
たとえ自由主義のフリーパーチと言えど、トゥルーが本気で声掛けをすれば住民は手を貸すだろう。フリーパーチは原初のコロニーにしてもっとも人数も兵器も多いコロニー。もしフリーパーチが本気を出したら、他の4つのコロニーが協力しなければ対応できない。トゥルーが刺したこの釘を、無視できる者はいない。
「にゃんでもいいから、ソルニャーは牛丼が食べたいにゃ~」
部屋に漂った緊張感を、ソルニャーの腹の音がほぐしていく。
「やれやれ。ネス君、フロントに連絡して牛丼を手配してくれ」
「はい」
「タマネギは抜きで頼むにゃ~」
六仙はモニターに集中する。
「さぁて、今回はどんな面白いことをしてくれるのかな」
代理戦争最終戦を待ちわびるのはこの部屋の人間だけじゃない。
会場に居る人間、各コロニーに居る人間、エンジョイ勢も、ランクマッチ勢も、アドベンチャー勢も注目している。
シキの住んでいる街ジョリー・ロジャーの酒場はこの戦いを肴に盛り上がっている。
やむを得ない理由でログインできない者達はリアルからスマホやPCを通して観戦している(時間の流れが違うため、完全なリアルタイム視聴ではない)。
インフィニティ・スペースの歴史に刻まれる戦い、一大イベント最後の戦いが、じきに始まる。





