第225話 ローションorバニーガールor百合百合演劇!?
9月19日木曜日。
今日、教室の電子黒板には……卑猥なタイトルが並んでいた。
---文化祭 出し物案---
・ぬるぬるっ!? ローションスク水大相撲!
・どきっ! 女の子だらけの運動会!
・瞬き厳禁! 百合百合演劇!(濡れ場もあるヨ♪)
・あの子のハートを盗め! 合コンデスマッチ!
・捕まえたらご褒美あげる♡ バニーガール鬼ごっこ!
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他にも多数の下心満載企画が並んでいる。
提案したのは全部、僕の後ろの席に居るおじさんの心を持つ女子高生だ。
「……ぐへへへ。レイちゃんはなにがいいかな~? ローション? 百合百合演劇?」
(まったくこの子は……!)
体育祭の次は文化祭です。高校生の秋は忙しいです。
今日は9月19日。文化祭は10月25日~10月26日(2日開催)。約5週間後である。今は文化祭の出し物を決めるためにクラス会議をしているところだ。
クラス委員はあの真面目な竹葉さんだし、無難な出し物に決まると……そう思っていた。
問題は文化祭実行委員の芹沢さんで、芹沢さんは重度の千尋ちゃんファンだったのだ。そのせいで、千尋ちゃんの出した案を全て従順に受け入れてしまっている。
先生も千尋ちゃん相手には強く出られないのか、止める素振りを見せない。
こ、このままでは……とんでもない出し物になってしまう。
「さぁって、どうするレイちゃん? ここからこの状況を打破できるかな~?」
うぐぐ……このままじゃまずい。この教室の風紀が死んでしまう! どれもこれも恥ずかし過ぎる……!
(いま千尋ちゃんが出した無数の案……どれも酷い。どれを選んでも地獄)
ならば、案を足すしかない。
だけど、この空気……千尋ちゃん以外が案を出しにくいこの空気で、僕が手を挙げられるはずもない。
(千尋ちゃんが出した案が多いことで、幸いにも1つぐらい追加されても誰も気づかない。やることは決まった……)
「はい。それじゃアイディアも出揃ったし、一旦休憩ね。10分後に投票を始めます。この10分の間に考えをまとめてね」
竹葉さんが場を中断する。
休憩タイム。
席から立ち上がり、右往左往するクラスメイト達。
黒板から、皆の意識が逸れるのを待つ。
――休憩タイム5分経過。
「レイちゃん……?」
僕は気配を極限まで薄め、クラスメイトの死角を縫って歩く。
そのまま黒板の前にいる竹葉さんの背中に隠れ、電子黒板に付属するキーボードから案を1つ追加して、素早く退避。
休憩タイムが終わる前に問題なく着席。
「……君には全員の視野が見えているのかな~?」
恨めしそうな声でラビちゃんは言う。
「……見えてはいないよ。わかるだけ」
「……まったくこの子は……」
ちなみに、僕が追加したのは千尋ちゃんが提案していてもおかしくないギリギリのラインの出し物だ。
たとえばここで『縁日』のような無難な案を足した場合、絶対に誰かが追加したものとバレる。最悪犯人探しが始まってしまう。だから無難な案は避けた。
無難ではないけど、僕が足したアイディアはこの中では1番マシなやつ。だから、気付きさえすれば票は集中するはず。
「あ」
竹葉さんは黒板を見た後に僕の方を向いた。
(ひぃ!?)
僕はつい肩を震わせる。
竹葉さん、勘が鋭い。きっと案が足されたことに気づいて、しかもそれが僕の仕業だとわかったみたいだ。
竹葉さんは驚いたような目で僕を見た後、優しいため息をつき、正面を向く。
「はい。休憩おしまい。それでは多数決で決めます。順々に出し物の名前を読み上げるので、やりたい出し物の時に挙手してください」
多数決の結果、全体の3分の2の票を集め、僕が追加した案が採用された。
「はい。投票の結果、2年A組の出し物は……『最高のおもてなし。ゴスロリ喫茶』で決定です」
ゴスロリ。
ゴシック(退廃的)的かつロリータ(少女的)的なファッションのこと。黒や白を基調とした服が多い。
「……なになにレイちゃん。ゴスロリ着たかったの?」
「……そういうわけでは……」
ゴスロリならば露出の多い派手な格好にはなりえない。
メイド喫茶も考えたけど、メイド喫茶だと抜け道がありそうで怖かった。千尋ちゃんならビキニメイドとかやりかねない……だからこれがベストのはず。
着たいわけじゃない。けど、ほら、僕は……黒が好きだから……めちゃくちゃ着たいわけじゃないけど、その……どうせなにかしら目立つ服を着るのなら、ゴスロリが良かった。別に、着たいわけじゃない。断じて。
僕のXに『スナイパー・イズ・ボッチ』の相関図を投稿しました!
面白おかしく書いてあって、大体の振り返りもできるのでぜひご覧ください(そして拡散してください)
『スナイパー・イズ・ボッチ』を勧める際にはぜひ使ってもらって構いません。
……相関図で振り返ってみるとロゼッタやばいな。





