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【第一巻発売中】スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
代理戦争編

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第222話 優秀な捨て駒

「ご遠慮します」


 突然の提案……をキッパリ断る僕。

 間を置かず断られたことに驚いたのか、シーナさんは目をパチパチとさせる。


「まさかシキさんに断られるとは思いませんでした。シキさんは人を撃つのが大好きな方なので、確実に受けていただけると踏んでいたのですが」

「まさかシーナさんまで僕のこと戦闘狂だと思ってます?」


 偏見ばかりで困ったものです。


「次の戦いは負けられないのです。ここで易々とシーナさんに情報を渡すような真似はしません」


 自身の快楽よりも、今は勝利が大切。


「なるほど」

「それにですね、代理戦争を楽しむためにも、今は戦うべきでは無いと僕は思うのです」

「それはちょっと意味がわかりません」


 僕は咳ばらいを挟み、例え話を始める。


「シーナさん……もしもシーナさんが回らないお寿司屋さんの予約を明日に取っていたとします」

「は、はい……?」

「そのお寿司屋さんは超人気店で、時間をかけてようやく取れた予約です。では、もしも今日、誰かに回転寿司に誘われたとして、行きますか?」

「それは……行かないですね。明日、美味しいお寿司を食べられるのですから」

「ですよね。今日回転寿司を食べてしまったら、明日のお寿司を十分に楽しむことはできません。舌が寿司に慣れてしまいますから。それと同じです!」


 僕が言うと、その場にいる全員がポカーンとした。

 なんだか恥ずかしくなるけど、僕は話を続ける。


「つ、つまりですね! せっかく代理戦争という大きな舞台で戦えるのに、ここでつまみ食いするのはもったいないという話です。――僕はここではなく、代理戦争の場で、シーナさん達を最高に美味しくいただき……」


 僕はそこまで口にして、両手で自分の口を塞いだ。


「す、すみません! いい、今のは失言でしたぁ!!」

「ははは!」


 クレナイさんが肩を組んでくる。


「そうだよなぁシキ! わかってるぜお前は! そうかそうか。お前にとってオレ達はご馳走か! 高級寿司か! オレはウニか? 大トロか? それとも茶碗蒸しかぁ?」

「ままま、待ってください! 今のはこ、言葉の綾というものでぇ……!」

「へぇ、舐め腐ってくれるじゃないのシキ……! この私を海苔に巻かれた(うお)扱いとはね……!」

「違いますニコさん! だから、さっきのは失言で……!」


「いやはや、素晴らしい煽りセンス。この吾輩ですら引くレベルだ」

「シキちゃんはシキちゃんだねぇ」


「煽ったつもりは無いんですよぉ……! 誰か信じてくださぁい!!」


 うわぁ……失敗した。本当に僕は余計なことを言うんだから……!


「ふふっ。断られてしまったのなら仕方ありません。今日は帰りましょう」

「すみません。シーナさん……」

「謝る必要なんて1つもありません。こちらこそ不躾な提案をしてしまい申し訳ありませんでした。勝負は9月21日につけましょう」

「は、はい……!」


 シーナさんは扉の前まで歩いて、足を止め、こちらを振り返る。


「ちなみに、私はえんがわが好きです」


(だからなんですか……!?)


 シーナさん、ニコさん、クレナイさんは部屋を去る。だけど、ペテルさんだけは残った。


「……シキさん」

「は、はい!」

「今日の戦い振りを見てわかりました。あなたは()()()()()()ですね」

「はい……?」

「自分は……残念ながら()()()()()()()です」


 センスの話かな?

 ラビちゃんとかロゼッタさんに言うならわかるけど……、


「ただ、自分は誰よりも己を知っている。高望みはしない。過大評価も過小評価もしない」

「は、はい……」

「その上で、宣言します」


 ペテルさんはポケットから右手を出し、力のこもってない手ぶりで、僕を指さした。



「――あなたを、15分間足止めする。絶対に」



 ペテルさんは背中を丸め、部屋を去る。


「変な子だね」

「うん。不思議な人だった」

「シキちゃん、なにか感じ取ったみたいだね」


 僕は首を横に振る。


「逆だよ。何も感じなかったんだ。強い人ってやっぱりオーラがある。ツバサさんも六仙さんも……白い流星も、一目見ただけで『この人は強い』ってわかった。大きなオーラが見えた。でも、あの人には何も無かった。覇気や殺気、やる気や負けん気も……何もなかった」


 まるで警戒できなかった。


「彼女は『優秀な捨て駒』だよ」


 ロゼッタさんが言う。


「捨て駒……ですか」

「ああ。彼女ほどその言葉が似合う駒もいない。指揮官としては、手元に欲しい駒の1つではあるね」


 ペテルさん……これまで出会ったどのタイプとも違う。

 手合わせするのが楽しみだ。


「おいお前ら、チームのメッセージボックス確認したか?」

「いいや。何か来ているのかい?」

「見てみろって」


 僕達はメッセージボックスを確認する。


 送信元は……『ギンガ速報』。


『拝啓クレイジー・バレット様

 突然のご連絡申し訳ございません。わたくしはギンガという者です。ギンガ速報というニュースサイトの編集長を務めております。我々は主にインフィニティ・スペース内のニュース記事を取り扱っております。

 つきましてはクレイジー・バレット様の特集記事を書くことへのご許可を頂きたいのです。リーダーであるシキ様をメインに記事を書くつもりです。不評・悪評の類は書きません。ぜひとも、クレイジー・バレット様の魅力を書き出せたらと考えております』


 後にも文章は続くけど、要約すると『クレイジー・バレットの記事を書かせてください』だね。


「え……えぇ!? き、記事!? 僕らが記事に!?」

「どうでもいいね~」


 ラビちゃんはそう言って欠伸を挟む。


「書きたければ勝手に書けばいいものを。律義だねぇ」

「ギンガって、どうかで聞いたことあるような気もするなぁ」


 ラビちゃんもロゼッタさんも塩対応だ。


「な、なんでそんなしらっとしてるんですか!? 記事ですよ記事! ネット記事ですよ!」

「だって、私もロゼも何百回と記事になってるからね~すでに」


 そうだ。この2人はこのゲームを賑わせまくった人達だった!


「シキだって1度記事になったじゃないか。ほら、ラビとの熱烈なキ――」

「わーっ! それは忘れてください!」


 み、みんな冷静だ……僕だけか。慌ててるの。


「で、返事はどうするリーダー?」

「そ、それは……どうしましょう」

「別に許可していいんじゃないかな。記者なんて無許可で身勝手に書くものだ。でも、この相手はきちっと許可を取りに来ている。記者の中ではマシな方だと思うよ」

「悪いことは書かないって言ってるし。このままA級までトントン拍子でいくならさ、遅かれ早かれ誰かに書かれるよ」

「そ、そっかぁ……じゃあ、オーケーってことで……」

「了解。んじゃ、あたしの方から返信しとく」


 さっきのランクマッチ、ちょっとはしゃぎすぎたかな。

 まさか記者にまで目を付けられるとは。反省反省……。


「そ、それでは、今日のところは解散とします。み、皆さん、お疲れ様でした……」


 こうして、僕の作ったチーム、クレイジー・バレットの初ランクマッチ戦は終わりを迎えた。

 次の戦いは代理戦争第三回戦。vsフリーパーチだ。

1週間程休載します。

ただ都合2回程休載中も更新する可能性がございます。


もう何度と宣伝していますが、2/20に第一巻が発売します。もう発売まで一か月を切っております。全身全霊をかけて作り上げました。表紙・口絵・挿絵全て、ヤバいです。特に表紙が良い……早く見せたい……! 帯も完璧な出来でした。タイトルロゴも素晴らしい。もう、全部凄いです。この作品のファンならば絶対買って頂きたいものになっております。WEB版では未公開の情報もちらほら入っています。人生初重版を目指しているので、何卒宜しくお願い致します。



それでは、次の更新でまたお会いしましょう!m(__)m

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スピンオフ『シスター・イズ・バーサーカー』もよろしくお願いします。 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
例えはまあ、伝え方が煽りに繋がっちゃったのが笑える 記事になるとはそれだけインパクトが高かった試合内容だったんでしょうねぇー
休載承知しました&書籍版楽しみです。 馬鹿な、シキが『待て』をしただと⋯⋯ 予約した高級寿司を美味しく食べる為に待つ理性があったんだ⋯⋯(酷い言い分) 才能不足の自覚のある優秀な捨て駒ですか。なん…
更新お疲れ様です。 つまりペテルさんは某有名少年漫画の主人公風に言うなら「落ちこぼれでも必死に努力すればエリートに食らい付けますよ」宣言した訳か…。 こういうタイプはハングリー精神が凄い=自分の仕事…
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