第217話 E級ランクマッチ開幕!
僕、ラビちゃん、ロゼッタさん、イヴさんは運営さんが用意したオペレーター室で試合開始を待つ。
武装縛りでのE級ランクマッチまであと30分。
僕はラビちゃんと横並びでソファーに座り、暇を潰す。
「ねぇねぇ、シキちゃんは武器どれでいくの?」
「それはやっぱり……」
僕は狙撃銃スタークを実体化させる。
「スタークね。でもE級だとかなり性能制限喰らうんじゃない?」
B級以下のランクマッチでは高レア武装に対する性能制限がある。低級ほど制限がきつい。スタークはレベルを上げるごとに高レアになっており、今はE級の規格を超過してしまっている。威力・弾速・射程・機能、それぞれにかなりの弱体化が入るだろう。
「たとえ性能が半減しても、この銃が一番手に慣れているから」
「そっか」
「ラビちゃんは?」
ラビちゃんはダガー端末を出す。
「私はこれ~! セレナーデちゃん~」
ブラックライトのダガーだね。
ラビちゃんはダガーを手もとで遊ばせる。
「ダガー1本は強気だね……」
「ENめっちゃもつし、リーチが無い分威力は高い。動作音は0。暗いとこなら闇に刀身が紛れる。これさえあればなんとかなるよ」
僕はロゼッタさんに目を向ける。
ロゼッタさんはテーブルで優雅にコーヒーを嗜んでいる。
「ロゼッタさんは……アレですよね」
ロゼッタさんは無言でチェーンソーを実体化させる。
「そんなうるさいのよく使えるよね~」
ラビちゃんの武器とは対照的だ。動作音はうるさくて、サイズは大きくて、めちゃくちゃに目立つ。
ふとイヴさんのいるオペレーター席に目を向けると、イヴさんはタバコを揺らしながら電磁スクリーンを大量に展開していた。
イヴさんはスクリーンに書かれた文字を読み上げる。
「オペレーターはそれぞれのカメラと、レーダー情報……俯瞰の視点を確認できる。あとMAPも見られるのか。MAPには自チームメンバーの位置は全部載るみたいだな。それにプレイヤーの耐久値や武器の状況とかも細かく閲覧可能っと」
オペレーターの権限を確認しているみたいだ。
僕はイヴさんの後ろに立つ。
「オペレーターって色々わかるんですね」
「ああ。ツールのラインナップもいいぞ。レーザーを捕捉できれば『弾道計算機』でレーザーの撃ち手の場所を予測できるし、現在の味方の位置から最適な合流地点を『中間地点計算機』で割り出すこともできる」
「これだけ色々あると使いこなすの大変そうですね」
「まぁな。でも面白そうだ」
イヴさんがノリ気で良かった。
僕は部屋を見回す。
「そういえば、ソルニャーは来てないんですか?」
「NPCといえど中には入れないんだと。アイツはExルームで牛丼を食べてるよ」
エクストラルーム……最初のランクマッチの時にシーナさん達と合流した場所か。東京ドームみたいにだだっ広い空間に、テーブルやバーカウンターが大量にある観戦部屋。あそこは人が多くて好きじゃない……。
「もうすぐかな」
僕はチームメンバーを1人ずつ見る。
ラビちゃんとロゼッタさんの服装は代理戦争の時と同じだ。ラビちゃんはパーカー女子、ロゼッタさんは仮面女子。2人共正体が割れると面倒だから仕方ない。
僕は全員の前に立つ。
「え~っと……ですね」
これは初陣だ。リーダーとして、何か言わないと。
「あ、あの、これがクレイジー・バレットの初陣となりますが、緊張せずにですね……」
「説得力ないぞリーダー」
「シキちゃん! バシッと行こうぜ!」
「深呼吸深呼吸」
僕はスーハーと呼吸を整える。
「……僕は、リーダーとしては凄く、めちゃくちゃ、不甲斐ないと思います」
ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ですが、このチームを作った者としての責任感はあります。不器用ながらも、精一杯……『チーム』を作っていく所存です。リーダーとして指示も出しますが、気軽に却下してもらっていいです。このチームのメンバーはそれぞれ面白いアイディアを持っています。自分がより面白いアイディアを持っていると思ったのなら、遠慮せず、立案してください」
緊張するぅ……。
けど、きっちり締めないと。だって最初だもん。リーダーとしての責務を果たすんだ。
「最後に、このチームのスローガンを発表します! スローガンは……『面白おかしく遊ぼうぜ』! です!」
「ははっ! なんだそりゃ」
「『遊ぼうぜ』って、シキちゃんらしくなーい。けど気に入ったぜ!」
「いいねぇ。大好きだよ、そのスローガン」
スローガンちゃんと言えた! 偉いぞ僕! 後でパフェを食べさせてあげよう!
これで、あとやりたいことは1つだけ! ましゅまろスマイルでもやった『アレ』だ!
「では!」
僕は勢いよく右手を前に出す。
「……」
沈黙。
3人共、キョトンとしている。
「あ、え~~~っとですね、これはその……みんなで手を重ねて、『えいえいおー』って感じのアレで……」
煙が出る程顔が熱くなる。
羞恥心に呼吸困難になりそうになった刹那、全身に青い稲妻が走った。
(こ、このタイミング~~~~~~っ!!?)
景色が一変する。
『転送終了しました。ステージ名・宇宙3。戦闘開始します』
気が付いたら、無重力空間に投げ出されていた。
『ごめんねシキちゃん! いやまさか、あのシキちゃんが円陣を求めているとは思わなくてさ!』
『すまんねシキ君。吾輩、そういうのは不慣れでね。次からは合わせるよ』
『いやしかし、右手出して顔真っ赤&涙目になってるお前の顔は傑作だったな』
皆さんのフォローが痛い……。
「って、ちょっと待って」
遠くに見える太陽。
星々の光。
太陽と星々に照らされ、真っ暗な海をプカプカ浮かぶ僕――
「宇宙って……どう戦うの!?」
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