第215話 チーム名を決めよう
チーム名会議スタート。
「怪盗ラビリンスとその仲間! ラビリンス一味!」
「却下だ。君が前に出過ぎだ」
「フェ○ーリ、マク○ーレン、ベン○レー」
「イヴ君、現実にある企業名はNGだよ」
「ウィ○チェスター、ベ○ッタ、ワ○サー……」
「シキ君、吾輩の話を聞いていたか?」
手詰まり。会議は難航する。
「ロゼはなんかないの? メーティスとか、グリーンアイスとかってロゼが考えたんでしょ? こういうの考えるの得意なんじゃない?」
ラビちゃんが聞くと、ロゼッタさんは腰に手を当てため息をついた。
「チーム名というのは難しくてね。響きも大切だし、意味もそのチームにちなんだものでないとならない。吾輩が作ったチームで、吾輩のワンマンチームならば、吾輩にちなんでいればOKだから簡単だった。しかしこのチームはそうはいかないだろう? 決してワンマンではない。全員から要素を拾わないとならない」
「そういや、メーティスってどういう意味だったんだ?」
「メーティスとは知恵の神の名さ。叡智の化身たる吾輩が作ったチームに、なんとも相応しい名前だろう?」
「確かにロゼってボインでウエスト細くてエロいけどさ、自分でエッチの化身って言うのはどうなの?」
「エッチではない叡智だ。二度と間違えるな」
全員から要素を拾う、か。
「これまでシキちゃんが出会ったチームにはどんな名前がいた?」
ラビちゃんの質問を受け、記憶を辿る。
「ましゅまろスマイル、紅蓮の翼……あと金兵党っていうチームもいたね」
「なんか甘そうな名前だね」
「紅蓮の翼はチームメンバーの名前から取ってましたよ。クレナイ、レン、ツバサで紅蓮の翼」
カムイさんが入って紅蓮の神翼に改名したらしいけど。
「じゃ、あたしらも名前から取ってみるか」
「シキ、ラビリンス、イヴァン、ロゼッタ。ん~、どう取っても無理だね。残念ながら吾輩達の名前は噛み合わせが悪いようだ」
うーん。と全員で唸る。
「この店の名前をお借りするのはどうですか? BLUEBIRD……」
「さすがに店に迷惑だよ」
「でもでも、色+名詞ってのはありだよねぇ~。グリーンピーマン! レッドアップル!」
「なんで色+食材なんだよ。普通色と合わせるなら動物とか、神獣とか……」
「ほ、ホワイトホースとかですかね……?」
「あたしらに馬要素も白要素も無いだろ。お前の服なんか黒じゃねぇか」
うーん。と更に唸る。
「吾輩達の共通項を出してみよう。そこから名前を考えてみようじゃないか」
「ウィー、アー、ガールズ!」
「そりゃ全チームそうだ」
「みんなプリティ! プリティガールズってのはどう?」
「「却下だ」」
ロゼッタさんとイヴさんが声を重ねる。
「あたしらはプリティって歳じゃねぇっての」
「文句ばっかり言ってないでさ、イヴちゃんもなんか出してよ!」
むー、と頬を膨らませるラビちゃん。イヴさんはタバコを揺らし、考え込む。
「尖ってるよな……色々」
「それは……そうですね」
全員、性格も能力もバランス型とは言えない。
「鋭利、シャープ……組み合わせが思いつきませんね……」
「もしくは尖っている物を名前にするのはアリだねぇ。剣とか、爪とか」
尖っている物。それなら――
「弾丸……はどうですか?」
僕が聞くと、ロゼッタさんは頷いてくれた。
「少しありきたりではあるが、バレットはアリだ。けどそれだけじゃ味気ない。味付けが必要だ」
「はいはーい!」
元気よくラビちゃんが手を挙げる。
「このタイミングでわたくし、皆さんの共通点を見つけもうした!」
「なにかね?」
「クレイジー! みんな狂ってるよねぇ! ね? ね?」
確かに僕以外は狂人じみた部分があるかなぁ……。
「怪盗にテロリストに戦闘狂。うん、あたし以外は確かにクレイジーだな」
「戦闘狂って、もしかして僕のことですかイヴさん?」
イヴさんは答えない。
「イヴさんは運転狂じゃないですか」
戦闘狂と言われた反撃に僕は言う。
「無理やり狂を付けるな。あたしは普通のラインだよ」
「この世界で四六時中運転しているとか正気じゃないです。普通は銃をいっぱい撃ちます!」
運転技術もクレイジーレベルだし。
「クレイジー……これにバレットを付けて、『Crazy-Bullet』」
クレイジーバレットか。響きは好きかも。
「略してクレバレ~」
「どこに飛ぶか予測できない狂った弾丸、我々に相応しいじゃないか。そのリーダーが正確無比な射撃をするというギャップも面白い」
これ以上深く考えるとドツボにハマりそうだし、いっか。
「いいですね。それでいきましょう!」
「ま、あたしだけは狂っていないと再度宣言しておくけどな」
「ウィー、アー、クレイジー♪」
「決まりだ」
チーム名:クレイジー・バレット
リーダー:シキ サブリーダー:イヴァン
「そんじゃあ登録しに行くかにゃ~」
「足出すぞ」
ラビちゃんとイヴさんが部屋を出ていく。僕も続こうとしたのだが、
「シキ君」
「はい?」
ロゼッタさんに呼び止められた。
「今回は吾輩が司会を変わったが、今度からはちゃんと君が仕切りたまえよ」
「え……!? いや、でも、それは……」
皆の前で司会進行とか、僕には難易度が高すぎる! でも、
「……ぼ、僕、リーダーですもんね……僕がやらなきゃいけませんよね……」
「それもあるが、理由はそれだけではない」
「ほ、他に何が……?」
「君ぐらいの能力があれば、これから先、他者を導く立場につくこともあるだろう。その時に困らぬよう今の内に『仕切り』を学んでほしいんだよ」
他者を、導く?
「いやいやいや! 僕に他の人を導くなんて無理ですよ!」
「だから、今の内にその『無理』を『可能』に変えろと言っているんだ」
ロゼッタさんは僕の頭をひと撫でして、部屋の扉を開く。
「才能は埋もれることも多い。だが、君の才能は輝きが強く過ぎる。いずれ、誰かが拾い上げるさ」
ロゼッタさんは部屋を去る。
「ろ、ロゼッタさんがまともなことを言っている」
先のことはともかく、今の僕はリーダーだ。ロゼッタさんの言う通り、仕切りから逃げてばかりもいられない。幸いにも、ラビちゃんもイヴさんも緊張しない相手。頑張って、次からは前に出てみよう。
その後、僕らはスペース・ステーションのオペレーションセンターに行った。
『はい。これで手続きは終了です』
窓口でNPCの女性人型ロボットと手続きを済ませ、チーム登録を完了させた。
「うし。じゃあ解散か?」
「そうですね」
『お待ちください』
ロボットに呼び止められる。
「はい? なんでしょうか」
『ちょうど1時間後、E級ランクマッチがありますが、エントリーしますか?』
「え!?」
想定外のチャンス。
僕らは顔を寄せ合い、コソコソ話をする。
「……E級だとバトルメンバーは3人まで。つーことは、あたしはオペレーターか。オペレーターとしてなら、あたしは別に出ても構わないぞ」
「……さすがに代理戦争前にラビちゃんやロゼッタさんの手の内を明かすのは……」
僕の手の内はすでにまぁまぁ晒してしまっているけど、ラビちゃんとロゼッタさんに関してはまだ誰もその武装構成や能力を知らないはずだ。ここで見せるのはもったいない。
「……確かにね。特にラビ君の武装は初見殺しのものも多いし」
「……でも、この機会を逃したくない気持ちもあるんですよね……」
年末までに残された時間は短い。だから出場はしたいんだけど、ランクマッチは映像記録が残る。他のコロニーにチェックされる可能性があるんだ。
総合的に考えて、今はやめておくかな……。
「……ふっふっふ。このラビちゃんに秘策があるよ」
「……もったいぶってないでさっさと言え」
「……縛りプレイをすればいいんだよ。武装1本縛り! 3人共、ランクマッチで使っていい武装は1つだけ! それなら大したデータは残らないでしょ?」
「……それはそうかもしれないけど、舐めプは印象悪くないか?」
「……なに言ってんのさ。E級は大半が初心者だよ? もし私達が本気でやったら酷い結果になるよ。そっちの方が印象悪くない?」
「……それもそうだな」
僕とロゼッタさんは声を重ねる。
「「乗った」」
というわけで、僕達のランクマッチ初戦が決まった。
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