第214話 チーム始動
9月18日水曜日。
僕は部屋でPCとにらめっこし、ランクマッチについて詳しく調べていた。
・チームランクはA~E
・チームポイントが10に達するとランク昇格
・ランクマッチで1位になるとチームポイントを3ポイントGET 2~3位で1ポイントGET 11位以下で-1ポイント
・チームキル数やランクマッチ参加数など、特殊実績が一定以上になると特殊ポイントが貰える(例:チームキル数100達成→特殊ポイント1GET)。特殊ポイントはランク昇格するまで消失しない。チームポイント+特殊ポイントの合計値が10になった場合もランク昇格。
・E→Dへの昇格に限りランクマッチを1度優勝すればOK
・バトルメンバー人数 E~C級2~3人 B級2~4人 A級4~5人
・オペレーターは全てのランク帯で1人まで
・メンバーの中でリーダーとサブリーダーを1人ずつ指定する必要あり(リーダーもしくはサブリーダーがチームを脱退した場合チームは解散となる)
・リーダーとサブリーダー以外は登録なしでもチームに参加可能(ただし無登録の場合助っ人扱いになり、報酬の分配は無く、助っ人の功績はチーム実績に記録されない)
・チームにはチーム名が必要
・スペースステーション オペレーションセンターにてチーム登録が必要
「ふむ」
E→Dは優勝すれば1発で昇格。最低1回のランクマッチで昇格できるわけだ。
特殊実績を加味しない場合、他の階級では少なくとも4回はランクマッチをやらないと昇格できない。Aランクに上がるまでに最低13回のランクマッチが必要。
ランクマッチは各階級毎月7度はやっているらしい。
年末までにAランクに上がることは不可能ではないけど、余裕があるわけでもない。これは今からでも動く必要があるね。
「仕方ない。みんなを集めよう。うぅ、緊張する……」
僕はインフィニティ・スペースにログイン。すでにフレンド登録しているチームメンバー3人に連絡をする。3人共都合よくログインしており、招集に応じてくれた。
ロゼッタさんが待ち合わせ場所にジョリーロジャーにある喫茶店『BLUEBIRD』を指定したので、そこを目指す。
BLUEBIRDに到着。クラシックな音楽が流れる洋風の喫茶店で、洒落た店だ。緊張しつつ中に入り、待ち合わせていることを(頑張って)伝えると、内階段で上がることができる2階の個室に案内してくれた。個室の中にはビリヤードやダーツといった娯楽品や多種多様な電子機器、ホワイトボード、大きな円卓、円卓を囲うように設置された半円のソファー等々があった。冷蔵庫などの家具も充実している。VIPルームというやつだろうか。
すでにソファーにはロゼッタさんの姿があった。
「こ、こんにちは!」
「こんにちはシキ君」
ロゼッタさんはクールに応え、グラスに入ったコーヒーをストローで飲んだ。
僕はソファーの端っこに座る。
「あの、ロゼッタさん。ここ、なんですか……?」
「この喫茶店は吾輩が所有していたアジトの1つさ。店主も吾輩の信奉者だ。前の大戦で大半のアジトは処分されたけど、偶然にも吾輩が1番気に入っていたこのアジトだけは残っていた」
ロゼッタさんは足を組み替え、
「アジトといっても、メーティスが無くなった今、ただのカフェと相違ない。ただの、吾輩に超優しいカフェだ。地下には訓練室や開発室もあってね、使いたければ好きに使えばいい。今はここで寝泊まりしているんだ」
地下に訓練室や開発室があるカフェはただのカフェではありません。
「まだ2人は来なさそうだね」
「そうですね……」
ロゼッタさんと2人きりか。
気まずい。もっとも、気まずいと思っているのは僕だけで、ロゼッタさんは楽し気だ。
「そうだシキ君、ビリヤードをやらないかい? 吾輩はこれが得意でね」
ロゼッタさんは部屋のビリヤード台に視線を向ける。
「ビリヤードですかぁ……」
あんまり面白いと思わないんだよなぁ。
「ある人には一切勝てなかったけど、それ以外の人物には負けたことが無いよ。どうかな?」
好きでは無いけど、会話を繋ぐよりはビリヤードで間を潰す方が楽だし、
「わかりました。やりましょう。でも……先に言っておくと」
「なにかな?」
「僕とやってもあまり面白く無いかと思います」
昔、梓羽ちゃんとビリヤードで勝負したことがある。勝負の後、梓羽ちゃんから『お姉ちゃんとやるビリヤードは死ぬほどつまらない』って言われて、それが軽くトラウマ……。
「ははは! 面白くないビリヤードか。是非ともやってみたいね。ほら、立ちたまえ。勝負だ」
意気揚々とビリヤードを始めたロゼッタさんだったが、勝負開始から30分後。
「……もう君とはやらん」
ソファーに大きく陣取り、いじけてしまった。
またやってしまった……。
「そうだ」
ロゼッタさんは指を鳴らす。
「ダーツならどうだ? ダーツならば――」
「だ、ダーツですか……」
僕が気まずそうな顔をすると、ロゼッタさんは肩を竦めた。
「やめておこうか」
なんかすみません。
「やっほー! 到~着!」
「よう。来たぞ」
ラビちゃんとイヴさんがちょうどいいタイミングで来てくれた。
「へぇ~、良い部屋だねぇ~。なんかテンション上がるね! こうやってチームでさ、豪勢な部屋に集まって会議とか! マフィアの集会みたい!」
「灰皿無いのか灰皿」
2人には座ってもらい、僕がホワイトボードの前に立つ。
「チーム登録するにあたって2つ、必要なことがありまして……今日はち、チーム名とリーダー、サブリーダーを決めたいと思いますぅ……あの、誰か司会進行変わってくれません?」
「ギブアップはえぇな」
仕切り役とか不適正過ぎる!
「吾輩が変わろう」
ロゼッタさんがホワイトボードの前に立ち、僕はソファーに座る。
「チーム名は時間がかかりそうだからね。まずはリーダーとサブリーダーからだ」
「それはもうシキちゃんと私でしょ! 私がリーダーで、シキちゃんがサブリーダー!」
「コイツにリーダーは任せられない。思いつきで何されるかわかったもんじゃないからな」
イヴさんが待ったをかける。
「ロゼッタがリーダーでシキがサブリーダーでどうだ? リーダー適正高いロゼッタにリーダーをやってもらって、このチームを作った人間だしシキにはサブリーダーをやってもらう。これがベターだろ」
別に僕はリーダーとかガラじゃないし、やりたくはないんだけども仕方ないか。
「シキ君がリーダーをやりなさい」
「えぇ!?」
まさかのロゼッタさんから命令口調での指名がきた。
「サブリーダーはイヴ君だ」
「ん? あたしか? なんで?」
「リーダーかサブリーダーが脱退するとチームは解散なのだろう? ならば吾輩とラビ君はリーダーをやるべきではない。吾輩もラビ君もその気質上、いつ辞めるかわからないからね。消去法で君達がリーダーだ」
そ、それは否定できない。
ロゼッタさんは前に『ルールの中の戦いは嫌い』だって言ってたし、ラビちゃんはいつ怪盗稼業に戻るかわからないもんなぁ……ロゼッタさんの判断は妥当か。ラビちゃんも舌を出して頭を掻いてるし。
「異論はないね?」
「はい……」
「ま、仕方ないか」
せめてサブリーダーがいいけど、巻き込んだイヴさんをリーダーに据えるのは流石に申し訳ない。
「それでは次にチーム名を決めようか」
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