727話 おじゃるさんが出てきた
「もう、良い。……もう、良いんだ。これからずっと、ずっとずっと私がハルを守るから……」
「ノーネームさん、逃げるお手伝いしてくれません?」
「んぅ」
「ダメですか……ノーネームさんも2人ぼっちじゃ嫌なんですね」
「しゅきぃ……♥」
完全に自分の世界モードになっちゃった姉さんをほっといてノーネームさんに相談するも、やっぱりこの子も自分の世界モードだからダメだった。
……や、逃げること自体はできるんだけども、すぐに捕まっての繰り返しになりそうだからなぁ……しかも泣いたりしそうで。
【草】
【草】
【悲報・カオス】
【ツッコミ担当が傷心してるからねぇ……】
【ノーネームちゃんも我欲でしか動かないし】
【こうやって笑えてるけどさ ハルちゃんのメンタル、ずたぼろなんだよね……これまでまったく、誰1人分からなかったくらいに隠し通せてたくらいには……このよく分かってなさそうなぽかんとしたお顔も、かわいいけどハルちゃんの心を犠牲にした結果の……】
【おいやめろ】
【やめろっていってるでしょ!!】
【おろろろろろ】
【くるしい】
【逃げる算段立ててるのがほほえましいけど、これ、たぶん心が完全に壊れることで安定してたハルちゃんが、愛情を注がれると少しだけ温められて揺らぐんだって、無意識でわかってるからなんだよね……】
【いつも好き勝手にしてるハルちゃんに癒やされてたのに、その癒やしが実はまがい物だったと知って……つらい】
【いつもかわいい幼女が、実はとんでもないトラウマ抱えてて嫌なことを理解できないからこそかわいかったって知る気持ち】
【 】
【 】
【あっ……避難所に居た人たちが複数人、リストバンドで……】
【かわいそう】
【仕方ないよ、こんなの】
【私はね、映画でもアニメでもかわいそうな展開はダメなの】
【わかる】
【すごくよく分かる】
【大人のモブがさくっとやられるのは気にならないのに子供や動物がそうなるのは拒否反応が出るんだよなぁ】
【ほんそれ】
【そのせいで名作でも話題作でも楽しめないものは楽しめないんだよ……ハルちゃん……】
【早く帰ってきてハルちゃん……んで、くしまさぁんの愛を受けながらゆっくりと時間をかけてメンタルケアを……】
【くしまさぁん is goddess】
【るるちゃんは?】
【ヒント:脱走】
【草】
【もしかして:ハルちゃんがことごとく脱走してたの、まさかのまさかで愛されすぎると精神が……あの時点で、すでに……】
【あっ……】
【ぶわっ】
【繋がってほしくなかったけど繋がっちゃった……】
【あああああああ】
【もうやめて……】
「困ったなぁ……どうしよう」
【ハルちゃんの、この落ち着きっぷりが痛々しくって……】
【困ってるのはこっちだよハルちゃん……】
【草も生えないよハルちゃん】
【助けてよ……いや、助けたいよハルちゃん】
【ぶわっ】
姉さんに抱きつかれて泣かれて、ノーネームさんに抱きつかれてすりすりされて。
この状況をどうしようって思っていた僕へ――びびっと、何かが来る。
「……ん?」
――――――ぱりんっ――――――がしゃあんっ。
大きなガラス細工――シャンデリアとかが爆発四散して木っ端みじんに砕け散るような、びっくりして体が勝手にびくってなる騒音。
『おの、れ……女神………………………………!』
「あ、おじゃるさん」
僕自身とほんのりと繋がってるらしい輪っかさんたちが押し出される感覚に振り返ると、ごうごうと燃えさかっていた火球の中から飛び出してくる、影。
本当に元気だね、君。
くっころさんもびっくりのしつこさでもあるよね、おじゃるさん。
【!?】
【!?】
【魔王!?】
【え……早くね?】
【早い……が、見てみろよ、あれ】
『――はぁ、はぁっ……! お、のれ……! よく、も……!』
まだ燃えさかる魔力がぐつぐつと煮えたぎって魔王さんを溶かしているけども、それ以上の速度で回復している様子。
……あ。
おじゃるさんが持ってきたらしい魔力の球と相殺してる。
ずるいぞ、僕なんかそんなの――や、使ってたっけ……おじゃるさんの玉に、お父さんの力……けども。
「おじゃるさん。……小さくなってる?」
ふらふらと――けれども確実に僕の打ち込んだ力をはねのけたおじゃるさんは、けれどもさっきよりもさらに小さくなっている印象。
【お】
【おおおおお】
【めっちゃ効いてたか】
【そういや魔王がダメージ負ったの、最初はハルちゃんがおびただしい数の船で形成された砲塔ぶっ放したからだったもんな】
【あー】
【ハルちゃんもすごいけど、それ以上にハルちゃん自身が魔王にとってはアンチの性能してたり……?】
【そら女神様だし】
【なるほど】
【女神と魔王、聖と悪 神話の時代から特効なのがお約束だもんな!】
「おうえん」「したの【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】」「ぶくま」「おねがい」




