728話 みんなは僕の子供らしい ……え?
「……魔王。降参して」
僕を抱きしめていたあったかさがひんやりとして、姉さんが僕の前に立ちはだかる。
……姉さんの羽根も服も、ぼろぼろなのに。
「それだけ魔力を失ったら、君でもすぐには回復できない。……それともやるの? 私たちと。相打ちになって死んだら、全世界の王様にはなれないよ?」
しゅるるるるんっ――――――かしゃしゃしゃしゃっ。
「あ、おかえり」
「はるぅ……♥」
しゅばばばばっ。
「おかえり」
「♥♥♥」
頭の上と、背中――どちらも僕の体からはちょっとだけ離れているけども僕の体の一部って認識できるそれらが、まるで巣に戻ってくる鳥さんみたいに収まっていく。
「しっくりフィット」
「ふぃっと……♥」
【草】
【草】
【まーたハルちゃんの独特の感性が】
【くっそかわいくてもだえる】
【けどなんだ今の】
【すげぇ】
【見事に戻ってきたな、輪っかさんたち……】
【自律してるからね……】
【おろろろろろ】
【泣いてるのに笑っちゃってるよハルちゃん】
【ハルちゃんの配信だからな!】
【あいかわらず謎ギミックを披露しているハルちゃん】
【なんかロボットアニメみたいな挙動と効果音で草】
【草】
【全部のヘイローが戻ってきたっぽい?】
【羽も戻ってきてるけど……】
【ハルちゃんを串刺しにするのかとひやひやしたわ】
【ハルちゃんは分かってるのか分かってないのか、背中を見ようとして不思議な顔してるけどね】
【このままじゃ良くないけど、ハルちゃん的にはこのままがいいっていう……】
【お姉ちゃんも特に気にしてないし、きっとハルちゃんがもともと持ってた力……なんだろうなぁ なのに、それをまるで「初めて見た」かのように……】
【ああ……】
【小さいころすでに自分ができてたことを完璧に忘れるほど、精神が……】
【やめて やめて】
【歪な精神……ハルちゃん、これまで一体どんな目に……】
ふよふよと定位置に収まっている輪っかさんたちに羽根さんたち。
……これ、どういう仕組みなんだろうね。
姉さんもノーネームさんも、どころかニュー父さんもニュー母さんもこんなことにはなってなかったのにね。
多すぎるからちょっとあげていいかな?
ほら、管理とか大変そうだし……あ、だめっぽい。
考えただけですっごく悲しい気持ちが流れ込んできて……え、このひとつひとつが自我、持ってるの?
え?
僕の考えることがダイレクトに伝わるし、ダイレクトに返ってくるの?
え?
「自分たちはみんな、僕の子供」だって?
………………………………。
……あんまり考えないようにしておこうっと……うん。
特に覚えもないものを認知とかは、ちょっとね……。
『――朕は、許さぬ。神族を――宿敵を』
「あ、ほんとに『朕』って言うんだ」
「姉さん、信じてなかったんですか?」
「ハルはちょっと静かにしていようね」
「む」
【かわいい】
【かわいい】
【ハルちゃんはおしゃまさんだから子供扱いが嫌いなんだよね】
【それがまたかわいいんだ】
【わかる】
「僕の方がおじゃるさんのことを知ってるんですから、交渉なら僕がすべきです。ですよね? くっころさん相手だと友達ですよね?」
『グッ……違う……!』
「え? 違うんですか? 一緒に苦労した仲間ですよね?」
『黙りゃ! ――女神に籠絡など、されるものか!』
「?」
なぜだか悔しそうに怒っているおじゃるさん。
……なんで?
「……ハル? あの、なんであそこまで魔王に気に入られてるの……? いや、気に入るどころか……」
「しゅきぃ……♥」
【もしかして:魔王、実はハルちゃんにめろめろ】
【最初はお嫁さんにする予定だったし……】
【一目惚れだったり】
【ハルちゃんかわいいからなぁ】
【こんだけされてもハルちゃんから声かけられて嬉しそうって】
【え? じゃあこいつもくっころGのごとく、ハルちゃん相手に完全敗北したらドMドラゴンっ娘になるの?? あんなのがもう1匹増えるの?? ドラゴンってみんなドMなの??】
【草】
【草】
【それで戦争が収まるのなら……】
【魔王の部下が反乱起こしそう】
【大丈夫大丈夫 そいつらもハルちゃんに倒してもらえばみんなハルちゃんの下僕だよ】
【草】
【そんな笑えるオチで終わってくれたらなぁ……】
「おうえん」「したの【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】」「ぶくま」「おねがい」




