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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
2学年 波乱の日常

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39 常識はずれ?

「お前の周りには、本当におかしな奴ばかり揃ってるな」


私は、以前スイネグ先輩から言われたのもあって、サヤカを研究室に連れてきていた。


ただ、今日は『どうせ魔獣に変化してるなら、元のランクよりも警戒しなければいけないのは分かってるんだから、詳しい話を聞くのは後でも良いな』と言う先輩の言葉で、私達は訓練所の方へと向かったのだ。


そこで、先輩に促されて改めてサヤカが魔法を、と言うか、魔力回路に魔力を通しただけの身体強化魔法を使い、その様子を見たスイネグ先輩の発したひと言が、それだった。


「なっ!先輩の常識から外れただけで、私の友達をおかしな奴呼ばわりするのはやめてくださいよ!」

「おかしな奴筆頭が何を言ってるんだ」

「筆頭!?」


先輩が、言葉を選ばない人だというのは知ってるが、今回は私に向けてじゃなくてサヤカに対しての言葉だったので、強めにそう抗議するのだけど、返ってくる言葉に、私はつい声を荒げてしまう。


「やっぱり、わたしの魔法はおかしいの?」


だが、サヤカはそんな私達の様子を、平常運行と言わんばかりにスルーして、深刻そうな顔で呟く。


「いや、魔法の方は至って普通の強化魔法だな。お前が身体強化以外を使えないのには、別の理由があるようだ」


スイネグ先輩も、先程の騒ぎが無かったかのように、サヤカの呟きに答える。


とまぁ、それは置いておくとして、先輩の発言からして、なにやら今のやりとりの間に、さっそくサヤカが魔法を使えない理由に見当をつけたようだった。


「魔法がおかしいわけじゃないの?」

「あぁ。魔力操作に関しては、俺が今まで見てきた中でもずば抜けているからな」

「先輩から見てもそうなんだ」


何となく、SSクラスの子達を見た後にも、サヤカが彼らに劣っているようには見えなかったので、先輩のその評価には私も納得する。


「言い過ぎだよ…」

「そんな事無いわよ。スイネグ先輩はお世辞を言う人じゃないんだから、自信を持ちなさい」

「レア…」

「まぁ恐らく、他の魔法が使えないのも、それが原因ではあるんだろうがな」


だが、当の本人がそう言って否定的な言葉を発するので、私は先輩のお墨付きなんだからと、彼女の評価は間違ってないことを強調する。


だと言うのに、この先輩はそんな私の気遣いを無駄にするように、サヤカにそう推測を話す。


「うぅ…。やっぱりわたしがダメなんだ」

「ちょっと!スイネグ先輩!何でも直球で伝えられる所は、先輩の美徳かもしれないですけど、たまには相手の事も考えて発言して下さいよ!」


いくら、先輩が魔力や魔素について研究してるとはいえ、こんな短時間で原因を推測出来ること自体は、とてもすごいとは思うのだけど、それはそれとして、悩んでいる人に対して、全く言葉を選ぼうとしないのはどうなのだろうか。


私はもう半年以上の付き合いになるので、先輩のそういう部分には、だいぶ慣れてきているが、そうでないサヤカには、先輩の言葉一つ一つが鋭く突き刺さっていることだろう。


自分の過去の経験から、先輩が特にフォローも無く、解説を始めるのは分かっているので、私はサヤカに『そんな事無いからねー』と声を掛けて、よしよしと頭を撫でてあげながら、先輩の事を睨みつける。


「お前も人の事を言えるか怪しいがな」


そんな私達に、呆れたような視線を送りながら先輩が何か言うが、こちらが聞く態勢を整える時間くらいは待ってくれるみたいだ。




「とりあえず結論から話すが、お前が魔法を使えないのは、特異体質だからでも何でもない」


そして、スイネグ先輩が端的にそう伝えるのを聞いて、私とサヤカは顔を見合わせる。


「えっと、それってどういう意味ですか?」

「つまりは、練習すれば身体強化以外の魔法も使えるようになるということだ。」

「えっ?」


それだけでは、先輩が何を言いたいのかが分からなかったので、私がそう質問すると、返ってきた答えにサヤカが驚いた声を上げる。


「まぁもっとも、推測でしか無いがな」


最後にそう言って首をすくめる先輩に、サヤカは困惑の顔を、私は信頼の顔をそれぞれ浮かべるのだった。

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