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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
2学年 波乱の日常

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38 ちぐはぐ

「その前に、まず基礎的な事から聞いとくんだけど、魔物にはギルドと冒険者協会の両方で、種族とかに応じてランクが付けられてるのは知ってるわよね?」


まずは、私も自分が聞いたことを思い出しながら、彼女達の知識に合わせて説明できるように確認をしていく。


「あぁ。校外学習の時に受付で話していたな」

「うん。ちょっと私の所とはランクが違うのもあったけど…」

「わたしの所も魔物は居なかったけど、似たような感じなのかな?」

「そうね。魔物か獣かの違いしか無いと思うわ」


最初の確認なだけあって、この前の授業で魔物と初遭遇したというメリッサ以外は、おおむね似たような反応だ。


ただ、私も自分の居た地域とランクが違うことまでは把握してなかった。


だけど、今それを言っても余計なことになると思い、一旦サヤカの方にだけ相槌を打って説明を続ける。


「それで、そのランクについて、まずは先輩とその評価が正しいかを確かめて、魔物に関しては大体合っていたの分かったんだけど…」

「おいおい、確かめたってどうやってだ?と言うか、魔物以外はどうだったんだよ」


と、予想通りメリッサが、気になった部分をすぐに質問してくるので、やっぱり余計な事を言わなくて良かったと思いながら、私は変に口を滑らせないように気を付けながら、彼女の疑問にも答えていく。


「魔物に関しては、私の経験と先輩の話しと合わせて確かめたわ。野獣の方は、私は戦ったことがなくて分からなかったのよね。だから後でサヤカに協力してもらおうと思ってるんだけど…」


そこで一旦言葉を切り、私がサヤカの方を見ると、彼女は『うん。良いよ』と、特に迷う事なく快諾してくれる。


「お前の経験って、当てになるのかよそれは」

「一応、魔物はそれなりに退治してきたし、ベネウッドの人とも話して確認してるから大丈夫よ」


メリッサは、私が以前アリアス大陸で1人でも魔物を退治していた事を、ちゃんとは知らないので、そう思うのは当然だろう。


私もたった今、元の大陸とランクが違う魔物が居るのを知ったばかりだったけど、ここで変に自信の無い返事をすると、この後の説明に説得力が無くなってしまうので、私はそう断言しておく。


「とりあえず、魔物に関しては良いのよ。ある程度強力な魔法が使えるなら、ここの学生でも十分魔物を退治できるのは分かってるんだから」

「問題は魔獣…だよね?」


ようやく擦り合わせが終わったところで、私はレイナにそう頷いてから、本題である、親熊の事を公表出来なかった理由について話していく。


「そうね。色々と説明はしたけれども、結局のところ、今回の問題点はこの魔獣について、依頼書の時点ではランクが想定出来ないって部分にあるのよね」

「そんな事で問題になるのか?」


メリッサはそれを聞くと、拍子抜けしたような反応をするけど、先輩から話を聞くまでは、私も同じ気持ちだった。


実際、去年の校外学習でも、依頼を決定するまでぐらいしか気にしてる人は居なかっただろう。


ただ


「小型とか中型の魔獣でも、元のランクから1.2ランク強さが上がるらしくて、大型になると、下手な高ランク魔物よりも厄介だって話よ」

「魔法が全然効かないんだっけ?」

「全然って訳じゃないけど、野獣と比べても、魔物と比べても耐久力が段違いなのは確かね」


これまでの話をまとめれば、もしも、自分達の選んだターゲットが魔獣化していた場合、ましてやそれが高ランクであればあるほど、想定した強さからは大きく外れたものになるだろう事が分かるだろう。


「1年生は、成績の為にちょっと無茶な依頼も受けちゃいそうだから、心配だね」

「だからこそ、私達2年生が撤退判断をってことなのね」

「わたしの言う事、聞いてもらえるか心配…」

「わたっ…

「サヤカちゃんは、リュウレン君が居るから平気だよ」


自分も同じだと、サヤカの後に続こうとしたところで、不意にまた出て来たその名前に、私は一瞬言葉を詰まらせる。


「どうしたの?レアちゃん」

「んーん、私もSSクラスの子達が言う事を聞いてくれるか、心配だなって言おうとしただけ」


すぐにそうレイナが聞き返してくれるけど、せっかく持ち直していた空気を、また私のせいで壊す訳にはいかないので、努めて明るく返事をする。


「確かにSSクラスの奴は、生意気なのが多いからなぁ」

「い、一応優しい人も居るよ。リネラ君とか、回復魔法のコツを教えてくれたし」

「ん?リネラって、あのリネラか?」

「知ってるの?」


そんな私の様子に気付いてか気付かずか、メリッサが珍しく他のクラスの話に強く反応する。


「初等部の頃同じクラスだったんだよ。回復魔法って事は、多分アイツだよな。いやぁ、アイツSSクラスになってたんだなぁ」

「そう言えば、メリッサちゃんも前はSクラスだったんだよね。サク先輩から少し聞いてるけど、メリッサちゃんがSクラスだった時の話、聞いてみたいな〜」

「あぁ?別にそんな面白い話はねーぞ?」


そこから、レイナの興味がメリッサの過去に向き、話題はSクラスの事に移っていく。


メリッサも、多少恥ずかしそうにはしているが、色々なわだかまりが解けたからか、自然にその話題を楽しんでいるように見える。


本来なら喜ぶべき光景。


そのはずなのに、何故か私はそれを見て、一人置いてかれたような気持ちになるのだった。

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