35 変化
「あれっ!?ここ、お店変わってる!」
目的のお店に向かう途中、レイナは驚いたようにそう言って、とある店の前で足を止める。
「あぁ…ここか。4月には入れ替わってた気がするんだが、知らなかったのか?」
「うん。準備とかで色々忙しくて、こっちまで来る元気が無かったし…」
「ここ以外にもいくつか入れ替わってる店あるぜ?ここいらは学園に近い分、競争率も激しいからな」
流石、暇な時は1人で街巡りをしているメリッサだ。
彼女も良くSクラスに手伝いに行ってるようだったけど、既に彼女の脳内ではこの辺りの地図は最新版にアップデートされてるようだ。
「じゃあ、レイナが知ってるお店、他にもいくつか入れ替わってるかもね」
「うぅ…気を付けないと、迷っちゃいそうだよ」
確かに、この辺はまだ大通りなので、多少お店が入れ替わったところで、道を間違えるなんてことは無さそうだが、裏路地とかの入り組んだ所にあるお店に向かう時は、注意しないといけないだろう。
「なら今度、人を案内する予定があるんだけど、レイナも一緒に来る?」
「えっ?良いの?」
「うん。魔道具屋さんをメインに周る予定なんだけど、それでも良ければ」
実は、この前スイネグ先輩から、タイガにも研究に必要な物を買いに行くお店を、教えてやるように言われていたので、せっかくならと私はレイナにそう提案する。
「おいおい、あたし達は仲間外れってわけかい?」
「レア、次の休みなら私も空いてる」
と、ここで面白そうだと思ったのか、メリッサが自分も連れて行けと主張し、サヤカも1人だけ仲間外れは嫌なのか、私の返事を待たずに来る気満々のようだった。
「あの…付いてくるのは構わないけど、いつものお使いのついでみたいなものだから、つまんないかもよ?」
「ん、別に良い。レアと遊べる日、あんまり無かったから」
一応先に、今日みたいに遊ぶのが目的じゃないというのを伝えるのだけど、サヤカは気にしてないようだった。
むしろ、私と遊べるというだけで嬉しそうにしている。
「ん〜、まぁそう言うなら良いか」
とは言え、私もサヤカ達と会える日が増えるのは嬉しいので、彼女達が問題無いと言うのなら、断る理由も無い。
「そんで、その案内する奴ってのは誰なんだ?」
「あっ、確かに!私達の知ってる人なの?」
と、ここでメリッサが厄介な質問をしてくる。
「…タイガよ。覚えてるか分からないけど」
恐らく、彼女は分かっててこの質問をしたのだろうけど、私はなるべく感情が声に乗らないように淡々と答える。
「えっと、確かレアちゃんの幼馴染だっけ?」
「そうよ。ちょっとスイネグ先輩に頼まれてね」
そう私は、なんてこと無いように答えるのだけど
「おやぁ?もしかして、元々デートの予定だったのか?それは悪いことしたなぁ」
なんて、私とタイガがそんな関係でないことを、知ってるであろうメリッサがそんな茶化すような事を言う。
「えぇっ!?そうだったの?お、お邪魔だったら全然言ってね?街を回るのなんて私一人でも大丈夫なんだから!」
「そんなんじゃないから、余計な心配しなくて良いわよ」
すると、案の定レイナが騒ぎ出し、慌てたようにそう言うので、私はここも努めて平静にそう答える。
「そっかー、幼馴染か。あっ、そう言えば、Aクラスの人は皆ペアで参加するって聞いてたけど、レアちゃんはそのタイガ君と組んでるの?」
しばらくして、レイナの勘違いを解いたところで、彼女からそう質問をされる。
まぁ、私もAクラスの中で、連携を取りやすいのは誰かと言われたらタイガなので、選べるのなら彼をペアにしていたことだろう。
だが
「んーん。去年同じ班だった、カツミがペアよ。何でも、タイガは転校してきたばかりで、まだ実力に関して未知数なところがあるから、今回は不参加になるらしいわ」
タイガはそう言った理由で、今回の校外学習は留守番組となる。
ちなみに、メリッサはあのSクラスからAクラスに来た男子とペアで参加するらしい。
「そっか。レアちゃんと同郷なら、凄い頼りになりそうなのに、一緒に参加できないの残念だね」
それを聞いたレイナは、私が仲のいい人とペアを組めなかったことを、我が事のように悲しんでくれる。
「仕方ないわよ。まぁ学校行事なんてそんなもんでしょ」
なので私は、その辺りは割り切るしかないのだから気にするなと、彼女に答えるのだった。




