表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
2学年 波乱の日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

115/148

18 才能とプライド

「………はぁ…そうだな。お前にばっかり話させるのも違うか」


私が質問した後、メリッサはしばらくの間、どうするべきか悩んでるようだったけど、最後には観念したようにそう答える。


「まぁ、お察しの通りあたしもそんなに友達は居ないからな。お前ら以外と遊ぶ事はねーな」

「元の、クラスメイトと遊んだりとかは?」

「ふん、先輩方と仲直りしたとは言え、同級生となれば話は別だからな」


どこまで踏み込んで良いのかも分からないので、私は恐る恐ると言うように尋ねるのだけど、彼女の方も腹をくくったのか、思っていたよりも素直に質問に答えてくれる。


「やっぱり気まずいの?」

「そりゃあな。あそこに居るのは、プライドの塊みたいな奴らばかりだからな」

「あんたもそうだったの?」

「むしろ筆頭だったよ。じゃなきゃ、こんな拗らせたりしねぇだろ」

「そっか、それもそうね」

「納得すんなよな」


1度話し始めてしまえば、彼女も気が楽になったのか、私の言葉に不服な様子を見せるけど、以前のようにそれで話を打ち切るなんて事は無い。


「そうなると、元Sクラスの人同士で遊んだりとかも、少なかったりするの?」

「言っただろ?プライドの塊だって。あたし以外の元Sクラスの奴は、皆他の学校に転校してったよ」

「そう…なんだ。なんか、逆によくあんたはここに残ったわね」

「まぁ、タイミングだな」

「タイミング?」


どうやら彼女がAクラスに入ったのは、高等部に上がるのと同時だったようで、他のクラスとの関わりもほとんど無かった為、残る決断をしたのだと言う。


「何だか、聞けば聞くほど、サヤカ達が心配になってくるわね」

「まっ、あいつらなら上手くやるだろ。あたしと違ってこれからが伸びしろだろうからな」

「あんたは違うの?」

「あたしは…もう変わらねぇよ」


ここまで飄々とした態度で話していたメリッサだったけど、この質問には彼女も思うところがあるのか、今日初めて表情を落とす。


「メリッサは、どうして…Sクラスから落ちたの?」

「っ!?」


今日1番踏み込んだ質問だっただろう。


さすがの彼女も、この質問には表情を硬くし、深い瞬きをする。


「っはぁ〜」


それから、深い溜息を吐くと、彼女は私の方を向く。


「何の面白味もねぇよ。単純に実力がクラスの基準に追い付かなくなった。それだけだ」

「そうなのね…」


そして、彼女が質問に答えると、私もそれ以上何かを尋ねることも出来なくて、辺りに静寂が訪れる。




「ガキだったからな…」


そのまましばらく、お互いに黙ったままだったけど、ポツリとそうメリッサが呟く。


「ん?」

「あたしはまだガキだったから、天才って持て囃されて、調子にのってたんだ。」


それに私が聞き返すと、続けて懺悔するように、彼女は話し始める。


それによれば、彼女は中等部に入る前からSクラスだったそうで、杖を使った授業では、好成績を収め続けていたらしい。


だけど、前にスイネグ先輩からも聞いたように、杖と言うのはあくまでも魔法を使う時の補助道具に過ぎないので、ある程度魔法が使えるようになると、段々と杖離れをしていくのだとか。


勿論それは彼女達も例外でなく、学年を追うごとに、杖を使う人は減っていったらしい。


しかも、彼女が居たのはSクラス。


中等部に上がる頃には、既に半数近くが杖を使わなくなっていたそうだ。


そして、2年生になり、自分以外のほとんどが杖を手放したのを見て、彼女もまた杖を手放したそうだ。


しかし、どうしたことか、彼女の成績はそれからすっかり伸び悩んでしまったらしい。


幸いにしてその年は、サク先輩達の手助けもあり、なんとかSクラスで進級を果たしたそうだが、3年生では、自ら彼らとの関係を断ち切り、そのまま成績は下降し続け現在に至るのだとか。


「まっ、だからよ、あたしも成績が伸びない時の悔しさだとか、期待に応えられなかった時の怖さとかは分かるつもりだ」

「そう…ね…」


そこまで話し終えた彼女は、パシパシと背中を叩いて、今の私に共感の意を示してくれる。


「だからよ、その幼馴染とは早めに話したほうが良いと思うぜ」

「分かった…わ」


その上で繰り出されるアドバイスには、かつてそれを経験した者の重みがあった。


「あたしみたいに変に拗らせちまう前にな」

「ふふっ。ありがとう、メリッサ」


けれど、そこからニカッと笑う彼女に、私は勇気付けられるのを感じるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここまで読んでいただきありがとうございます。 よければ次の更新まで投稿した他の作品も見ていってください。 X(旧Twitter)アカウントはこちら 現在連載中の作品【アルトレア物語】【人生裁判】 ピックアップ短編【恋心】
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ