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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
2学年 波乱の日常

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11 助手の役割

「タイガ…今のって、本当にいつも通りにやっていた?」


私がまず最初に聞いたのはそれだった。


「それは、アルトが一番良く分かるんじゃないの?」

「そう…よね…」


混乱から完全に立ち直れずに、口から飛び出した質問ではあったが、その答えは十分に予想できていたものだった。


「おれは何時もと変わらずやったつもりだよ。むしろなんでアルトが驚いているのかが分からないよ」

「それは…」


私はそう呟くと、スイネグ先輩の方をチラッと見る。


「なんだ?」

「あの…タイガに魔法と魔術の違いについて説明は…」

「あぁ、もうしてもいいぞ。見たいものは見れたしな」


私はタイガにその理由を話すために、昨日先輩が教えずにいた事を話しても良いのかを聞くと、先輩は今日の目的を果たしたと言わんばかりに、私にその役目を任せてくる。




「へぇ~。体内で魔素の反応を起こして発動するのが魔法、空気中の魔素を利用するのが魔術か。面白いね」


とりあえず、簡単な説明だけをしたけど、どうやらすぐにその内容を理解してくれたようだ。


「でも、タイガの場合は私が教わったどちらにも当てはまらないのよ」

「なるほど、それでそんなに驚いた顔をしているんだ」

「ずっと見慣れた物だと思ってたんだけど…」

「大方、お前の側に居たからこそ、余計に影響を受けたんだろうな。魔法も魔術もイメージが重要なのは変わらないからな」


そして、私の説明が終わると、それに補足するように先輩が話し始める。


「私の側に居たから?」

「あぁ。魔法が体内の魔素、つまりは魔力を使うのはその通りだが、どうやら今の例を見るに、発動させるのは俺が思っていた以上に融通が利くようだ。そいつの魔法は、お前の魔術を魔法で再現しようとした結果だろう」

「確かに、おれの魔法はアルトのを元にしているのが多いからなぁ」


それを聞いてタイガは、嬉しそうにしているけど、私は2人の話が弾めば弾むほど、気持ちが落ち込んでいくのを感じる。


「さて、暇な時は見ると言ったが、基本的にはこれまで通りアルトレアに見てもらうから、俺から呼ぶとき以外は、特に研究室に来る必要はない。」

「はい」

「えっ!?」


だけど、もう説明も先輩が自分でしてるし、このままここに居ても、私に出来ることは無いと思い、この場を立ち去ろうとした時、そんな声が聞こえてくる。


てっきり、このままお役御免となって、タイガが私の役目を引き継ぐものだと思っていた私は、すがるような想いも込めて顔を上げる。


「何を変な顔をしてるんだ?」

「私が、ですか?」

「当然だろう。助手として、1度説明したことをそいつに伝えるぐらいは出来るよな?」


そんな私の気持ちを知ってか知らずか、先輩はまた、当たり前のことを言ってるだけ、みたいな表情でそう言う。


「タイガを助手にするんじゃ無いんですか?」

「はぁ?何を言ってる?確かにまぁ、そいつの様子を見るとは言ったが、興味があるのはそいつの使う魔法だけで、今は他に優先して研究することもある。あくまで手が空いたときの暇潰し程度に見てやると言うだけの話だ」


そして、私の勘違いを正すようにタイガをここへ呼んだ理由を話すと


「で、こいつのことは任せて良いのか?」


と聞いてくるので、私は


「は…はい!期待に応えられるように頑張ります!」


と元気に返事をする。


「別に期待なんかしてない。ただの暇潰しだ。とりあえず今日は解散で良いが、お前はちゃんと研究室に来いよ」

「はい!勿論です!!私はスイネグ先輩の助手ですからね♪」


最後にスイネグ先輩は、呆れたようにそう言うと、踵を返してこの場を後にする。




「私達も帰ろっか」


それを見送ると、隣に居るタイガに声を掛けて、私達も訓練所から出て寮へと戻る道へ進んでいく。


その帰り道、しばらくタイガは無言で居たけど、歩いていく内に建物が見えてきたところで『アルト…変わったね』と、声を掛けてくる。


「変わった?私が?」

「うん。なんて言うか、前よりも人の目を気にするようになった気がする」

「うーん、言われてみればそうかも?ここは人も多いし、色々あったから、私も気にするようになったのかな」


最初はその言葉に、私はピンと来なかったけど、改めて言われたことで、私がタイガと離れていたこの1年で、変化した部分を思い返す。


「でも、多分そんなに変わってないと思うよ?ほら、私って昔から負けず嫌いだったし」

「そうか…」


けれど、その上で彼の知る私と今の私に、違いがないということを伝えようと、私はそう言う。


それを聞いて、タイガはしばらく考え込むような仕草をしたかと思うと


「アルトは、あの人が好きなの?」


なんて、とんでもない質問をしてくるのだった。

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