TASさん、誘われる。
私は今、全速力で走っている。
何故、走っているのか。
答えは明白。
薬草採取のやり直しをしに行くのだ。
————私は、背中に背負った、籠を、冒険者ギルドの入り口の扉枠に思い切りぶつけ、中に入っていたリストロ草を、全てダメにしてしまったのだ。
————あらすじ。
私は引っ掛けた籠に引っ張られ、べちり、と、床に思い切り尻餅をついたあと、暫く思考を停止させてしまう。
そして、思考が復活して、背中の籠の、肩に引っ掛ける部分を外し、立ち上がり、籠の中を見た。
黄緑色をしたリストロ草は、全て、茶色に変色してしまっていたーーーー
————そして、私は、再び籠を背負い直し、全速力で、走り出した。
早く、もう一度リストロ草の採取をしなければ、また野宿をする羽目になる。
もう、日は暮れかけている。
ギルド内での即日完了の依頼は、基本、日没までが期限だと、受付の女性が言っていた。
時間が無い。急がないとーーーー
「おい」
その声を聞き、私は、ずざー、と、砂埃を立てて、急ブレーキをする。
走りを止めた私に、その声の主————今朝、ギルドで会った、顔が怖いが優しい人————は、私に話しかける。
「その背中の籠の中のリストロ草、恐らく、何処かにぶつけでもしたのだろう?」
その質問の、私は頷く。
すると、彼は言った。
「色の変わった草に、魔力を込めてみろ」
と。
私は、変色してしまったリストロ草を手に取り、手に纏った魔力を草へと移動させる。
すると。
「……まじれすか」
枯れ果てたように、茶色に変色してしまっていたリストロ草が、活き活きとした緑色へと戻って行った。
「衝撃でリストロ草が変色するのは、魔力が抜けてしまうからだ。なら、魔力を注いでやればいい」
……成る程。あの時は気が動転していた上、意識していなかったので気付かなかったが、確かに、籠の中の、変色したリストロ草は、魔力が抜けている。
対して、私が今持っているリストロ草には、しっかりと魔力が籠っていた。
私は籠を下ろし、その中に魔力を注ぎ込んだ。
籠の中のリストロ草の色が、全て、緑色へと変わった。
————よかった。これで、野宿する羽目にならずに済む。
私は、親切な人に、頭を下げて、お礼を言った。
すると、その人はこう言った。
「いや、礼はいい。それより、お前————しばらく俺と、パーティを組む気は無いか?」
「…………はい?」
文章量少なめです。




