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TASさんは異世界にて自由に生きたいようです。  作者: 粗茶漬け
TASさんが流浪の旅を始めるようです
34/53

TASさん、初依頼を受ける。

 冒険者ギルドの、西側の長い壁。


 そこには、いくつもの依頼書が貼られていた。


 そして、そこでは、十人ほどの人達が、壁を見つめて、ううん、と、唸り、仲間と思わしき人と、話をしたりしている。


 何故、彼等は、悩ましい顔をしているのか。

 会話を聞くと、すぐに分かった。


「ねぇ、この依頼どう?」


「うーん、ちょっと報酬少なくね?」


「よし、これにしよう」


「おぅい、その依頼、この依頼と交換しようぜ?」


 報酬がいい依頼、悪い依頼。自分に合った依頼、合わない依頼。

 冒険者は、それを見極め、的確な依頼を受ける必要があるのだろう。


 なるべく、得を出来るように。損をしないように、慎重に依頼を選んでいるのだ。


 私は、壁に向かって歩き出す。


 周りの視線が私の方に向く。

 まぁ、私の見た目は完全にただの幼女だ。浮いてしまうのは仕方ない事だ。別に、気にしない。


 私は人と人の間を潜り抜け、壁の前に到着。そして、軽くジャンプして、壁の少し高めの位置に貼られた一枚の依頼書を、べりり、と、剥がす。


 ——————————

 依頼種 採取依頼 推奨ランク D

 依頼名 リストロ草の採取

 報酬 リストロ草、十本毎につき、銅貨十枚。五十本まで買取ります。

 依頼者 リアレ

 ——————————


「おい、そこのチビ」


 背後から、低く、少しくぐもった声がした。


 私は後ろを振り返る。


 そこには、厳つい顔をした、前世で言う、ヤクザのような男性がいた。


 んん?私は何か、不味いことでもやってしまったのだろうか?

 それとも、私は今、この人に絡まれてしまっているのだろうか?


「その依頼は、Dランク依頼だぞ。自分より高いランクの依頼は、受けられない決まりだ。お前はさっき、冒険者登録をしたばかりだろう?その依頼は受けられないんじゃないのか」


 ああ、成る程。

 普通、登録したばかりだと、ランクはFの筈だからな。注意されるのも無理はない。


「いえ、らいじょうぶ、れす」


 そう言って、私は厳つい男性に、自分の”冒険者カード”を見せる。


「……!」


 私の”冒険者カード”を見て、少し考える素ぶりをした後、


「……ああ、成る程な。”推薦状”か」


 と、納得したようだった。


 私は頷いてそれを肯定した。

 見た目に似合わず、優しい人だった。人は見た目で判断しちゃいけないな。


 私は軽く、注意に対するお礼を言ってから、依頼書を受付に持って行く。


「あら、もう選んできたの?」


「はい。あと、ききたいことがあるのれす」


「あら。質問は大歓迎よ。なにを聞きたいの?」


「りすとろそうの、じつぶつって、ありますか?」


「ええ。あるわよ。そこの共用本棚の、”薬草大図鑑”っていう所に書いてあるから、自由に読んで良いわよ。タスさん、文字が書けていたし、時も読めるわよね?」


「はい。かんしゃ、れす」


「いえいえ。これからも分からないことがあったら、どんどん聞きに来て良いからねー」


「はい」


 私は受付の女性にお礼を言った後、教えられた本棚の方に行き、行く最中に見つけた”薬草大図鑑”と、背表紙に書かれている書物を迷わずに取り出し、本棚の近くにあった椅子に腰掛け、パラパラと、ページを素早くめくって行く。


 ……あった。リストロ草。

 その薬草は、草がある所には大体生息しているらしい。


 形も覚えた事だし、あの草原にでも行けば、見つかるかな。


 私は残りのページを覚え終わった後、本を棚に戻し、冒険者ギルドを出た。



 ◆◆◆◆◆



「ひとーつとーってはめーしのため、ふたーつとーってはやどのため。みーっつとってはおふとんのためー」


 そんな気の抜けた、歌とも言えないようななにかを口遊(くちずさ)みながら、私は薬草を採取していた。


「ひとーつとーっては……ん」


 街の外に出てから、使用していた”探知機もどき(ソナー)”に、なにやら反応が一つ。


 私はすぐに、反応のあった、後ろを向く。


 頭に細長い角を生やした小さな兎が、ぴょん、ぴょん、と、私の二十メートル後方で、飛び跳ねていた。


 かわいい。そう思ったのも束の間。


 なんと、兎は頭の角を、ぎゅぃぃぃ、と、音を立てながら、回転させ始めーーー


「きゅぃぃぃ!」


 と、可愛らしい声を上げながら、こちらに向かって、飛び跳ねながら、向かってきた。


「……はぁ」


 こんなに可愛い生物を殺す事は、心が痛むな。

 だが、仕方ない。襲い掛かってきたからには、やらねばなるまい。


 私は闇魔法で、掌サイズの杭を作り、それを右手で持ち、軽く投げた。


 真っ黒な杭は、ひゅん、と、風切り音を立てて、真っ直ぐ兎に飛んで行く。


 びす、と、杭は兎の眼球を砕き、脳にまでに突き刺さった。

 頭の角の回転は止まり、ぼてり、と、地面に落ちた。


 やっぱり、目玉を潰して、奥の脳を破損させる方法が一番速い。しかも、楽で良い。


 私は兎が落ちた場所に歩いて行き、兎の死骸を拾い上げる。

 闇魔法で、ナイフを作り、兎の死骸の頸動脈を切る。


 首元から、べちゃべちゃ、と、血が溢れた。


 私はまたまた闇魔法を使い、大きな杭と、ロープを作り、細長い棒を地面に突き立て、そこにロープを使って兎の死骸を逆さに吊るし、血抜きをする。


 真っ黒な杭に縛り付けられた、兎の死骸は、地に赤い血を、杭伝いに流し込んでいる。


 破裂した右目に刺さっていた杭は、もう消えており、そこに空いた穴から、ぼたぼた、と、兎の脳が零れ落ちていて……


 ……なんだか、怪しい儀式を行っているように見える気がするが、気にしない。これはただの血抜きだ。うん。


 私は兎の死骸を縛り付けた杭を、消えないように維持しながら、薬草採取に戻る。


 そして、その後、暫く薬草を採取した後、血の抜け切った兎の死骸を回収し、街に帰るのだった。

闇魔法で造った物の色は、全て黒色で固定です。


あと、ナイフの形状については、真っ黒な棒に真っ黒な刃を付けて、持つ場所に手に合わせた湾曲を付けただけの、物凄くシンプルな物を想像していただければ。

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