TASさん、森から脱出する。
前話のあらすじーーー
TASさん「もうなんにちあるいたっけ…おなかすいたよ」
兎「ぴょん!」
TASさん「兎DAAAA!」発狂。
兎、発狂TASさんによってスプラッター状態になる。
TASさん、それを焼いて齧る。
そして気絶。
うん(´・ω・`)わけわかめ
私が正気に戻ってから先ずしたことは、胃の内容物を全て大地にぶち撒ける事だった。
私は、暫くの間、ひたすらに吐き続けた。
暫くして、吐き気が治ると、今度は物凄い脱力感が私の精神にのし掛かった。
私は地面に倒れ、大の字に寝転ぶ。
木々の葉っぱの隙間から、木漏れ日が目に当たる。眩しくはない。
私は、ふと、横に落ちた、兎の残骸に目をやる。
頭部は破裂し吹き飛んでおり、腹には大きく、齧った後。恐らく、私が気絶したときに、焚いていた火の中に落ちたのだろう。それは真っ黒に焼け焦げていた。
私はどうかしてしまったのだろうか。
何故、あんな事をしたのだろうか。
私は脳内で時を正確に刻み続けている。勿論、あの、狂気に犯された時も記憶している。
あの時はそれすら確認できないほどに空腹だった。
私は、何日も何も食べていないかの様な空腹感に襲われていた。
だが。
実際は、自分で掘った穴で眠り、目覚めてから、”半日も経過していない”のだ。
なのに、どうして私は、頭が狂ってしまうほどに空腹だったのか。それに関しては全く分からない。
持っていた果物は、全部食べてしまっていたし。
胃の中身を地面に全てぶち撒けてしまったが、幸いと言うべきか、嘔吐物に中には、兎の肉片らしきものは入っていなかった。
つまり、既に消化してしまっていた訳だ。
私が気絶してから一時間も経っていないのに、何故消化出来ていたかは謎だ。十中八九、あの”狂気”と関係があるのだろうが、今は置いておく。
だが、あの兎一口分だけでは、あっても無くても変わらない。せめて全身食べられれば、良かったのかも知れないが。
過ぎた事をくよくよしていては前に進めない。目の前の問題を解決するのが先だ。
だが。目的は決まった。
私は早急に、”食料の確保”をしなければならない。
あの狂気的な空腹感に、いつ襲われるか、分かったものではない。早く食料を探さねば。
私は森の中を進んで行った。レッツ、食料調達。
◆◆◆◆◆
暫く歩いていると、鹿に遭遇した。
普通の鹿だ。まあ、食べられるだろう。
私は腰に提げたナイフを抜き、それを右手に持って、真っ直ぐに投げた。
鹿の左眼球に的中。鹿は、どすり、と、横転し、そのまま痙攣し始める。が、死んではいない。
私は生きたままの鹿の左眼窩からナイフを抜き、そのナイフで鹿の喉元を切る。
どば、どば、と、溢れ出す血。程なくして、鹿は絶命した。
その鹿を、背中から解体していく。血抜きは時間が無いのでやらない。死んだ直後の血には、臭いの元となる微生物などは含まれていない。今回はこの場で調理して食べるので、別にやらなくてもいいだろう。
部位別に解体。一分三秒で、鹿は、部位別にバラバラに分けられた。
火打ち石と藁と道中拾っていた乾燥した焚き木を使って火を起こし、表面を削ったりして清潔にした木の枝を肉に突き刺し、焼く。
鹿の肉が焼きあがる。
一口食べる。
もしゃ。
うん。美味い。肉汁が溢れる。血も溢れているが、気にはならない。
かなり硬めだが、しっかり噛めば問題はない。獣臭い感じもするが、巨木の中での食事のこんなものだった。問題なし。
うん。鹿肉、美味いな。
色々な部位があった為、味にも飽きることなく、私は鹿肉を存分に堪能した。
さて、腹も膨れた。これであの謎の”狂気じみた空腹”には襲われずに済むだろう。多分。
碌に血抜きをしていない状態の肉は、すぐに腐ってしまう。というか、そんなモノを持っていれば、嗅覚の優れた化け物などに狙われかねない。ここにも長くは居られないだろう。匂いが強い。危険だ。
私は、勿体無い、と思いつつも、仕方なくそれらの肉をその場に置いておき、また森の外に向かって歩き出すのだった。
◆◆◆◆◆
巨木を出てから、五日目。
巨木の頂上で記録していた周辺の映像情報を整理して作った地図によると、もうすぐ平原に出るはずだ。
そんな事を考えているうちに、段々に木々の密集度が小さくなってくる。
そして。薄暗い森の中に、木々の隙間から差し込む、強い光。
間違いない。森の端だ。
やっとだ。やっと、森の外に出られる。
私は森の中での出来事を思い出しながら、走り出す。
巨大な蛇に襲われた。狂気で心を満たした。靴が破けた。仕方なく素足で歩いて、傷だらけになった足の裏には、眠っている間に蛆が湧いた。お腹が空いて、心が二度目の狂気的な空腹感に犯されかけた。巨大蛇に再会した。喉が乾きすぎて、干からびそうになった。風呂にも入れず、水浴びも出来ない毎日に、心が荒んだ。森の中を流れる小川を見つけた時は、涙を流しながらすっぽんぽんになって、水浴びをした。ピラニアがいた。死ぬかと思った。何でこんな小川にピラニアがいるんだよぅ!、と、ますます心を荒ませた。以下省略。
やっとだ……やっと!まともな生活を送れるようになるんだ!
毎日穴を掘って寝なくてもいいんだ!
思う存分水浴びできるんだ!町を見つければ、お風呂にも入れるかもしれない!
私は、希望をその胸に抱き、溢れんばかりの光の先へと飛び込むーーー
———そこには、待ち望んだ光景。
視界一面に広がる、大草原。
ああ。
ーーーNKT……




