TASさん、巨大な蛇に遭遇する。
私は一瞬思考を停止した。
訳が分からなかった。
何故、この蛇は、こんなにも巨大なのだろうか。
何故、この蛇は、私の頭上にいるのだろうか。
何故、この蛇は、大きな口を開けているのだろうか。
何故、私に向かって、その鋭い牙を向けているのだろうか。
「っ!」
私の思考を再び動かし始めたのは、手の甲に走った、小さな痛みだった。
私は直ぐに右手をを確認する。
水滴が当たった場所の皮膚が。
少し、溶けていた。
ーーーああ、逃げないと。
私は手の力を緩め、ロープ伝いに、地面へと降り始める。
大丈夫。目を合わせていれば、大丈夫だ。きっと大丈夫。ゆっくり降りれば、大丈夫だろう。きっと大丈夫。多分大丈夫。大丈夫…大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈———大丈夫…だよ、ね?
…
…
…いや、まて。なんだこの思考は。私はこんな程度の危機を感じたくらいで、気が触れる様な、貧弱なメンタルの持ち主ではないぞ。
これは…一体?私は…
———そこまで考えた時。
ぐわん、と。
空気の揺れるような、音がした。
私は反射的に膝を曲げ、”肉体操作”と”身体強化”を併用し、幹を蹴り飛ばして下向かって跳躍した。
がしん、と。私は地面に、足を付ける。
この世界に来て初めて巨木の外の土を踏んだ、記念すべき瞬間だったのかもしれないが、そんな事を考えている余裕は無かった。
私は二十八メートルの高さの場所から十二メートル下の位置に移動し、そこから飛び降りた訳で、ステータスを高め、ダメージを最大限吸収する様に降りたと言えど、無傷では居られない。
脚に痛みが走る。痛みのパターンを解析した所、私の脚の骨には、ヒビが入ってしまっている様だった。
すぐさま”回復魔法”を掛ける。私は脚を治している間に、私がさっきまでいた場所を確認した。
そこには、大きな蛇が、幹に、思い切り噛み付いていた。
私は、ぞっ、とした。
もし、あの時避けていなければ。私は今頃———今頃————今頃———
死んで、死んで死んで、いた!ああ!あああ!
死んで!死んで…死ん、で?
———また、思考がどこか、外れた。
いや。外されたんだ。恐らく、あの蛇に。
一度目も、二度目も、あの蛇を見た時の事だ。
多分、あの蛇、そういった技能を持っているんだろう。
…よし。逃げよう。
逃げれば万事、問題無い。要するに、あの蛇を見なきゃいいだけだ。多分。
私は治療を終えた脚を確認する。うん。しっかり治っている。”回復魔法”のちからってすげー。
私は木々の合間を縫って走り抜け、すたこらさっさと逃げ出した。
文章量少なめです。




