TASさん、お風呂に入る。
私とラシーヌさんは今、ラシーヌ宅内のお風呂場にいる。
石が並べて置いてあり、その中の窪みに、お湯が溜まっている、露天風呂でよくあるタイプの湯船になっており、辺りはなんだか高級な宿でよくありそうな、自然に出来た感じに仕上げられた石の床。凸凹が良い感じに足の裏に当たって、歩いているだけでも疲れが取れそうな床だ。
「はぁ……やっと身体にこびり付いた汚れが流せるわぁ……今すぐにでも湯船に入ってゆったりしたい所だけど、まずシャワーを浴びないといけないのよー。湯船がよごれちゃうからねー。分かった?タスさん」。
「はい」
私は返事をする。だが、私は、ラシーヌさんの方を向いていない。
かと言って、石の床の方も向いていない。露天風呂風の湯船も見ていない。
その視線の先にあるのは、シャワーを浴びる為の設備。
———それは、何処からどう見ても、現代日本御用達の、プラスチック製シャワーヘッドだった。
「んー?タスさん、それが気になるのぉ?それはねぇ、大体五百年くらい前にお友達から貰ったものなのよぉ。あっちにあるお風呂もその時作って貰ったものなのー」
「……そーなんれすか」
……まぁ、私以外にも”転生者”がいる、と言うことか。別になんとも思わない。ちょっと気になっただけだ。……私を"転生者"と呼んで良いのかは知らないが。
最初に会った女神様の言い振りから予測のつく事である。
召喚なんて日常茶飯事、そんな口振りであの人(?)は話していた。
勿論、この世界の技術力が地球並み、またはそれ以上だと言う考えも否定は出来ないが……今は、異世界から、プラスチックなどを精密に加工する技術、又は、このシャワーヘッドの実物が持ち込まれたと仮定しよう。お風呂場の発想自体が、現代から持ち込まれたものなのかもしれない。
コレが持ち込まれたのが五百年前の話。
……じゃあ、今は一体どうなっているんだ?
街中に、高層ビルとか立ち並んじゃったりしているのだろうか?街の地面が路装されちゃってたりしているのだろうか?電車とか、あるのだろうか?
中世な服装をした人々が、Sui◯aカードを持って改札に並ぶ光景を想像すると、中々シュールに思えて、思わず、私はくすり、と笑った。
「あー!タスさんが笑ったわぁ!笑顔のタスさん……なんて可愛いさ!抱きつきたい!」
「それはやめてくらさい」
まあ、この世界の街事情など、いつか見に行けば分かることだ。
気になるけど、今は別にいい。
それよりも、今はお風呂だ。
人生初の風呂。知識として知っているだけで、私には未体験な物が世界には沢山ある。ましてや異世界だ。私が知らない事など、いくらでもある。
私はこれからの事に期待を抱く。私は自由に生きるのだ、と。
その第一歩。それが風呂。
今から私は、自由への第一歩を踏み出すのだ。
シャワーを浴び終えた私は、ゆっくりと、風呂に足を伸ばしーーー
◆◆◆◆◆
「ほわぁぁ……」
私は身体全体を湯に浸からせ、感嘆の声を漏らす。
———つま先をそっと湯に浸からせ、脚まで浸かりーーーその時点で、私はもう、風呂に魅入ってしまった。
今までの疲れが、じわり、じわり、と、溶け出してゆくような感覚を、感じた。
しかし、私は直ぐには全身を浸からせない。風呂が私に語りかけてくるのだ……焦らないで、いい、と……
ゆっくりと、ゆっくりと、腰、そして胸の辺りまで……
そして、私は、肩まで湯に浸かった。
じわじわと、身体が芯から温められる。
それは、心をも温めてくれているように感じた……
まるで……その感覚は……お風呂こそ、私の母であると云わんばかりに……私の身体を優しく抱き締める……
水、それは生命の源……
そう……ある意味でお風呂は……全ての生物の母と云えよう……
ビバ……お風呂……
私は今……生きている……
風呂テロがやりたかった
後悔はしていない
テロ文章を書くのは難しいですねぇ
文章量非常に少なめです




