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星撃ちの魔術師  作者: 星宮 しずく
9章.宝箱はグリーンフラッシュ
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2.アンサー

前回の三秒あらすじ

 同僚たちから沢山の荷物が送られてきました。

「お、おはようございます…」


 セレナはビクビクして天八座の本部の執務室に足を踏み入れる。そこにはいつも通りの天八座がいた。


 朝早い時間、いるのはチェーザレ、マリノ、ルーチェ、ペルットの四人のみだ。


 アルルに夏季の長期休暇は無いらしい。そのため今日も大学に行っているのだろう。


 ヴォルガーノとリーナは昼間過ぎにしか来ない。むしろ、午後になる前に来たら「早いね」と言われるくらいだ。


 そして、セレナ。セレナも一応学生。基本的には来ない。だが、夏季の長期休暇。そして、ルーチェの真意を探るためだけに来たのだ。


「あら?セレナちゃんじゃない。おはよう」


 ルーチェはニコニコとした様子で近づいてくる。セレナは思わず後退りをする。しかし、負けてられないと思ったのか、意を決してルーチェに聞く。


「あ、あの、その…あ、あの荷物…は何ですか…?」

「ふふ、メイド服の事かしら?」


 呆気なく言ったルーチェにセレナはひぇ、となる。そして、それを聞いていた天八座も動揺したようだ。


「ふむ。ルーチェ君はセレナ君にメイド服を…セレナ君を君の家の使用人にするのかい?」


 ペルットが首を突っ込んできた。ただの疑問に聞こえるがその目は好奇心だ。


 魔術師が使用人になるなど前例が無い。もしかしたらその場面に出会えるかも、とペルットは思っていそうだ。


「ふふ、そんな事しないわ。わたしのメイドちゃん達は優秀だもの。もう増やさなくていいわ」


 ルーチェは相変わらず笑みを浮かべて否定する。だが、ルーチェの感情は全く読めない。更に、尚更セレナにメイド服を送ってきた理由がわからなくなった。


「えっと…じゃあなんで…?」

「ふふ、そうねぇ。これを見て欲しいわ」


 ルーチェが差し出してきたのは王国の魔術に特化した大学校。

 それの見学会のようだ。


「えっとこれは…?」

「アルルちゃんが通っている大学のリーフレットよ」

「は、はぁ」


 リーフレットには明日の日付と校内案内図、色々な出し物の時間が書かれている。


「ふふ、この大学に第三王子様が在学中なのは知ってるかしら?」

「え、あ、はい…」


 この王国には三人の王子様と一人のお姫様がいる。


 その中の第三王子。エリアス・シュリン・アステリア。白銀髪の正統美形王子としてかなり支持層が高い印象だ。


 彼はアルルと同い年の同じ大学に通っている。

 アルルは王子の護衛として大学生活を送っているようだ。


「そ、それがどうしましたか?」

「ふふ、明日は外部から人が沢山来るのよ。アルルちゃんや第三王子を見るため、大学を見るため…とかね」

「は、はぁ…」

「でもねぇ。アルルちゃん一人じゃ大変でしょう?アルルちゃんの専門は幻創術。幻創術が風に弱いのは色々な人が知ってるわ」

「そ、そうですね…」


 セレナはだんだんと嫌な予感がしていく。背中に冷たい汗が流れているように感じた。

 しかし、ルーチェはふふふ、と笑ったままだ。


「わたしは明日、大学の休養室に行って色々な人を治療しないといけないのよ」

「そ、それで…」

「ふふ、本当はわたしがアルルちゃんのお手伝いをしたかったのだけど…難しいのよ」

「……」

「それに、アルルちゃんも出し物とかに出ないといけないらしいの。その間第三王子は一人」

「む、無理です!」


 セレナは扉を開けて逃げようとしたが、鍵がいつの間にかかかっていた。


「ふふ、逃げないでちょうだい」


 ルーチェはセレナの肩に手を置く。そして、強制的にセレナと目を合わせる。セレナの顔は真っ青だ。どうにか他のメンバーに助けを求める。


 チェーザレは諦めなさい、と首を振り、マリノは頑張ってください、と視線で訴え、ペルットは好奇心を隠していない。


 味方はいなかった。


「ふふ、と言う事で、アルルちゃんの護衛のお手伝いしてちょうだい」

「な、ななんでわたしが!」

「長期休みでしょう?いい機会じゃない」


 ルーチェはふふふ、と笑っているままだ。セレナはブンブンと首を振る。


 だが、気になる点が出てきた。


「め、メイド服と何が関係しているんですか!」

「ふふ、わたしの隣にセレナちゃんがいるとするじゃない。そしたら貴方は誰だって疑われるわよ」

「うぐっ…」

「わたしのメイドちゃんとして一緒に入れば問題ならないじゃない。それに、わたしの頼みだと言って大学内を歩き回れるわ」

「つ、つつ、つまり…」

「ふふ、明日は来て頂戴」


 セレナは、膝から崩れ落ちた。

 


✿✿✿

 


「あら~似合うじゃない」

「ど、どこがですか…」


 セレナはルーチェの屋敷にいた。正確には屋敷のすぐ出たところだ。セレナはメイド服に腕を通していた。


 とても不服そうにしている。


「ふふ、素敵よ」

「そうですわセレナ様。良くお似合いです」


 ルーチェと共にセレナを褒めているのはルーチェの使い魔ベガだ。クリオネなのだが、空中に浮いている。こういう時、使い魔はなんでもありだなと感じる。


「さて、セレナちゃん。これあげるわ」


 セレナの腰に付けられたのは物が入れられそうな小さい鞄だ。


「これに布と消毒瓶が入っているわ」

「は、はぁ…」

「ふふ、怪我している子がいたら治療して頂戴ね」

「……わ、わたしが?」

「貴方以外誰がいるのかしら?」


 ただの護衛だけだと思っていたが、どうやら治療も仕事らしい。


(か、帰りたい!)


 心の中で全力で叫んだセレナだ。

 

誤字脱字報告ありがとうございます。

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