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星撃ちの魔術師  作者: 星宮 しずく
3章 若葉のざわめき
26/56

1.強制連行

前回のあらすじ

非日常を体験していました。

 ルナと出かけた日から二週間。いつの間にか青々とした葉が目立つ月になっていた。

 セレナは王宮に来ていた。天八座内で行われる定例会をしてきたのだ。しばらく定例会に顔を全く出していなく、サボりにサボりまくっていたセレナ。遂に天八座で一番立場が上の【治癒術筆頭】に催促状まで出されてしまった。

(…あの空間やだ…空気重いし、圧あるし、何時も論争してるし…)

 セレナは何時も端で小さくなり会議に参加している。王宮の一室が天八座の本部となる。名称的に国王の側近となっているからだ。

「…書類だけ回ってきて欲しいな…。討伐行きたくない」

 四ヶ月ほど前は、人手が足りなすぎてセレナに仕事が回ってきた。行きたくない。とただをこねたが、ユリに引きづられ、王命、と言う言葉に無理やり連れ出されたのだ。

 無難に終わらせて帰ってきた後は一週間程自宅に閉じこもり本と書類とずっと向き合っていた。その後は学園で進級式が行われ、クラス決めをし、授業を受け…と言う毎日を送っていた。

(あの人も定例会行かなければわたしも行かなくても何も言われないのに…)

 セレナの他にもう一人だけ学生の天八座がいる。

 その人は大体本部の定例会に出ている。

 そのせいかセレナも出ろ、とよく圧をかけられている。少しどんよりした気分で王宮の門をくぐり抜けた。

(…ユリ、どこだろ)

 そんな事を考えていると誰かが走ってくる音がした。普通の靴ではない。ヒールで走ってくる音だ。

「やっほー、セレナちゃん。ひっさしぶりー」

「こ、こんにちは、リーナさん…」

 セレナの肩を叩いたのは金髪の女性。派手にローブを着崩し、真っ赤なヒールを履いている。リーナ・アグレリアだ。天八座の空間術筆頭。

「本当に久しぶり!何ヶ月ぶりだっけ?いつかの定例会が最後だから…実に半年以上ぶりだね。いやー、書類は誰かに橋になってもらってたから、生きてるのは知ってるけど…ここまで見ないとはね」

 空間術は集中力と空間認識能力が必要となっている魔術だ。どちらかと言えば数式で魔術を構成する魔術となっている。

「セレナちゃんがちゃーんと学園行っていることにウチはびっくりしたよ」

 天八座で一番明るく楽観的なのはこの人だろう。

「そー、ね、セレナちゃん。ひま?」

「え、い、いえ。暇では─」

「暇なんだね‼これから討伐行かないとなのー。てっことで、」

 セレナは次の言葉を予想してしまい後ろに下がる。しかし、リーナも追いかけていくように前に進む。いつの間にかセレナの背には王宮の外壁に当たっていた。

(しまった…)

 そう思うと同時に両肩に重みを感じた。ギギギ、というようにゆっくりリーナの方を向く。

「討伐。来てね」

 有無を言わせない笑顔。もしかしたら、天八座の特徴なのかもしれない。

「む、むり、無理です…わたし、行きません」

「何言ってんのよ【流星の魔術師】ちゃん」

「そ、それはただのでっち上げで…」

「えー、だって北の街で竜討伐しちゃったんでしょ?噂になってるよー。時計台に現れた幻の魔術師」

「いえ、違います…」

「流星を撃ち落としたあと、火の海を水の魔術で消した聖人とも言われてるね」

「だ、だから、それもでっち上げで…わたしじゃなくて…」

「キラキラの言った通り、火を消したのは主だぞ」

 どこからともなくユリが現れた。定例会の間暇になり王都を見て回っていたようだ。

「ゆ、ユリ。言わなくていい…」

「なんでだ?主がすごい事言った方いいだろ」

「ほらー、ユリちゃんも言ってるんだしねぇ」

 味方はいないと知ったセレナは青色になっていく。

「ところで、キラキラって誰よ」

 セレナの様子は気にしないリーナのそんな突っ込みが響く。

「え、キラキラはキラキラだぞ」

 ユリのそんな回答にリーナは呆れる。

「あの、た、多分リーナさんの事だと…」

「ウチ⁉」

 うーん、と腕を組みリーナは考える。

「まぁ、嫌な気はしないよねー。ユリちゃんセンスあるー!」

「そうだろう!そうだろう‼」

「最悪だ…」

 セレナは、壁に沿ってズルズルとしゃがみ込んだ。自分の呑気すぎる使い魔と自分の明るすぎる同僚。手を取り合うとセレナにとって利がない事しか起きない。

 リーナはどん、と手を胸に当て自信ありと立っている。

「安心しなよ。なんて言ったてウチがついているんだから!」

「そういう話ではないです…」

 そう嘆いているセレナをリーナは引きずりだし、王宮から少し離れた場所に向かう。向かった先は花畑。色とりどりの花が咲き乱れている。ここならいいね、と呟いているリーナの後ろにセレナはいる。

「あ、安心してよ。ここ、人払いしてるから」

 その一言にセレナはほっと一息をつく。

「ユリちゃんはセレナちゃんの何処かに引っ付いててね。じゃないと弾かれるから」

 ユリがセレナの制服にくっつく事を確認したリーナは懐から小さな杖を取り出した。

「それ、主も持っているやつか?」

 ユリが思わず問いかける。

「そーそー。セレナちゃんとは少し違うけどそーだよ」

 少し雑な回答をしながら杖にかけていた魔術を解いていく。そうすると杖はセレナの身長を優に超える長さのものになった。

「さぁ、魔物討伐行くよぉー!」

 リーナは空間術筆頭の証の一つ。空色の水晶が付いている杖を地面に突き刺した。 突き刺した所から地面に術式陣が浮かび、風が吹いてきた。

「リーナ・アグレリアとセレナ・リブロを南の大地エンロール街に!」 

 光と風に包まれ三名は花畑から姿を消した。

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