5.興味、関心
前回のあらすじ
ルナとの外食を楽しみました。
カフェを出れば外は太陽が上がっていた。お店も開店しているので、人が多く出歩いている。
「セレナ行きたい所ない?」
道の隅を歩いていると
「ないよ…あ」
セレナの呟きを聞き、ルナは足を止めた。
「どうしたの?」
「えっと、花屋…行かないと」
「花屋、プレゼント?」
「そうじゃない、けれど…その、ど、同居人に頼まれて?」
「同居人…?」
セレナの視線の泳ぎ方が異常だったのでルナは突っ込まないことにした。
「まぁ、いいや。花屋ね。いいお店あるよ!」
セレナの手を取りルナは走り出す。ずっと走りにくい服装をしているルナは、セレナよりもずっと軽やかに走っている。一方、制服であるがルナよりもずっと走りやすい格好をしているが、足取りはもたついている。
体力が全く無いセレナは、必死でついて行くしかない。後ろを振り返る。従者のライカは、ただ歩いている。
(普通に歩いているように見える…けど、距離は変わってない。従者として能力がある人…)
ただついて行くだけのセレナは、それだけを思う。
「ここだよ…って息切れ凄いね…」
ルナが連れて来てくれたのは色が溢れかえっているお店。とても、華やかだなとは思うが、息切れと足の疲れでそれどころではない。息を整えた後セレナは花屋に足を踏み入れた。
(うわ、甘い匂い…。しかも色が多いから目がチカチカする…)
ルナは、お店の中をくるりと回るみたいだ。
「お客様。何かお探しですか?」
男性の店員さんが話しかけてきた。愛想の良さそうな人だ。
「あ、その、この花が欲しいのですが」
セレナが渡したのは手のひらサイズの紙に書かれた花の名前。ユリから聞いたものをただ書いてきただけだ。
「あぁ、ハルジオンですね。少々お待ちください」
そういい店員さんは離れて行った。セレナの視線は花からその隣にある、看板へ移った。
花言葉。愛情、感謝、希望
すぐに視線を外し、店員さんの方を向いた。
「こちらハルジオンです。花言葉は、追憶の愛や」
「えっと、はい、それで大丈夫です」
「そ、そうですか。では、包みますね」
セレナの即答に驚いたのか、店員さんは少し動揺しながら花を包んでいく。
(花言葉とか好きだよね。色々な人)
そんな冷めた感想を持っていたセレナだった。
「お待たせしました」
「…はい」
花と引き換えに代金を渡し、お店を出た。
「あ、セレナ!こっち!」
ルナは先にお店を出ていたのか、日陰でライカと休んでいた。
(ルナが一人の時はライカさんが付いているのかな)
セレナは小走りで向かう。
「お花買ったんだ!えっと、白い花…」
「お嬢様、ハルジオンという花です」
「ハルジオン?へー」
ルナは物珍しいのか、まじまじとセレナの持つ花を見ている。
「…花、興味あるの?」
「うーん、そこまでは無いなー。ただ、たまに貰うの」
「たまに…」
疑問は浮かびつつも花屋を後にしたセレナだった。
✿✿✿
「セレナ!次、これ着てみて!」
そういうルナの両手には大量の服がある。
ワイシャツ、スカート、ワンピース、スラックス…セレナが知っている服の名前だとこれくらいだ。ただ、それ以上の服があるそうだ。
「うーん、セレナ、どんな服好き?」
「ど、どんな…」
セレナは、洋服に興味関心は特に無い。無頓着とまで言える。現に持っている私服は行方不明だ。
「えっと、動きやすいの、かな」
「動きやすいかぁ」
ルナは、そう言うと試着室の前から離れ、服のある棚の方に向かった。
(…ふぅ、何着わたし着たのかな)
「お疲れ様です。セレナ様」
「あ、お疲れ様です?」
試着室の前にある椅子に腰掛け、一息ついているセレナの元にライカがやって来た。
「あ、あの、ルナの近くにいなくて、いいのですか…?」
「ご安心ください。何かある前に全て始末しますので」
その言葉と共に手を胸ポケット前に当てたライカ。カンと言う鉄同士が当たるような音がした。心做しか、笑顔も黒くなっている気がする。
セレナが、変わり様にビクビクしていると、ライカの笑顔は元に戻った。
「セレナ様、お嬢様と仲良くしてくださってありがとうございます」
「い、いえ。わたしは何も…」
「いえ、セレナ様のお陰で我が主ルナお嬢様は変わりました」
ライカは、視線を目の前のセレナからルナに移した。
どうやら、何かで悩んでいるようだ。唸っている様子が試着室前から見える。
「我々でも出来なかった事をセレナ様は成し遂げてくれました」
「……」
「どうか、これからもお嬢様と良きご友人でいて頂きたいです」
「……、そう、ですね」
ライカからは、セレナの表情が見えなかった。




