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星撃ちの魔術師  作者: 星宮 しずく
2章 風薫る街
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4.これが世間話?

前回のあらすじ

文字が大好きな事がバレました。

 少し前に飲み物が運ばれてきた。こういう場所では主に飲み物が先に来るらしい。

「最近は、こんなのが社交界では流行なんだよ。あとは、学生に人気なのはこの辺だね─」

 ルナは、紙を広げて説明してくれる。文字が書かれているのではなく、女性が様々な服を着ている。セレナが見ない種類のものだ。説明を聞き流しつつ写真を眺めていく。

「…あのさ、今更だけどさ」

 ルナは説明を止めて聞いてくる。前置きがあるくらいだ。なにか重要なのだろう。前のめりにルナはなってくる。

「…セレナってさ、本当に天八座なの?」

「えっと、うん、一応?」

 返答を聞いたルナは椅子に戻り背中を預ける。

「見えない…」

 ため息をつくように言いながら目元を腕で覆った。

「…私ね。それなりに社交界行ってるの。天八座の人も見るよ」

 ただね、と言い預けていた背中を起こしセレナの目を見た。

「セレナはさ、見た事無い!」

「う、うん。わたし、社交界、行かないもん」

「なんで⁉行こうよ」

 楽しいよ!と言うルナと、うう、と呻き声を上げるセレナ。

「お待たせしました。ホットケーキです」

 そんな会話の中、注文の品を持ってきてくれた店員さんが、目の前に置いてくれる。

(音もなく食器を置けるし、運べるのか…。魔術に応用出来ないかな)

 店員さんの技術を魔術に上手く組み込めないか考えていると、ルナが不思議そうにしてセレナを見ていた。

「食べないの?」

 そう聞かれて思考の海から出されたセレナは、目の前のナイフを取るまではした。

「…これってどうやって食べるの?」

 恐る恐るセレナが聞けばルナは答えてくれる。テーブルマナーの右も左も分かっていないセレナに優しく教えてくれる。お陰でどうにか食べる事が出来た。

「…おいしい」

「でしょ!」

 ふわふわしている。どことなくケーキ、というものに似ている気がするとセレナは感じる。商品名にケーキと入っている事にはまだ気づいていない様だ。ルナは、同じものだが生クリームを掛けている。大の甘党なのだな、と見れば分かる量だ。それを美味しそうに頬張っている。それを見ながらオレンジ付きの飲み物を傾ける。

(誰かと食事するの久しぶりな気がする)

 仕事で強制的に連れていかれた事はある。でも、今は違う。自分が行き、誰かと過ごす。たまには、こんな日もあって良いのかもな。と感じるセレナだった。


✿✿✿


「そういえば魔術戦、夏に延期だってね」

 ルナが、思い出したように話した。セレナ的には延期ではなく中止となって欲しかったところだ。魔術戦は二人一組でやる競技。本来セレナは一人で学年の全員は相手出来る実力はある。

 しかし、目立ちたくないセレナは、力を出さずに魔術戦で失敗計画を立てていたのだ。幸か不幸か、セレナの相手は優秀と言われる一組所属のルナ。全てルナに任せてもいいが、一組の子が最初で負けるなんてきっと許されない。少しはセレナもサポートに回らなければならない。

 セレナの失敗計画は始まる前に崩れた。

「あの、ルナはどうしてあの日学園に居た…のですか」

「あの日?…あぁ、ただ校長先生と話してただけだよ」

 セレナが、言い淀んでいた事をいとも簡単に答えられた。なんだか、悩んでいたセレナの方がおかしいように思えてきた。

「なんの話?」

「商品について」

「商品…?」

「校長先生が、家の商品が取り寄せられないかってさ」

 ルナは男爵家の娘。確か、シャーレイ、という少女に成り上がりと言われていた。商品、ということは商売をしている家だろうと予測を立てている。

「火に強い紙。ほら、燃えたじゃん」

 燃えた、と言われて思い出すのは倉庫爆発の事だ。あれはなんとも言えない先輩が起こした事件。先輩が起こした、というよりもユリのせいで派手に起こったというのが正しい気がする。

「一応商家だからねー」

 ルナは、いつの間に注文したのかまた『ほっとけーき』という物を食べている。お腹すいているのかな。と思いながら、セレナは飲み物を傾ける。オレンジ付きの飲み物は、美味しい。新鮮、という事が良く分かる。

「校長先生の話が終わって廊下出たら、なんか知っている背中が見えたから気になって追いかけたの。下校時間過ぎているのに何しているんだろうなと思ってね」

「そ、そっか」

「そしたら、警備員さんと揉めてるみたいだから間に入った。それだけだよ」

 それだけ、と言っているが簡単な事ではないだろう。大人と子ども、警備員と生徒が揉めていたら大体の人は間に入らない。でも、ルナは迷わず間に入り、逃走劇まで起こしてしまった。

(ルナは、正義感の強い人だな)

 それが、すこし羨ましく感じた。


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