093●対’人類仮想敵必要論’
おや、今朝のジン、なんか晴れ晴れとした顔だな。いいことあったのか?
「おはようございます、アキラさん。エイミーさんは、まだですね。」
「おはよう、ジン、ココア。もうすぐ、来るだろう。」
ドアが開いて、エイミーが入ってくる。
「Good Morninng! 今日はわたしが最後かあ!」
「みなさん、お茶とコーヒー、どちらがいいですか?」
「いや、ココア、いいよ、自分でやるから。」
と、言っているうちに、人数分が出てきてしまうんだよな。
しかも、それぞれの好みに応じて、焙じ茶、お抹茶、ブルーマウンテンと。
「で、ジン、何かいいことあったんだろう?」
「わかります?そうなんです、やっと自分なりの結論が出たんですよね。」
「あの’人類仮想的必要論’か?・・・どうなったんだ?」
「どうなったのよ?聞きた〜い!」
ジンが話し始める。
・仮想敵に頼る団結の限界
仮想敵を設定して国民を団結させる方法は、短期的な効果しか持たない。
それは「敵」という外部要因に依存した、もろい団結に過ぎない。
敵がいなくなれば団結する理由も失われ、人々の心は再びばらばらになる。
また、憎悪や差別を助長し、
国内の真の課題(教育、貧困、環境など)から目をそらしてしまう危険性がある。
このような団結は、強固な基盤を持たず、
いつか崩れ去る砂の上の城のようなものだ。
・「ライバルは自分だ」がもたらす真の団結
真の団結は、外部に敵を求めるのではなく、
「ライバルは自分だ」という考え方から生まれる。
これは、国民一人ひとりが自己の成長を目標とすることで、
国全体の成長を促すという、内発的な動機に基づいたものだ。
この考え方により、人々は他者を敵ではなく、
共に成長をめざす仲間として尊重し、助け合うようになる。
また、団結のエネルギーは、争いではなく、
国内の課題を解決するという建設的な方向へと向けられる。
結論として、国民が真に団結するためには、
外部の敵に頼るのではなく、一人ひとりの内的な成長を促し、
その総和として国全体の進歩をめざすという、成熟した論理が必要なのである。
・仮想敵に頼らない人類の団結
人類全体の団結も、国レベルの団結と同様に、
外部に仮想敵を見出すことではない。
内なる課題に目を向けることで、より強固で持続可能なものになる。
例えば、気候変動や貧困、疫病の克服といった地球規模の課題は、
人類共通の「本当の敵」と考えることができる。
これらの課題は、特定の国や民族の責任ではなく、人類全体で解決すべきものだ。
この共通の課題に立ち向かうことで、
私たちは互いの違いを超えて協力し、技術や知識を分かち合うことができる。
他者を打ち負かす競争ではなく、
自分たちの生活をより良くするための協調へと意識が変わるのだ。
「ライバルは自分だ」という考え方は、
国家間の競争や対立を乗り越え、人類全体の成長と進歩を促すための鍵となる。
「う〜ん、わかるんだけど、ちょっと理想論かな?」
「俺もいろいろ、ヒトの嫌なところ、見てきたからな。この考えで上手くいくか?」
ジンが笑って言う。
「理想論を現実にした人たちを、たくさん見ることができましたよ。大丈夫。仮想敵に頼らない社会を、世界を作ることはできます。」
「それでも、仮想敵を作る連中、って出てくるんじゃないか?いろんなことを、他人のせいにするのは、楽だからな。」
俺の言葉に、ココアが言う。
「そうですね。誰かの責任にすれば、わかりやすいですしね。でも、だから、そうしてしまうこととの戦いなんだと思います。やはり、’ライバルは自分’では、ないでしょうか?」
「こらっ、アキラ!あなたはココアちゃんが言うと、すぐ納得するんだから!」
いや、そういうわけじゃないんだけど。そういうわけじゃ・・・。




