008●何世代かあとの技術
「事件が起きる5分前からの映像です。」
ココアが俺たちの端末に映像を転送する。
・・・俺が見た時のまさに、その光景だ。
突然、潰れていく車。良くわからんな。自分でリプレイしてみる。やはり、前触れはないよな。
何か、天候上のことか?凄い気圧がかかったのか?
不自然だな。規則的に破壊されているのが、腑に落ちない。
「わかりにくいですね。ココア、修正映像にしてくれないか?」
「了解です。推測に基づく部分があります。必ずしも正確とは言えません。」
・・・うわっ、なんだあ?!このでかいヤツ?!
これが歩いてきたら、そりゃあ、車の1台や2台、押し潰されるよな!
「光学迷彩、ですね。それも、とびっきりの。」
「昔の、あのスパイ映画シリーズに出てきたやつ?」
「エイミーさん、その理解で正しいです。つまり、全方向からの映像を、全く反対側に映し出すことで、まるで透明になったように見えるって技術です。これ、きっとレーダーにも感知されない、ステルス性能もあるんじゃないかな?」
「こんなものが、完成してるんだ。ラボでも可能なの?」
「いえ、現在の世界のあらゆる技術や情報を駆使しても、これだけのものはできません。あと何世代かで、やっと実現するかどうか、ってところじゃないですか。」
うーん、そんなモン、どこの誰にできるんだ?
「ともかく、喫緊の問題は、このデカブツがどこに行ったかだな。足跡を辿れないのか?」
「それが、途中で消えてしまっています。衛星からの画像も解析しましたが、見当たりません。ごめんなさい。」
いや、ココアが謝ることはないんだよ。しかし、ということは。
「こいつ、突然現れて、突然消えたってことになるのか?」
「そのとおり。この話を聞きつければ、どこの国のどんな機関だって、興味をもつでしょうね。やっかいだな。」
ジンが考え込むのって、あんまり無いよな。こりゃあ、深刻だな。
「ねえ、キッキンてなによ?」
エイミー、すまん、だが、今、そこじゃない。




