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009●魔法でも、科学でもない
今だ!行け!
王女を亡き者にすれば、残るのは我らの王子のみ!
さすれば、自ずと王位は王子に継承される!
何が起こっている?!
誰だ、玉座に突っ込んでいくのは?!見たことがない男だ!
しまった、王子派の刺客か?!
王女が危ない!
まさに、刃がテレーゼに迫ろうとしたその時、
両手を広げて立ちはだかった者がいる。
「さがれ、無礼者!姉上に指一本でも触れてみよ!わたしが許さん!!」
迫りつつあった男が、凍りついたように立ち尽くす。
だが・・・その王子を正面から抱きかかえるように庇うものがいた。
「だめ!アーサー!あなたはお父様の跡継ぎ!危ないことはだめ!」
誰も動けなかった。それは魔法でも、科学でもなかった。
だが、そう、誰も動けなかったのだ。
「わたしたちが出る幕はなかったね。」
「いや、迂闊だったよ。この夜会で、王家の思いを尋ねようとしていたんだが。」
「アーサー殿下のお声に驚いて、駆けつけてみるとあれだもの。」
「両派閥の長をはじめ、皆が平伏していたな。両殿下の思いが、事態を解決させたね。」
「テレーゼ様は12歳、アーサー様は10歳。それであの迫力だもの。大したお方たちだ。」
ロイとふたりで胸を撫で下ろす。強いものだな、家族の絆は。




