079●わかったこと & 080●井の中の蛙、大海を知らず されど空の青さを知る
079●わかったこと
新入生がやってくる。
今日は対面式だ。桜が咲いている。綺麗。
ゴンタと同じクラスだ。ジン君は別のクラス。でも、いいや。
なんだか、この1年でわたし、随分、変わったな。
これって、成長っていうの?よくわからない。
でも、わかったことがある。
知ること、考えることの大切さ。
深く知り、理解すれば世界が変わるかもしれない。
ちょっと感傷的だな。
やっぱり春だね。
080●井の中の蛙、大海を知らず されど空の青さを知る
ロイ、君は、霧の海域の向こう、エンジェラム王国から来たよね。
科学という名の魔法を操り、誰も知らない技術を使う。
わたしは、君のすべてを知っているわけではない。
この国で出会うまで、きっといろいろな経験をしてきたのだろう。
そんなことを考えながら、今、ともに空を見上げている。
朝焼けの色、星の動き、風の流れ。
静かに、優しく君は語る。
広い世界を君は知っている。
だが、今は大海のことではなく、空の青さだ。
そうだ、わたしは、君が見てきた広い世界のことを知らない。
けれど、君がいう、空の青さはよくわかるよ。
大海を知る者がいるからこそ、世界は広がる。
空の青さを知る者がいるからこそ、世界は深まる。
どちらも欠けてはならない。
広さと深さは、互いに支え合って、ひとつの真実になる。
なんだか、体の奥が熱い。
誰かがわたしの中にいるようだ。
ふたりではなく、3人で見上げているような気がする。
わたしの目に、なぜ涙が浮かぶのだろう?
風が吹く日もある。雨や雪の日もある。
だけど、それらも同じ空だ。
苦しいことがあっても、
この空の下で生きていこう。
みんなと一緒に。




