070●イワンの馬鹿作戦
「ラベリア軍が、あの山を登って攻めてくるんだって?!」
「そうなんだ、ウィル。いやあ、ついに来たね。きっと限界なんだ。」
「いや、ロイ、平然と言ってるけど、これって大変なことだよ。直ぐに迎撃準備をしなければ。」
「そうだね。人数が多いな。しかも、空腹ときている。うーん、腕が鳴る!」
君がそういうのは、珍しいな。いつも戦闘は極力避けている人なのに。
命の奪い合いになるんだぞ。
「よし、じゃあ、早速、始めよう!アリスやマギ、ガイ、レオの力も借りるぞ!」
そうだな、大ごとだからな。エンジェルとエンジェル・ナイトも全て投入しなければならないな。
「ウィル、君には会場をいくつも用意してもらいたいんだけど。」
会場?戦場のこと?
「できるだけ、見晴らしのいい、快適に過ごせるところがいいよね。」
見晴らしがいい?敵の行動がよく見渡せるってことだな。
でも、快適、って?
「さあ、取り掛かるぞ!真剣勝負だ!」
敵の兵たち、よく食べるなあ。食べ過ぎに気をつけてよ。
あっ、ワインも好きなだけ飲んでいいけど、酔っ払って倒れないようにして!
「なんで敵を、こんなに饗さなきゃならないんだ?君の料理の腕は見事に発揮されてるけど。」
「いいじゃないか、ウィル!彼らはみんな手にタコがあるんだから。あっ、アリス、向こうのテーブルに人をまわして!料理の追加だ!」
「はい、マイロード!こらあ、レオ!つまみ食いなんかするな!」
「みつかったあ!でも、アリス様、すごくおいしいんですよ!」
「わたしも食べたいとは思っているんだが・・・。いや、イカンだろ!作戦行動中だぞ!」
「アリス、構わないよ。君たちも是非、味わって感想を聞かせてほしいな。」
「いえ、マイロード・・・。そうですか?了解です!」
汗だくで山を越えてきた兵士の目の前に、見たこともないような豪華な食事が提供された。
大宴会が始まった。
後に歴史に残るこの宴会が終わった時、戦おうとするものは、ラベリア軍には誰もいなかった。
満腹の腹を抱える彼らは、誰もが穏やかな表情を浮かべていた。




