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063●エグゾダス
避難民たちを支援する各中継地点には、地元の住人が支援のため待機している。
非常食や飲み物、着替え等が集積され、王都からの派遣者たちが、効率よく物品の追加手配をする。
しかし、それぞれの村々から、次々とやってくる避難民を見た人々は、その姿に声を失った。
彼ら彼女らの悲痛な表情。
嗚咽が聞こえる。
顔は煤だらけだ。
それでも、故郷を焼き払い、たどり着いた者たちは、決して哀れな民ではなかった。
「やったぞ。」
「わたしたち、ちゃんと戦ったからね。」
「帝国の連中、驚けよ。」
「じいさんの魂は受け継いでるからな。」
「みんないる。誰も欠けてない。」
「先祖が残したいちばん大事なもの、命と伝統を必ず繋ぐ!」
支援をする者は、支援を受ける者の決意と勇気に、心が震えた。
そうだ、もうすぐだ。
次は、自分たちが脱出する番だ。
この人たちのように、勇気をもって。
多くの言葉は必要ではなかった。
避難民への支援を住民が涙ながらに行う。
腹を満たし、喉を潤し、身体を拭き、着替えを行い、最後に支援者と抱き合い、避難民は次の中継地点に向かう。
目的地、伯爵領インフィニティまでは、まだ遠い。
何も残さず、避難して生き延びること。
それが今の彼ら彼女らの戦いだった。




