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053●わたしにしか、できないこと
「行ってくるよ、ウィルフレッダ。留守を頼んだよ。無理をしないでね。」
馬上の君が言う。そんな眼、しないでよ・・・。
もう、会えないんじゃないか、と不安になる。
「必ず戻ってくるんだぞ。君の料理がないと、わたしの食欲は満足せん。」
柔らかく、いつものように君は微笑むんだな。
「もちろんだ。帰ってきたら、すごいご馳走、作るから。それじゃあ!」
後ろ姿を見つめる。
君は振り返らないんだな・・・。
わたしも一緒に、と言ったが、
「君にしかできないことが、あるだろう」って。
そうだ。今は‘その時’に備えなければならない。
わたしにしか、できないこと。
陛下の「ウィルフレッド子爵に従え」のお言葉。
やらなければならないことが、山積みだ。
ロイ、戻ってきたら、君とワインを飲みたい。
無事に帰ってきてくれ・・・。




