050●王の旅 涙の理由は?
陛下が僅かな護衛を連れて、領内を見て廻られるのか?
ウィル、それは大丈夫なのか?
安全は担保されているんだろうな。
私は筆頭大臣になって、まだ日が浅い。
この国の未来を一身に背負う覚悟を決めたばかりだ。
水害の復興は順調に進んでいるが、この大切な時期に、陛下の身を危険に晒すことはできぬ。
なにっ、陛下がそうおっしゃっておられるのか?ううむ・・・やむを得ん。
護衛は信頼できる、腕の立つやつがいい。
「ラベンダー伯が同行されるのか?それは良い!」
ウィルが頷く。
「伯の直属の剣士も行ってくれるのか!」
「はい、もちろんです。」
「ますます良い!えっ!ウィル、あなたも行くのか?」
「ええ。父の許可も出ております。王都の職務は他のものが代行しますので、心配ありません。」
「陛下がそれでよい、と?」
「はい。」
「ううむ・・・。相分かった!だが、もちろん当たり前だが、3人だけではイカンぞ!少なくとも1個’連隊’は連れて行け!いいな!」
私の言葉に、ウィルが再度、頷く。
陛下が村々を訪れられる。
それぞれの村の長の家で、長時間お話になる。
ロイも同席している。わたしとアリスは外で警備にあたる。
出てきた長は、決まって込み上げる何かを抑えきれないかのように、顔を歪ませ、とめどなく涙を流していた。
陛下は優しく肩を抱かれる。共に涙し、手を握りあう。ロイも複雑な表情だ。
何を話したんだ?
わたしたち、ふたりに表を守らせておいて。
まあ、1個’小隊’と一緒だけど。




