033●ホワイティ
海はいいな。
ロイの母国はどんなところなんだろう?楽しみだ。
この船、速いな。気分がいい。
平和だな。そうだ、平和だ。
隣国との関係もいい。食糧の相互提供だけでなく、多方面の技術提携も実現した。
育成者たちの派遣も順調だ。
ウィリアム陛下に日頃のお礼を言うため、エンジェラム王国に赴くように、と勅命があったのが嬉しい。
船室も清潔だ。船員も朗らかで、それでいて動作がきびきびしている。
誰かに言われて動く、というのではなく、自分たちで考えて行動しているように見える。
船長は規律重視で適切に指示はするが、意見をよく聞いている。
海の男って、酒を浴びるほど飲む荒くれ者という常識は、ここでは通用しないってことだな。
3日間の海路は穏やかだった。
いや、一度だけ海賊船らしきものが見えたが、マストの旗を見たのだろう、早々に離れていった。
青地に白で、ドーナツのような輪っか載せた顔を表す円と、体を表す三角。
その両脇には、直角三角形が翼をかたどっている。
確か、陛下の御座船の旗は、青字に金色だったな。
やがて船は港に着き、そこからは馬車だ。
馬が立派だ。乗り心地もいい。揺れないぞ。
いつもながら不思議だ。伯爵領以上の技術力だな。
首都、ホワイティに着く。王城へと向かう。
伯爵領と同じで、人々は柔らかな視線で歓迎してくれている。
馬車の道を誰もが譲る。
小さい子が手を振ってくれる。
かわいい。でも、まわりから騒がないようにたしなめられているのね。
いいんだよ。
わたしが手を振り返すと、大喜びしてくれた。
すばらしい日は、あっという間に過ぎる。
レイディ・ミカの弾いてくれたピアノフォルテ、心に染みた。
あんな楽器があるんだな。
ロイ、うちでもつくろうよ!
できるんでしょ、君なら。




