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012●罪滅ぼし
権藤くん、何してんだろう?
窓ガラスを開けている。
何?虫?
「ゴンタ、どうしたの?」
権藤 太一郎、略してゴンタ。そう呼ぶことにした。
そのかわり、というわけでもないが、向こうは高見さんとも、高見様とも言わず、亜子と呼んでくる。
生意気ね。
「ああっ、見られちゃったな・・・。外に出られないで、バタバタしているからね。逃がしてるんだ。」
「それは慈悲深いことですなあ。」
「うん。理由があってね。」
アリをつぶすの、たのしい!
おおきな巣ををみつけたぞ!
バン、バン、バン!ハッ、ハッ、ハァー!
かみさまになったような気分。おもしろい!えーい!
いたーい!!
こんなところにバラのえだが!トゲが!
おかあさん、いたいよー!
「手当をしてくれながら、母は言ったんだ。太一郎、痛かったね。でもね、アリさんはもっと痛かったんだよ、って。俺がやっているのは、ただの罪滅ぼしなんだ・・・。」
ゴンタ、お母さんが小学生の時に亡くなったって、聞いた。
そうなの。そうなのね。
ごめん。ごめんね・・・。




