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011●マハトマを継ぐ者

両陛下も両殿下も、ロイの話に聞き入っている。

わたしもそうだ。


「国民の幸福は、突き詰めれば」と、ロイは話を切り出した。

「統治者が代々の王であろうと、国民が選んだ代表者であろうと、突然現れた専制君主であろうと、衣食住が満ち足りて、自由で安全で健康で文化的な生活が送れていれば、達成されている、ということです。」

いや、ロイ、ちょっとご無礼じゃないのか?ひやひやするんだけど。


「なるほど。余がそれらを保証できなければ、民衆が、極端な場合、暴動や反乱を起こすというわけだな。」

「そのとおりでございます、陛下。」

「しかし、蜂起しても為政者が力づくで抑え込むのではないか?武力という点では、民衆は圧倒的に不利だ。」

「武力衝突では民衆に勝ち目はありません。しかし、他の方法があります。」

「どんなの?教えて!」

王女様、かわいいな。


「遠い国の話なのですが。あるところに、後にマハトマと呼ばれる男がいました・・・。」


マハトマは帝国に支配されている植民地の生まれだった。

強大な世界帝国、圧倒的な兵力、軍事力。

人種差別も加わる圧政だったが、力では対抗できるはずもない。

彼が選んだのは「非暴力・不服従」。

それは、徐々に帝国の支配を弱めることになる。


「マハトマの考えに感化された、シャープな思考力を持つ者が、専制政治に対抗する手段を体系化しました。暴力や武力を使わず、組織的・計画的に内部から政権を倒す方法です。例えば・・・。」


なるほど。ロイ、よくわかった。心せねばなるまい。

王である余が、私利私欲に走るなど論外だな。

民あっての統治者だ。テレーゼも、幼いアーサーさえも眼を輝かせて聞いておる。

そなたたちが、やがて、わたしの跡を継ぐ日がくる。

よい、よい。その考えを皆に広めよ。

王家がこれから、寄って立つ柱とせよ。


しかし、ウィル、ロイとの仲はどうなっておる?

確かに公的な場では男性として振る舞うように申し付けたが。

ロイ、そなたもそろそろ、気持ちを伝えたらどうなのか?

ううむ、まどろっこしい。

もっとお互い、積極的にならねばいかん!

・・・王に気を揉ませるでない!


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