Episode 5: Amy & Brady
登場人物
田所家
健一 /元ハリウッド映画原作主演
カヨ /健一の妻、ハリウッドのカリスマ、管理魔、
トシキ /健一の息子、東大生、マザコン
シンディ・ゴールドバーグ/トシキの彼女、カヨの弟子
エイミー・ヴァーデン/シンディの友達、ストイック
ブレイディ・ヴァーデン/エイミーの兄、役者志望、レッドブル、ジャンクフード好き
翌日、午後。
サンタモニカのカフェ。
「Third Street Promenade」の近く。
トシキとシンディは、テラス席に座っていた。
「Amy, coming soon?(エイミー、もうすぐ来る?)」
「Yes. She texted me. Five minutes(ええ。メッセージ来た。5分後)」
「What’s she like?(どんな人?)」
「She’s…very disciplined. Very healthy(彼女は…とても規律正しいの。とてもヘルシー)」
「Healthy?(ヘルシー?)」
「Yes. She’s into fitness. Nutrition. All that(ええ。フィットネスが好き。栄養学も。そういうの全部)」
「へぇ」
トシキは、少し興味を持った。
(フィットネス好きか。スイミングやってた俺と話合うかも)
その時。
「Cindy!(シンディ!)」
声が聞こえた。
振り返ると。
ブロンドの女性が、走ってきた。
ランニングウェア。
スニーカー。
汗をかいている。
「Amy!(エイミー!)」
シンディが、立ち上がった。
二人は、ハグした。
「Long time no see!(久しぶり!)」
「I know! How have you been?(本当ね!元気だった?)」
「Good! I just finished my 10K run(元気よ!今10km走ってきたところ)」
「10K? Before meeting us?(10km?私たちに会う前に?)」
「Of course! Morning routine(もちろん!朝のルーティンよ)」
「…」
トシキは、少し引いた。
(朝のルーティンで10km…?)
エイミーが、トシキを見た。
「And you must be Toshiki!(そしてあなたがトシキね!)」
「あ、はい。はじめまして」
「Nice to meet you! I’m Amy Varden(はじめまして!エイミー・ヴァーデンよ)」
握手。
力強い。
「Cindy told me about you. You were a swimmer, right?(シンディから聞いたわ。スイマーだったのよね?)」
「ああ、まあ…ジュニアオリンピックまで」
「That’s amazing! What was your training routine?(すごいわ!トレーニングのルーティンは?)」
「えっと…朝5時に起きて、練習して…」
「5 AM! Perfect! I wake up at 5 too!(午前5時!完璧!私も5時に起きるの!)」
「…そうなんだ」
「And your diet? What did you eat?(それで食事は?何食べてたの?)」
「母が管理してくれてて…」
「Your mother managed it? Smart! Nutrition is key!(お母さんが管理?賢いわ!栄養が鍵よ!)」
エイミーは、目を輝かせた。
「I want to meet her! She sounds like my kind of person!(お母さんに会いたいわ!私と同じタイプの人みたい!)」
「…ああ」
トシキは、少し圧倒されていた。
(この人、圧がすごい…)
席に座った。
エイミーは、水筒からグリーンスムージーを飲んでいる。
「What’s that?(それ、何?)」
トシキが聞いた。
「Green smoothie. Kale, spinach, banana, protein powder(グリーンスムージー。ケール、ほうれん草、バナナ、プロテインパウダー)」
「…美味しいの?」
「Delicious! And healthy!(美味しいわ!それにヘルシー!)」
「…そっか」
トシキは、自分のコーヒーを見た。
エイミーが、それを見た。
「Coffee? With sugar?(コーヒー?砂糖入り?)」
「ああ、少し…」
「Sugar is bad for you. Try stevia(砂糖は体に悪いわ。ステビアを試して)」
「…はい」
トシキは、少し萎縮した。
シンディが、横で笑っていた。
「Amy is very…passionate about health(エイミー、健康に…とても情熱的なの)」
「I can see that(分かるよ…)」
その時、別の声が聞こえた。
「Amy! Wait for me!(エイミー!待てよ!)」
振り返ると。
男性が、走ってきた。
30代前半。
ボロボロのジャケット。
ジーンズ。
片手に、ポテトチップスの袋。
もう片方の手に、レッドブル。
「Oh no…(まずい…)」
Amyは、顔を覆った。
男性が、テーブルに到着した。
「Amy! You didn’t tell me you were meeting friends!(エイミー!友達と会うって言わなかったじゃん!)」
「Because you always embarrass me!(だってあなた、いつも恥ずかしいことするから!)」
「What? I’m being friendly!(何だよ!フレンドリーにしてるだけだろ!)」
男性が、トシキとシンディを見た。
「Hey! I’m Brady. Amy’s brother(よお!ブレイディだ。エイミーの兄貴)」
「あ、はじめまして。トシキです」
「And I’m Cindy(私はシンディよ)」
「Nice to meet you! Want some chips?(よろしく!ポテチ食う?)」
ブレイディは、袋を差し出した。
エイミーが、即座に取り上げた。
「No! He doesn’t need junk food!(ダメ!彼にジャンクフードは必要ないわ!)」
「Amy! That’s mine!(エイミー!それ俺のだぞ!)」
「And it’s garbage!(そしてそれはゴミよ!)」
Amyは、ポテチを自分のバッグに入れた。
Bradyは、レッドブルをポケットにしまいこんだ。
「You’re not taking this!(これは渡さないからな!)」
「I will!(渡してもらうわ!)」
二人は、睨み合った。
トシキとシンディは、呆然と見ていた。
「…兄妹?」
「…そうみたい」
ブレイディが、席に座った。
「So, Toshiki, what do you do?(それで、トシキ、何してんの?)」
「大学生です」
「Oh, student! Cool!(おお、学生!クールだ!)」
「あなたは?」
「I’m an actor!(俺は俳優だ!)」
「Actor?(俳優?)」
「Yeah! Well…trying to be. Auditions, you know. Lots of auditions(ああ!まあ…なろうとしてる。オーディションさ。たくさんのオーディション)」
「へぇ」
「I’ve been to, like, 50 auditions this year. No luck yet, but hey, persistence!(今年、50回くらいオーディション受けたよ。まだ運はないけど、ほら、根性だろ!)」
「…すごいですね」
トシキは、少し感心した。
エイミーが、横から言った。
「He doesn’t get roles because he eats junk and drinks Red Bull before every audition(役がもらえないのは、ジャンクフード食べてオーディション前に毎回レッドブル飲んでるからよ)」
「That’s not true!(そんなことないだろ!)」
「It is true!(本当よ!)」
ブレイディは、レッドブルを一口飲んだ。
「Red Bull gives me energy! I need it!(レッドブルがエネルギーくれるんだ!必要なんだよ!)」
「You need real nutrition, not caffeine and sugar!(必要なのは本物の栄養よ、カフェインと砂糖じゃなくて!)」
「Whatever…(はいはい…)」
ブレイディは、投げやりに返した。
シンディが、話題を変えた。
「Brady, what kind of roles do you audition for?(ブレイディ、どんな役のオーディション受けてるの?)」
「Everything! Action, comedy, drama. Anything!(全部だよ!アクション、コメディ、ドラマ。何でも!)」
「Do you have an agent?(エージェントはいるの?)」
「…Not yet. But I’m working on it!(まだだけど。でも頑張ってるよ!)」
「…」
シンディは、少し同情した顔をした。
ブレイディが、トシキに聞いた。
「So, Toshiki, you from Japan?(それで、トシキ、日本から?)」
「Yes」
「Cool! I love Japan! Well, I’ve never been, but I love anime!(クール!日本大好き!まあ、行ったことないけど、アニメ大好き!)」
「…そうなんだ」
「And your dad, he’s in Hollywood, right?(それで、親父さん、ハリウッドにいるんだろ?)」
「ああ、まあ…昔、映画に出たことがあって」
「What!? A movie!?(何!?映画に!?)」
ブレイディの目が、輝いた。
「Which movie?(何の映画?)」
「『Digital Ghost』っていう…」
「Digital Ghost!? That was huge!(デジタル・ゴースト!?あれ、すごかったじゃん!)」
「ああ…」
「And your dad was in it!?(親父さんが出てたのか!?)」
「主演だった」
「Main role!? Dude!(主演!?おいおい!)」
ブレイディは、興奮していた。
「Who directed it? Schpieger, right?(誰が監督したんだ?シュピーガーだろ?)」
「そう」
「Schpieger ! Steven Schpieger!(シュピーガー!スティーブン・シュピーガー!)」
ブレイディは、立ち上がった。
「Does your dad know him!?(親父さん、彼を知ってるのか!?)」
「ああ、まあ…昨日も一緒に食事したし」
「WHAT!?(何だって!?)」
ブレイディは、トシキの肩を掴んだ。
「You had dinner with Schpieger!?(シュピーガーと食事したのか!?)」
「ああ…」
「Dude! Can you introduce me!?(おい!紹介してくれよ!)」
「え、でも…」
「Please! I just need one chance! One audition!(お願い!一回だけでいいんだ!一回のオーディション!)」
ブレイディは、必死だった。
エイミーが、横から言った。
「Brady, you’re bothering him!(ブレイディ、彼を困らせてるわよ!)」
「I’m not! I’m asking nicely!(困らせてないよ!丁寧に聞いてるだろ!)」
「Let go of him!(彼を離して!)」
エイミーは、ブレイディの手を引き剥がした。
トシキは、少し困惑していた。
シンディが、フォローした。
「Toshiki, you don’t have to…(トシキ、無理しなくていいのよ…)」
「いや、でも…父に聞いてみるよ」
「Really!?(本当か!?)」
ブレイディは、また興奮した。
「Thank you! Thank you so much!(ありがとう!本当にありがとう!)」
「…ああ」
トシキは、小さく頷いた。
(これ、どうなるんだろう…)
その後、四人は少し話した。
エイミーは、トシキの母親に会いたがっていた。
「She sounds amazing. I want to learn from her(彼女、すごそう。彼女から学びたいわ)」
「…母、喜ぶと思うよ」
「Really?(本当?)」
「ああ。母も、健康管理が好きだから」
「Perfect! Let’s arrange a meeting!(完璧!会う約束をしましょう!)」
エイミーは、目を輝かせた。
ブレイディは、レッドブルを飲みながら、ニヤニヤしていた。
「Schpieger… I’m gonna meet Schpieger…(シュピーガー…会えるんだ…)」
エイミーが、レッドブルを取り上げようとした。
「Stop drinking that!(それ飲むのやめて!)」
「Amy! Let me have this!(エイミー!これくらい飲ませてくれよ!)」
二人は、また言い合いを始めた。
トシキとシンディは、笑っていた。
「…面白い兄妹だね」
「Yeah…they are」
カフェを出た後。
トシキは、父にLINEを送った。
『父さん、シンディの友達の兄が、俳優志望で、シュピーガーに会いたいって。紹介できる?』
数分後、返信が来た。
『シュピーガーに聞いてみる。でも、期待させないように』
『分かった。ありがとう』
トシキは、スマホをポケットに入れた。
その夜。
健一は、シュピーガーにメールを送った。
『Steven,
My son’s girlfriend has a friend whose brother is an aspiring actor. He’s very eager to meet you. Is there any chance?
Best,
Kenichi』
『スティーブン、
息子の彼女の友達の兄が、俳優志望です。彼、あなたに会いたがっています。可能性はありますか?
よろしく、
健一』
翌朝、返信が来た。
『Kenichi,
Sure. Bring him to the studio tomorrow. I’m shooting some tests. He can watch, and maybe I’ll give him a few minutes.
No promises, though.
Steven』
『健一、
いいよ。明日、スタジオに連れてきて。テスト撮影してるんだ。見学させてあげる、それで数分くらいは時間作れるかも。
でも、約束はできないよ。
スティーブン』
健一は、トシキに転送した。
トシキは、ブレイディに伝えた。
ブレイディは、大喜びだった。
『OMG! Thank you! Thank you! I’ll be there!(なんてこった!ありがとう!ありがとう!行くよ!)』
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