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Episode 21: ゴーストバスターズ解決編

登場人物

田所家

 カヨ/健一の妻、カリスマ、管理魔

 トシキ/カヨの息子、東大休学、パン屋でバイト


 シンディ・ゴールドバーグ/トシキの彼女、カヨの弟子

 ルイーズ・ゴールドバーグ/シンディの母、UCLA教授、マッドサイエンティスト


 エマ/ハリウッド女優、カヨ大好き

 レイチェル・ジマーマン/弁護士、お人好し、幸薄

 サーシャ(アレクサンドラ・カラマゾヴァ)/三姉妹三女、カトリック

 ※カラマーゾフの兄弟のアレクセイとは無関係です

 

 グレッチェン/悪魔に取り憑かれた大学院生

 

☆なんちゃって参考文献

 ゲーテ「ファウスト」

 ※読んでなくても大丈夫!

 

土曜日、午後2時。

グレッチェンのアパート前。

古い建物。

7人が集まっていた。

カヨ、エマ、レイチェル、ルイーズ、シンディ、トシキ、サーシャ。

ルイーズは、大きなバッグを持っていた。

機材。

「Everyone’s here(全員揃ったわね)」

ルイーズは、チェックリストを見た。

「Kayo, Emma, Rachel, Cindy, Toshiki, Sasha. Perfect」

エマが、興奮した声で言った。

「Today we’ll find the truth!(今日こそ、真実が分かるわね!)」

「Scientific truth(科学的真実よ)」

ルイーズは、冷静に答えた。

レイチェルは、少し怯えていた。

「…We’re really going?(本当に行くの?)」

「Of course(もちろん)

カヨは、レイチェルの肩を叩いた。

「It’s okay. We have more people this time(大丈夫。今回は人数も多いし)」

シンディが、サーシャを見つけた。

「Sasha!」

笑顔で手を振る。

「Cindy! You’re here too!(シンディ!あなたも来たの!)」

サーシャも、パッと顔が明るくなった。

「That’s reassuring(心強いわ!)」

二人、軽くハグ。

トシキが、横から言った。

「You two get along well(二人、仲いいね)」

「Of course(当たり前でしょ)」

シンディは、笑った。

でも、その時。

トシキとサーシャが自然に会話し始めた。

「Was Viktor okay today?(今日、ヴィクターは大丈夫だった?)」

「Yes. Brady didn’t come, so he was in a good mood(ええ。ブレイディが来なかったから、機嫌良かったわ)」

「Haha, I see(あはは、そっか)」

二人、笑い合っている。

自然な笑顔。

シンディは、それを見た。

少し、胸が痛む。

(…二人、本当に仲がいいのね…)

ルイーズが、呼んだ。

「Cindy, help me with the preparations(シンディ、準備手伝って)」

Yes(はい)

シンディは、サーシャに微笑んで離れた。


階段。

全員、3階に上っていく。

ルイーズが、先頭を歩いていた。

「The purpose of today’s investigation is scientific verification of previously observed phenomena. Temperature drop, window opening, book falling. We’ll record and analyze everything(今回の調査目的は、前回観察された現象の科学的検証。温度低下、窓の開閉、本の落下。全てを記録し、分析する)」

「Mom, how many times have you said that?(それ何回目?)」

シンディが、呆れた声で言った。

「Repetition is important in science(科学は繰り返しが重要なのよ)」

「…Yes, yes(はいはい)

エマが、横から言った。

「But it’s exciting! We might meet a real demon!(でも、ワクワクするわね!本物の悪魔に会えるかも!)」

「There’s no demon. It’s all psychological phenomena(悪魔はいないわ。全ては心理的現象)」

ルイーズは、きっぱりと言った。

「But you couldn’t explain it last time, right?(でも、前回は説明できなかったでしょ?)」

カヨが、小さく言った。

「…This time we have equipment. I will definitely explain it(今回は機材がある。必ず説明できる)」

ルイーズの声は、冷静だった。

でも、少し早口になっている。


3階。

グレッチェンの部屋の前。

ルイーズが、ノックした。

トントン。

数秒後。

ドアが開いた。

グレッチェンが立っていた。

前回よりも、少し元気そう。

目のクマは相変わらずだが、髪は少し整っている。

「Rachel. And…everyone(レイチェル。そして…皆さん)」

「Hello, Gretchen. How are you?(調子はどう?)」

カヨが、聞いた。

「…A bit better. I started therapy(…少し、良くなりました。セラピー、始めたので)」

「Good」

ルイーズが、頷いた。

「But the voice?(でも、声は?)」

「…I still hear it. But it’s quieter(まだ聞こえます。でも、少し静かです)」

「Quieter? What changed?(静か?何が変わった?)」

「I don’t know. But…today, it feels especially quiet(分かりません。ただ…今日は、特に静かな気がします)」

グレッチェンは、サーシャを見た。

サーシャ、首に十字架のネックレス。

静かに立っている。

「…」

グレッチェンは、何かを感じたようだった。


部屋の中。

全員、入った。

本は相変わらず山積み。

でも、少し整理されている。

ルイーズが、すぐに機材を取り出し始めた。

「Cindy, install temperature sensors here, here, here, and here(シンディ、温度センサーをここ、ここ、ここ、ここに設置して)」

「Got it(分かったわ)」

シンディは、センサーを手に取った。

「Toshiki, fix cameras at this angle and this angle(トシキ、カメラをこの角度とこの角度で固定)」

「Understood(了解)」

トシキも、動き始めた。

サーシャは、部屋の隅で静かに立っていた。

何をすればいいか分からない。

グレッチェンが、サーシャに近づいた。

「Are you…Catholic?(あなた…カトリック?)」

Yes(はい)

サーシャは、頷いた。

「That necklace…it’s beautiful(そのネックレス…綺麗ね)」

「Thank you. It’s from my grandmother(ありがとうございます。祖母からもらったものです)」

「…」

グレッチェンは、十字架を見つめた。

「He…Mephistopheles…is quiet now. Since you came(彼…メフィストフェレス…今、静かなの。あなたが来てから)」

「…Huh?(え?)」

サーシャは、少し驚いている。

「I haven’t done anything(私…何もしてませんけど)」

「But that’s how it feels(でも、そう感じるの)」

ルイーズが、横から割り込んだ。

「Interesting. Religious symbols may be providing psychological stability to the subject(興味深い。宗教的シンボルが被験者に心理的安定を与えている可能性)」

そして、メモを取り始めた。

「Sasha, your very presence is creating a placebo effect(サーシャ、あなたの存在自体がプラセボ効果を生んでる)」

「…Placebo?(プラセボ?)」

「Psychological effect. You’re not actually doing anything, but Gretchen perceives you as a ‘holy presence,’ which gives her a sense of security(心理的な効果よ。実際には何もしてないけど、グレッチェンがあなたを”聖なる存在”だと認識することで、安心感を得ている)」

カヨが、横から言った。

「Louise, don’t treat Sasha like a lab animal(ルイーズ、サーシャを実験動物扱いしないで)」

「I’m not. Just observing(してないわ。観察してるだけ)」

ルイーズは、平然と答えた。

シンディが、小さく溜息をついた。

「Mom…」


30分後。

機材の設置が完了した。

温度センサー × 4(部屋の四隅)

4Kカメラ × 2(対角線上)

EMF検出器 × 1(中央のテーブル)

録音機 × 3(分散配置)

ルイーズが、チェックリストを確認した。

「Everything operational. Recording started(全て作動中。記録開始)」

そして、全員を見た。

「Now, let’s begin. Gretchen, go about your day as usual. We’ll just observe(では、始めましょう。グレッチェン、いつものように過ごして。私たちは観察するだけ)」

「…Okay(分かりました)」

グレッチェンは、机に座った。

『フォースト』を開く。

ゲーテ版。

読み始めた。

全員、静かに見守っている。

エマは、ワクワクしている。

レイチェルは、緊張している。

カヨは、冷静に観察している。

ルイーズは、メモを取っている。

シンディは、温度センサーのモニターを見ている。

トシキは、カメラの角度を確認している。

サーシャは、静かに立っている。

5分が過ぎた。

何も起きない。

10分が過ぎた。

まだ何も起きない。

ルイーズが、小さく呟いた。

「…It’s quiet(静かね)」

グレッチェンが、言った。

「He’s…really quiet today. Usually he’d be saying something by now(彼…今日は本当に静かです。いつもなら、もう何か言ってくるのに)」

「Anything different?(何か変わったことは?)」

「…I don’t know. But…(分かりません。ただ…)」

グレッチェンは、サーシャを見た。

「Maybe because she’s here(あの方がいるから、かもしれません)」

ルイーズが、メモを取った。

「Subject reports decreased auditory hallucinations in presence of religious figure(被験者、宗教的人物の存在下で聴覚幻聴の減少を報告)」

小さく呟く。

その時。

急に。

部屋の温度が下がった。

「…!」

シンディが、モニターを見た。

「Temperature drop! 5 degrees!(温度低下!5度!)」

ルイーズが、駆け寄った。

「Recording!?(記録してる!?)」

「Yes! All sensors are reacting!(うん!全センサーが反応してる!)」

エマが、興奮した。

「It’s here!(来た!)」

レイチェルは、後ずさった。

「…Scary(怖い)」

グレッチェンが、震え始めた。

「He’s…here…he’s angry…(彼…来ました…怒ってます…)」

「What’s he angry about?(何に怒ってるの?)」

カヨが、冷静に聞いた。

「…Intruders…holy things…he’s saying…‘How dare you bring light into my domain’(侵入者…聖なるもの…彼が言ってます…『我が領域に光を持ち込むとは…何事だ』と…)」

サーシャが、少し後ずさった。

「…Me?(私のこと?)」

その時。

本棚から、本が一冊落ちた。

バタン!

でも今回は、カメラが捉えた。

トシキが、モニターを確認した。

「…Did it capture it?(映った?)」

ルイーズが、駆け寄った。

画面を見る。

本が落ちる瞬間。

でも。

画面にノイズが走っている。

一瞬、何か…影のようなものが見えた。

いや、見えなかった。

ノイズだけ。

「…Electromagnetic interference?(電磁波干渉?)」

ルイーズは、EMF検出器を確認した。

数値が跳ね上がっている。

「EMF spike! 10 times normal!(EMF急上昇!通常の10倍!)」

そして。

窓が、突然開いた。

バン!

風が吹き込んだ。

カーテンが激しく揺れる。

でも、外を見ると。

木々は静かだった。

無風だった。

「…」

全員、黙った。

グレッチェンが、震える声で言った。

「He’s…trying to drive her out…says he can’t tolerate holy things…(彼…あの方を追い出そうとしてます…聖なるものは許せないって…)」

サーシャを見ている。

サーシャは、立ち尽くしていた。

少し怖い。

でも。

サーシャは、静かに十字架を握った。

そして、小さく祈り始めた。

「Lord, protect this place…protect this soul…keep evil away…(主よ、この場所を守りたまえ…この魂を守りたまえ…悪しきものから遠ざけたまえ…)」

静かな声。

でも、はっきりと。

その瞬間。

冷気が、消えた。

窓が、静かに閉まった。

カーテンが止まった。

EMF検出器の数値が、急降下した。

温度センサーが、通常に戻った。

「…」

全員、サーシャを見た。

サーシャは、祈り終えた。

そして、顔を上げた。

「…? Something wrong?(何か?)」

気づいていない。

ルイーズが、サーシャを見た。

表情は冷静。

でも、目が動いている。

サーシャを見て、データを見て、またサーシャを見る。

「…Sasha, what did you do?(サーシャ、あなた、何をした?)」

「I just prayed(祈っただけです)」

「Just…prayed?(祈った…だけ?)」

Yes(はい)

サーシャは、静かに答えた。

ルイーズは、何も言わなかった。

データを見る。

温度低下:記録された

EMF急上昇:記録された

窓の開閉:記録された

そして。

サーシャの祈りの直後、全てが停止:記録された

「…」

ルイーズは、ペンを握った。

でも、何も書けなかった。

いや、書けないのではない。

何を書けばいいのか分からない。

「…Missing variables(変数が足りない)」

小さく呟いた。

「Can’t prove causation. Correlation alone is insufficient(因果関係が証明できない。相関関係だけでは不十分)」

ルイーズは、もう一度データを見た。

「…Need more observation(もっと観察が必要)」

冷静な声。

でも、何度も同じデータを見返している。


調査の合間。

廊下。

シンディとトシキ、二人きり。

シンディは、壁に寄りかかっていた。

「…That was amazing, Sasha(すごかったね、サーシャ)」

「Yeah. Really(うん。本当に)」

トシキは、頷いた。

「She prayed so naturally, and everything stopped(彼女がただ自然に祈って、それで全部止まった)」

Yes(ええ)

シンディは、小さく答えた。

少し沈黙。

トシキが、言った。

「Sasha’s a good person, isn’t she(サーシャ、いい人だよね)」

「…Yes(ええ)

「It’s fun working with her. She’s serious and kind(一緒に働いてて、楽しいし。真面目だし、優しい)」

「…I see(そう)

シンディの声が、少し小さくなった。

トシキが、シンディを見た。

「Cindy, is something bothering you?(シンディ、何か気になるの?)」

「…No, nothing(ううん。何も)」

シンディは、微笑んだ。

でも、少し寂しそう。

トシキは、少し心配になった。

「…?」

その時、カヨが廊下に出てきた。

「You two, come back(二人とも、戻るわよ)」

Yes(はい)

二人は、部屋に戻った。


部屋の中。

グレッチェンが、落ち着いていた。

「…He’s quiet now(彼、静かになりました)」

「Completely?(完全に?)」

カヨが、聞いた。

「Yes. This is the first time he’s been this quiet(はい。初めてです、こんなに静かなの)」

グレッチェンは、サーシャを見た。

「Thank you(ありがとうございます)

「…I didn’t do anything(私、何もしてません)」

サーシャは、困惑していた。

「But having you here…I feel better(でも、あなたがいてくれて…楽になりました)」

ルイーズが、横から言った。

「This is a psychological effect. Sasha’s prayer gave you a sense of security, reducing your hallucinations. It can be explained scientifically(これは心理的効果。サーシャの祈りが、あなたに安心感を与えた。それで幻聴が減少した。科学的に説明できる)」

冷静な声。

でも、少し早口。

カヨが、小さく言った。

「Louise, what about the data?(ルイーズ、データは?)」

「…All recorded. But…(全て記録された。でも…)」

ルイーズは、ノートパソコンを見た。

温度低下のグラフ。

EMF急上昇のグラフ。

そして、サーシャの祈りの瞬間、全てが停止。

「…There’s correlation. But causation…(相関関係はある。でも、因果関係は…)」

ルイーズは、そこで止まった。

「Can’t prove it?(証明できない?)」

「…Not enough data. Need more observation(データが足りない。もっと観察が必要)」

ルイーズは、もう一度グラフを見た。

2回目。

エマが、横から言った。

「Louise, why don’t you admit it? It might be a miracle(ルイーズ、認めたら?超常現象かもしれないって)」

「There are no miracles. Everything can be explained by science(そんなものはないわ。全ては科学で説明できる)」

ルイーズは、きっぱりと言った。

声は冷静。

でも、グラフを3回目見ている。


帰り道。

車の中。

全員、静かだった。

エマが、言った。

「Today was…really amazing(今日は…本当にすごかったわね)」

Yes(ええ)

カヨも、頷いた。

レイチェルは、まだ少し震えていた。

「…It was scary(怖かった)」

シンディは、窓の外を見ていた。

トシキとサーシャ、後部座席で話している。

「Gretchen seemed a bit better today(今日、グレッチェン、少し楽になったみたいだね)」

「Yes. I’m glad(ええ。良かったわ)」

二人、自然に笑い合っている。

シンディは、それを見た。

胸が、少し痛む。

(サーシャ、本当にいい子…)

(優しくて、静かで、真面目で…)

(トシキと気が合うのも分かる…)

シンディは、目を閉じた。

(…嫉妬してる…?)

(いや…違う…)

(ただ…寂しいだけ…)

カヨが、シンディを見た。

そして、小さく声をかけた。

「Cindy, are you okay?(シンディ、大丈夫?)」

「…Yes(ええ)

シンディは、微笑んだ。

でも、カヨには分かった。

シンディが、少し無理をしていることが。

カヨは、静かにシンディの手を握った。

シンディは、少し驚いた。

でも、カヨは何も言わなかった。

ただ、手を握っているだけ。

シンディは、少し楽になった。


その夜。

ルイーズの自宅。

オフィス。

ルイーズは、データを見返していた。

何度も。

Investigation #2: Results(調査#2:結果)

Phenomena Observed:(観察された現象:)

∙Temperature drop: 5°C in 30 seconds(温度低下:30秒で5℃)

∙EMF spike: 10x normal levels(EMF急上昇:通常の10倍)

∙Window opening: No external wind detected(窓の開閉:外部の風は検出されず)

∙Book falling: Recorded on camera (with electromagnetic noise)(本の落下:カメラに記録(電磁ノイズあり))

Sasha’s Prayer:(サーシャの祈り:)

∙All phenomena ceased immediately after prayer(祈りの直後、全ての現象が停止)

∙Duration: 2 minutes 15 seconds(持続時間:2分15秒)

∙Correlation: 100%(相関関係:100%)

∙Causation: ???(因果関係:???)

ルイーズは、計算機を取り出した。

確率を計算し始める。

「Probability of coincidence…0.003%…statistically significant…(偶然の確率は…0.003%…統計的に有意…)」

「But causation cannot be proven…(でも、因果関係は証明できない…)」

ルイーズは、ペンを置いた。

そして、新しいページを開いた。

Hypothesis #2: Religious elements provide psychological comfort, reducing stress-induced hallucinations(仮説#2:宗教的要素は心理的安定をもたらし、ストレス誘発性幻聴を減少させる)

But:(しかし:)

∙How to explain simultaneous cessation of all physical phenomena?(全ての物理的現象の同時停止をどう説明する?)

∙Electromagnetic interference coinciding with prayer?(祈りと同時の電磁波干渉は?)

∙Temperature normalization within seconds?(数秒以内の温度正常化は?)

Conclusion: ???(結論:???)

ルイーズは、もう一度データを見た。

4回目。

「…I’m missing something(何か見落としてる)」

冷静な声。

でも、4回も見返すのは、ルイーズにしては珍しい。

「Not enough variables. Need more data(変数が足りない。もっとデータが必要)」

そして、グレッチェンのアパートの住所を見た。

「…Need to plan another investigation(再調査を計画する必要がある)」

ルイーズは、カレンダーを開いた。

次の週末に、印をつけた。


グレッチェンの部屋。

グレッチェン、ベッドに横になっていた。

静かな夜。

メフィストフェレスの声が、聞こえない。

初めて。

完全な静寂。

「…」

グレッチェンは、天井を見上げた。

(Sasha…)

あの静かな女の子。

十字架のネックレス。

小さな祈り。

(She makes me feel…safe…(彼女がいると…楽になる…))

グレッチェンは、目を閉じた。

そして、本当に久しぶりに。

安らかに眠りについた。


シンディの部屋。

シンディ、ベッドに座っていた。

携帯を見ている。

トシキからのメッセージ。

「Thanks for today. Sasha was happy too(今日はありがとう。サーシャも喜んでたよ)」

シンディは、画面を見つめた。

(…Sasha was happy too…(サーシャも喜んでた…))

シンディは、溜息をついた。

そして、返信した。

「Me too. Let’s go together again(こちらこそ。また一緒に行きましょう)」

送信。

でも、胸の痛みは消えなかった。

シンディは、窓の外を見た。

月が出ている。

(If I could dislike Sasha, it would be easier…(サーシャを嫌いになれたら、楽なのに…))

(But she’s such a good person…(でも、彼女、本当にいい子なのよ…))

シンディは、目を閉じた。

(…What should I do…(どうすればいいんだろう…))

その時。

携帯が鳴った。

カヨからだった。

「Are you okay?(大丈夫?)」

シンディは、画面を見た。

少し考えた。

そして、返信した。

「…I don’t know(分かりません)」

数秒後、返信が来た。

「Let’s talk tomorrow(明日、話しましょう)」

シンディは、小さく微笑んだ。

Yesはい


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