⑧色々頑張りました。
私達ラビット側が始めたのは、契約手続きの状況書き出しと、契約内容の確認だった。
入居者同士話をしていくと共通点が多い。
そして第三者として聞くと、変なところが沢山ある。
皆、何故あの時に気付けなかったのか、と述べていた。
驚くことに、入居者の誰も契約書を持っていない・見ていないことが判明した。
代表で入居者2名が、タイミングをずらして不動産屋に問い合わせたが、いずれもはぐらかされて、放置された。
カナデ先輩は怒って、消費者センターに連絡しようとしたけど、ここはグッと堪えてもらった。
すると、お盆で帰省した入居者から、実家に契約書があったと連絡が来た。
親に契約書について尋ねても、曖昧に返されたそうだ。
しかし、その中の何人かが持ってきてくれた。
「普段私が入らない部屋に隠してた」
入居者は唇を噛み締めていた。
実家に契約書があったという入居者達。
彼女達の親の多くは、元ライオンや元ラビット。
或いは仕事でライオンOBと繋がりがある者だった。
『貢ぎ物』として娘をラビットに住まわせた。
契約書を手に、泣く入居者もいた。
ようやく手に入れた契約書を、私はマサトに見せた。
「違約金について書いてある。でも字が小さいし潰れている」と彼は言っていた。
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マサトも、ライオンファミリー内で慎重に動いた。
いきなり学生トップになった彼は、表向きは謙虚な態度で先輩と付き合った。
飲酒喫煙の誘いをやんわり断りつつ、内部を探った。
そこで見えてきたのは、残酷な上下関係だ。
ファミリーには、新人や下位を裸にして見世物にする恒例行事があるらしい。
動画や写真も撮られ、何かあれば脅しの材料に使われる。
五籐達はそうやって服従させ、権力を強化していった。
マサトは一人で証拠を集めていたが、やがて反五籐派の先輩達が内密に協力してくれた。
ファミリー全員が、暴力で男女を取り囲む連中ではない。
伝統的な慈善活動や各界で活躍するOBに憧れて入った学生もいるのだ。
五籐が怖くて黙っていた彼らだが、マサトの存在により、少しずつ動き出した。
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充分に準備した私達は、弁護士を通して訴えた。
ライオンファミリー管理責任者である大学と、メゾン・ラビット貸主兼管理会社の株式会社ファイブ不動産に。
担当弁護士は大迫真弥さん。
マサトのお母さんである。事実婚だそうだ。
大迫さんに相談しに行った時は強烈だった。
大迫弁護士事務所はヘアサロンのように綺麗だった。
ご本人も男装の麗人のごとき長身美人だ。
てか、マサトに似てる。
「ふーん……」
マサトがまとめた資料に目を通した後、大迫さんは私達をジッと見る。
「大好物よ」と、舌で唇をペロリと舐めた。
頼もしい! でも、敵に回したくない!
「依頼者が息子でも学生でも、報酬は請求するからね」
大迫さんは手続きについて説明を始めた。
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起訴側の私達はノーコメントを徹底していた。
でもどこからか漏れたらしく。
名門大学の伝統サークルの暴行問題として、週刊誌が取り上げた。
メゾン・ラビットも注目されたが、地元警察と大学警備側が協力し、周辺警戒を強化してくれた。
私達が不要に絡まれる事態は少なく済んだ。
サークルについてはすぐに解決出来そうになかったけど、メゾン・ラビットの契約問題は、不動産会社側の不備だったということで早く処理が進んだ。
違約金条文は無効となり、入居者全員再契約が決まった。
管理も別の会社に変わり、オートロックと部屋の鍵取替工事が行われたのだった。
新しい管理人と鍵業者が、工事完了の挨拶をしてアパートを去った後、私達入居者は廊下に出て、声をあげて喜び合った。




