表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンマスクより  作者: 福本 美憂


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/25

私 2026

三角形は3点で作る。

でも、サッカーの三角形は2点でできることもある。

 ユニができた。

 番号をもらった。


 ユニは尊い。

 番号は責任を負う。


 ってことは、いよいよリーグ戦が始まる。


 不安しかない。


 相変わらず瑠はイライラしているし、それを見て律はベンチで大笑いしている。怪我人が出て、人数はさらに減っている。


 むかつく。


 Jリーグ戦の開幕戦を見て、調子悪い選手に「ちゃんと準備してこいよー!」と思っていた頃の自分をぶっ飛ばしてやりたい。


 キャンプをして、コンディションを整えて、チームを仕上げて開幕試合に臨む。プロなら当たり前だと思っていた。


 私はプロじゃない。


 でも、その日に合わせて体を作って、チームのワンピースとして試合に出ることが、どんなに難しいかを知った。


 それだけで、もう十分すごいことだった。


 結局、律は私をアンカーとして、瑠とダブルボランチで組ませた。321で1に私を置くという。


 最初聞いた時は、「正気か?」と思った。

 瑠の方が露骨に「正気か?」顔をしていた。


「いや、絶対それ、フォロー地獄なんだけど」

「だから、お前が走るんだよ」

「最悪じゃん」

 瑠は思い切りベンチを蹴った。


「おーい。お前が怪我したら試合になんねーぞ」

 律は楽しそうだった。


 なんなんだ、あいつ!

 たぶん、初めて瑠と気が合った。


 実際に組み始めると、案の定イライラする瑠から、睨まれながら、怒鳴られながら練習をすることになる。


律は「鈴!余計な動きはするな!」

瑠には「動け!もっとスペース見て走れ!」と正反対の指示を出すもんだから、なおさらだ。


ただ、瑠の表情と位置が分かるようにはなっていた。

(怒ってんなー)

(あ、この辺りで止めておくと、瑠はハサミにくる)


 次、どこにいるか、なんとなく予測できる。

 あのマーカー練習のおかげだ。


 瑠のトラップ方向を見る。

 体の向きで次を読む。

 ワンタッチで出せる位置へ先回りする。


 もちろん、全部が上手くいくわけじゃない。


 でも、最初の頃みたいに「どこにいるのか分からない」闇雲にパスを出すことはなくなった。


 瑠の言葉が、指示3割、罵倒7割になってきた気がする。


いよいよ、リーグ戦開幕だ。

結局、明日は7人で戦うことになった。でも、それを理由に負けたくない。


「明日からリーグ開幕です。」と、ドラゴンマスクにDMを送るかどうか迷った。知ってるんだろうな。でも、今まで世話になったから「観に来て欲しい」気持ちと「観てほしくはない」授業参観の生徒のような感じだ。試合前日には炭水化物を食べて、アルコールはとらずに、しっかり寝る。これもドラゴンマスクの助言だ。当日の朝は、しっかりと計画的に水を入れる。

 結局、iPadを開いたまま寝落ちして、明け方にDMを送った。「やるだけやる」と。


 相手チームのアップを見ながら、私は小さく「いやだな」と漏らした。


 相手のタレントは、若くて、背が高くて、速そうだった。


「何?」瑠が聞く。

「マッチアップの子が、若くて速そう」


 すると瑠は、ちらっと相手を見て言った。

「幅で勝ってるじゃん。壁になるでしょ」


 むかつくなー。

 でも、励まし方が瑠だ。

 確かに、身軽な相手はスピードがある。

 でも、スピードさえ殺せば勝負にはなる。


 身体をボールとの間に入れるだけで、軽く跳んでしまうタイプだ。体幹は、多分、私の方が強い。


 それに。


 瑠と組んで練習してきた。

 あの速さと重さに比べたら、まだ人類だ。

 

 さあ、試合が始まる。


Go for it!

やるしかない。


                   明日につづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ