表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わっても、私はあなたの幸せを心から願う  作者: Kouei


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/17

第3話 私の前世は黒い犬 2

 ここはコンラッド侯爵家の離れ。

 本邸にはコンラッド当主であるアーティーのお父さんと愛人のバロッサそして息子でありアーティーの異母弟おとうとのガルベスが住んでいる。アーティーとは数か月しか年が違わないとか。……最低。


 アーティーのお母さんが亡くなったら、アーティーをこの離れに追いやって平民だった愛人と息子を連れて来たらしい。


 今ここにいるのは、アーティーのお母さんの実家からついてきた侍女ノーラ。亡くなった先代当主に仕えていた使用人のトムと料理人のレイ。

 そしてアーティーの4人だけだった。

 

 トムは元護衛騎士をしていて、レイは優秀な執事だったらしい。

 アーティーが追い出されると3人がついてきてくれたようだ。


 

「ルナ、ここから先へは行ってはいけないよ? 約束な?」


 アーティーと庭で遊んでいると、ボロボロになった柵の傍まで来た。

 すると、私を抱き上げてそう言った。

 

「ワン!」

(うんっ)


 なんでか分からないけれど、アーティーがダメというなら私は行かないよ。


 そう約束したのに……


 ある日夢中になって蝶を追いかけていた私は、ボロボロの柵の扉をすり抜け、大きいお屋敷の方へ向かっていた事に気づかなかった。



 そこには…庭にあるテーブルを囲むように人がいた。

 アーティーと同じ髪色のおじさん…あの人が…アーティーのお父さん?


 その隣にいる赤い髪のおばさんが愛人のバロッサってヤツ?

 そしておばさんの隣にいる赤毛の男の子。

 あれが…アーティーの異母弟おとうとっていうガルベス?

 ふんっ! アーティーの方がずっとずっとず―――――――――っと! かわいいじゃん!!


「ル、ルナっ こっちに来ちゃだめだよっ」


 アーティーが慌てて走って来て、私を抱き上げた。

 その気配に気づいたおじさんが、こちらを見てやって来た。


「こんなところで何をしている」


「…も、申し訳ありません…父上…」


(アーティーの声が震えている。このおじさんがアーティーを怖がらせているんだ!)


「ウウウゥゥ~…ッ」


 私はおじさんに向かってうなり声を上げる。


「まあ、この犬! 旦那様を威嚇しているわっ」

 おじさんに続いてバロッサとガルベスもやって来た。


「ウウウゥ~ッッ」

(うるさいっ 愛人!)


「だ、だめだよっ ルナっ」


 アーティーが私をいさめる。


(どうして? アーティーを怖がらせる人間は許せないよ!)


「…その犬を捨ててきなさい、アラン」


「え…っ い、いやです…っ ルナは僕の友達です!」


「友達?! 人間の友達がいないから動物を友達にするなんてっ 気持ちわりぃ~ッ」


「ワンッ ワワワン!」

(こいつ! アーティーをバカにした! 許せん!)


「わあっ!」


 ガルベスが慌てて、おじさんの後ろに隠れた。

 ふんっ 弱虫!


「だ、だめだよっ ルナ!」


 アーティーは腕から飛び出しそうな勢いで吠える私を、必死で抑えている。


「父上っ 申し訳ありません! ここに連れて来た僕が悪いんです! どうかお許し下さい!」


 膝を付き、頭を下げておじさんにお願いしているアーティー。


「…チッ…場所を変えよう」


 おじさんが席を立つと、おばさんがニヤニヤ笑いながらその後を付いていく。ガルベスがテーブルに飾ってあった花瓶を取ると、その中身をアーティーの頭にかけた。



 バシャバシャッ



「……っ」


 アーティーは濡れたままじっとしている。


「アーウン!」

(アーティー!)


 アーティーの髪はびしょ濡れになっている。

 ついでに私も…


「ワワワン!」

(こいつ! アーティーに何すんのよ!)


「な、なんだよっ こいつ!」


 ガルベスが後ずさりをする。


「ダメだっ ルナ! 静かにしてっ」


 アーティーが、ぎゅっと私の身体を抱き締める。

 その時、気が付いた。

 私が吠えるとアーティーに迷惑がかかる事を。


「…クゥ…ン…」


 私はアーティーの腕の中でじっとした。


「そ、そうだよっ! おとなしくしてろっ 僕を怒ったら父上に言いつけるからな! 父上が大事なのは僕の母上と僕なんだからっ あはははっ!」


 耳障りな笑い声を上げながら、ガルベスはおじさんとおばさんの後を追いかけた。


「大丈夫かい? ルナ」


 びしょ濡れになっているのに、アーティーは私の事を気遣ってくれた。


「クゥン…クゥン…」

(アーティーっ ごめんなさいっごめんなさいごめんなさい!)


 私は濡れたアーティーの顔を舐めた。


「ふふ、僕は大丈夫だよ。ルナっ おまえまで濡れちゃったねっ」


 どうしてアーティーがこんな目に遭わなくちゃいけないの?!

 私はさっきの人間たちの喉笛に、おもいきり食らいついてやりたかった!


 でも…私が怒ると大好きなアーティーが辛い思いをする。

 だから…我慢するしかなかった… 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ