ラプラスになるまでのお話
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「お父さん行ってきます。」
「ああ、行ってらっしゃい。」
愛する娘を見送っていた男の名はサーズ・リールという。
サーズは共和国の優れた科学者だ。
「あなたもそろそろ職場に行かなくていいの?」
「ああ、大丈夫だ。いつもありがとう、エハ。」
エハはサーズの愛する妻だ。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「いってらっしゃい。」
サーズは共和国立研究所に向かって行った。
サーズは研究所に居る研究者の中で、一番優れていると言われている存在だ。
歳を若くして、研究所ない最高補と言われているため、周囲から妬みや嫉妬などがあった。
心で感じるだけでとどまらず、行動にしてサーズに嫌がらせを行ってくる者もいた。
しかし、サーズにしては些細な問題だった。
自身の愛する家族さえいれば別にどうだっていい、それがサーズという男だった。
どんな嫌がらせを行っても顔色一つ変えることがないサーズを見て嫌がらせをしていた人間らは更に恨みや嫉妬の念を強めていった。
しかし、彼らにも最低限度の倫理観はある。
過剰なことをしすぎれば流石に自分の研究者としての地位が消えるかも知れないからだ。
そのため、この件は誰も問題にしていなかった。
「やはりあいつが気に食わない。俺の研究者としての人生を食ったんだあいつは。」
しかし、サーズが次々に成果を出していくため、同じ分野を研究してたものとしては自身の存在意義を奪われたようなものだった。
「許せない、許せない。あいつさえいなければ。」
次第に嫉妬や恨みを覚える人が増えていった。
「あいつさえいなければ。」
「あいつさえいなければ。」
しかしサーズは何をしても顔色一つ変えなかった。
「何なんだあいつは。」
「あいつさえいなければ。あいつさえいなければ。」
どんどんと積もってゆく恨みは晴らすところを失っていた。
その結果、標的が変わってしまった。
「ならばあいつの家族を。」




