しっぱい
ベッドから抜け出し、姉弟子に毛布をかける。
ないとは思うけど、風邪引いたら、治せばいいか。 …けど風邪は引かないにかぎるしな。
姉弟子に毛布をかけ、椅子に腰を下ろし、頭を抱え、ふぅー、と息を吐き出す。
「……やらかしたァ……!! 」
やらかした。 マジでやらかした!
珍しく自分から人の好意に気が付いたと思ったらこれだよォ!!
向けられてるものが好意だと気が付くとドンドンその人のいい所に目が向いて好きになる自らのチョロさがキライ!
そして腹を括って自分から告白しようと思ったらこの脈絡のないゴリ押しだよ! 姉弟子困惑してたわ!! 俺でも困惑する!
無駄に一回、戻って来なかったら時間を置こうとかチキンになるからこうなるんだよなァ!?
「……クソザコ恋愛弱者。 俺も人の事言えねーな。」
まぁ、いいや。 思いも伝えれたし、大事にしよう。
んあ? 誰か家に来るな、しかも魔術とか使わない”素の身体能力”で。
こんなバケモン身体能力、知り合いに居ねぇ、はず、だよな?
身体能力。 高くても、それは魔力や気での強化ありきだしなぁ。 こんな一切の強化なしに──
”一度の跳躍で5.000kmの距離を跳ぶ”
──ヤツ。 多分おらんよなぁ…? 出来そうな人は軒並み家に居るし、後はおばあちゃんくらいだけど、普通に日本に居るしな、いま感知してるの、外国からだし……?
ふーむ、今の時間帯に、明確な意識を持った、用事が俺ん家にある、敵意や恨みではなく。
・・・? マジで分からん。
「んー、あと六秒で家の結界にぶち当たるな。」
理由の分からない訪問って、中々怖いもんなんだな、と思いましたまる。
「さて、おで迎えに出るか。 」
結界ぶち破ろうとされても迷惑だし。
下ろしていた髪を適当に纏め上げ、空を見上げた。
見上げて、 ああ、知り合いじゃないけど、見覚えはある人だな、と納得した。
見上げる程の高身長の女性、一見メイド服にもシスター服にも見える黒一色の服に身を包み、打ち覆いを顔に掛けている。
その身に宿る力は人外のソレ、人類のバクと称していい身体能力を誇る、打首師。
姉弟子が召使いを自称? している人だ、俺は普通に姉弟子の友人だと思っている。
ちなみに俺は喋った事がない。
「え、と。 お久しぶりです? 」
「…………」
や、やべぇ。 きまじい…… 姉弟子起こして来ればよかった。
「…………………久しい。 弟弟子くん。」
しゃ、喋ったァァァ!!!??
なんて叫びたくなる口を抑え、なんとなく誰に用事か、は察してるため、それを聞くことにする。
「姉弟子、に用事。 ですよ、ね? 」
「……はい。」
あ、これ。 姉弟子なんも言わずに自分の体を守ってくれてたこの人になんも言わずに戻って来たな?
「今から呼んできますね。」
「……いえ、弟弟子くんの傍なら、安心できる、…わ。 今日の所は帰るとします。 主の部屋を利用されない為に、”痕跡を消す”必要もあるので。」
あ、スー。 これはァ
「───主には、部屋の物全て持ってくる、そう伝えて下さい。 」
「あ、はい。」
「では、一応。 主の……メイド、従、…召使いですかね、として雇って下さいますか。 旦那様」
「……女性って、鋭いですよねー、ハイ。 じゃあ姉弟子をよろしくお願いしますね? アフィス・プシスナさん。」
無表情でコクリと頷くプシスナさん、そして数秒の静寂後にプシスナさんがいい事思い付いた、そう言わんばかりの雰囲気を纏い、口を開く。
なんだか、凄い怨みが感じられた、女性は怒らせるべきじゃないな、そう思いました。




