見知らぬ人
ロンに連れられて着いた先は、王都の外れにひっそりと佇む、立派な邸宅だった。
「こちらへ」
案内されるまま門をくぐると、手入れの行き届いた庭と、重厚な造りの建物が視界に広がる。ゲンとアジェーナは、思わず顔を見合わせた。
「おい、ここは……」
「とりあえずこちらでお過ごし下さい。詳しいことは、また明日」
ロンは静かにそう告げると、屋敷の奥に去って行った。あたりは使用人らしき者たちが恭しく出迎え、二人は客間へと通される。
「あの…うちの孫のことは…」
アジェーナが使用人に尋ねても、こちらにお通しするように、としか伝えられていないと柔らかく微笑むだけだった。
残された二人は、豪華な客間の中で、落ち着かない気持ちのまま豪華なソファに腰を下ろした。
「一体、何がどうなっているんだか……」
ゲンが低く呟く。アジェーナも、不安げな表情を隠せずにいた。
「シャンティは、大丈夫かしら…ちゃんとごはん食べれてるかしら…」
「ふぅ…ロンとやらを信じるしかないだろう。今の俺たちには、他にできることもない」
そう言いながらも、ゲンの声には隠しきれない焦りが滲んでいた。
用意された夕食にも、あまり手をつけることができないまま、その日は静かに更けていった。慣れない寝台に横になっても、二人ともなかなか寝付けず、何度も寝返りを打ちながら夜を過ごした。
翌朝、朝食を終えたころ、屋敷の中がにわかに慌ただしくなった。使用人たちが忙しなく行き交い、玄関の方から、馬車の停まる音が聞こえてくる。
「どうやら、お越しになったようです」
部屋に顔を出したロンが、そう告げた。ゲンとアジェーナは、緊張した面持ちで立ち上がる。
しばらくして、客間の扉が静かに開かれた。
入ってきたのは、旅装束に身を包んだ、精悍な顔立ちの男だった。落ち着いた佇まいの中に、只者ではない気配が漂っている。
その顔を見た瞬間、アジェーナが小さく息を呑んだ。
「あなたは……!」




