嵐の前
しばらく波打ち際で遊んでいると、太陽はすっかりあがり、もうお昼になっていた。三人は思い出したかのようにお昼ごはんを食べようと、近くの食堂へと足を向けた。
案内された席に着くと、店主が次々と料理を運んでくる。この地方特有だという料理の数々がメニューに広がり、それらはシャンティにとっては初めて目にするものばかりだった。
「これ、何のお魚だろう」
「さあな。だが、旨いことだけは確かだ」
ゲンが豪快に頬張りながら答える。シャンティも見様見真似で料理を口に運び、その度に目を輝かせていた。
新しい料理に舌鼓をうった三人は、満足した様子で、ひと休みしよう、と宿を目指すことにした。
外に出ると、通りの向こうから、何やら荒っぽい声が聞こえてきた。
「――おい、あそこ見ろ!!」
「ん?」
二人組の男が、こちらを指差しながら何かを言い合っている。喧嘩でもしているのか、とシャンティは思ったが、次の瞬間、片方の男の視線が、まっすぐにこちらへと向けられた。
「見ろ、あの女だ!」
言うが早いか、男の一人が、もう一人に向かって声を張り上げながらシャンティに飛びかかる。
「シャンティ、逃げ――」
ゲンが叫ぶより早く、男の一人がシャンティの体にのしかかる。
「な――」
伸びてきた手が、あっという間にシャンティの眼鏡を掴み取り、次の瞬間、無情にも顔から眼鏡が引き剥がされていた。




