報奨金
どこまでも澄んだ海が広がる港町バリフの浜辺、その岩陰に、二人の男が並んで腰を下ろしていた。
穏やかな波の音、優しい潮風の心地よさには似つかわしくないその男たちは、しわくちゃの新聞紙をひろげながら、何やら興奮気味に話している。
「――で、どうやって見つけ出すかだよな」
「目を隠す方法なんざ、いくらでもある。眼帯でも、眼鏡でも、包帯でも。怪我人のふりでもすりゃ、誰も怪しまねえだろうしな」
「そりゃそうだな」
「だったら話は単純だ。目を覆ってるやつを、片っ端からひん剥いていきゃあ、そのうち見つかるだろうよ」
物騒な提案に、もう一人の男もにやりと笑って頷いた。
二人は昨夜、裏カジノで有り金をほとんどすってしまったばかりだった。泊まるところもなく、次の仕事の当てもない。そんな時に目にしたのが、落ちていたこの新聞記事だった。
「報奨金、結構な額だぞ。これが本当なら、一発逆転じゃねえか」
「ああ。しかも、あちこちで噂になってるってことは、まだ誰も見つけちゃいねえってことだろう」
「まちがいねぇ!」
二人は下卑た笑みを交わし、簡単に金が手に入りそうなこの状況に浮き足立っていた。
美しい海を背にしながら、二人はもう金を手にしたかのように笑いが止まらなかった。
「この辺りにも、よそ者は結構来てるみたいだしな」
「港町だ、当然だろう。旅人の中に紛れ込んでる可能性は十分ある」
まさか自分たちが今いるこの港町バリフに、当の本人が――しかも、探している側と同じタイミングで降り立っていようとは、二人はまだ知る由もなかった。
「とりあえず、街中をシラミ潰しに当たってみるか」
「それだな!」
男たちは立ち上がり、早速この街一番の繁華街へ向かって歩き出したのだった。




