↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大魔法使いは紫色の瞳に恋に堕ちる  作者: ゆうもみじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/55

重なったもの

店を訪れたのは、それから十日後のことだった。


「注文の品の受け取りに…」


「お待ちしてました!」


カウンターに並べられた品々を一つひとつ確認しながら、自然と頬が緩むのを感じていた。たった数回の立ち寄りだったが、顔を合わせるたびに、二人の間の空気は、少しずつ和らいでいっている気がした。


「本当に、いつも助かってる」


「いえ、こちらこそ、お仕事を任せていただけて」


品物を受け取り終えたところで、ナッシュは少し言いよどんでから、続けた。


「それから…」


「はい?」


「実は、聞きたいことがあって来た」


「聞きたいこと、ですか?」


「今度の週末、街でラベンダー祭りがあるだろう。もし予定が空いていたら…」

「――一緒に、行かないか」


その一言に、シャンティは息を呑んだ。何度かのの立ち寄りとはいえ、どれも短いやり取りに過ぎなかった。それでも、顔を合わせるたびに少しづつ積み重なっていったもの、少しづつ近づいていたものが、今この瞬間に実感できた。


「いいん…ですか…?」


「もちろん、迷惑でなければ」


「迷惑だなんて……!」


思わず強く否定してしまってから、シャンティは少し恥ずかしくなって俯いてしまった。それでも、心臓は信じられないくらいの嬉しさで早鐘を打っていた。


「はい、ぜひ!」


その返事に、ナッシュの表情がぱっと明るくなる。


「良かった。じゃあ、この前のベンチで、昼の十二時でどうだ」


「はい、大丈夫です」


ふと見上げると、これまで見せたことがないような、素敵な笑顔を浮かべていた。


「楽しみにしてる」


「私も、楽しみにしてます」


「それじゃあ、また週末に」


「はい。また週末に…」


店を出ていく背中を見送りながら、シャンティは扉に手をかけたまま、しばらくの間、信じられない気持ちを抑えきれず、その場に立ち尽くしていた。


週末までの数日間が、これほど待ち遠しく感じられるとは、思ってもみなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。