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約束
(ずっとこのまま歩いていられたらいいのに)
繋いだ手のひらの温もりを感じながら、シャンティは密かにそう思っていた。もう少しだけ、あと少しだけと願う気持ちとは裏腹に、時間は容赦なく過ぎていく。
「着いたな」
指先から伝わっていた温もりが離れていく瞬間、胸の奥にちいさな寂しさが広がる。
シャンティは小さく頷き、家の扉に手をかけた。このまま扉を開けてしまえば、今日という特別な一日が本当に終わってしまう。そう思うと、扉にかけた手が、なかなか動いてくれなかった。
「来週にでも.…」
ふいに聞こえた言葉に、うれしさを抑えながらあわてて振り返る。
「母専用のものを頼みに寄らせてもらってもいいか」
その一言に、シャンティの胸が小さく跳ねた。
「はい、もちろんです。お好みなど、伺えたら助かります」
努めて平静な声を出したつもりだったが、語尾が少しだけ弾んでしまっているのが、自分でも分かった。
「今日はありがとう、じゃ来週に」
軽く手をあげて去っていく、その姿が完全に見えなくなるまで、視線を離すことができなかった。
(来週…また会えるんだ)
さっきまでの嬉しい気持ちがよみがえり、ほころぶ顔をとめられないまま、扉に手をのばす。




