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大魔法使いは紫色の瞳に恋に堕ちる  作者: ゆうもみじ


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自分のために

朝、身支度を整えながら、ナッシュは引き出しから例の小瓶を取り出した。


(これは……思っていた以上にいいな)


あれから一週間、最近では毎朝のルーティーンになったハンドクリームを塗りながら香りを楽しんでいた。


(そういえば、母上も最近手が荒れてるとぼやいていたな)


ふとそんなことを考えながら、身支度を終え、仕事場へと向かった。


別に、また会いたいから行くわけじゃない。母上のためだ。

またも言い訳のような気持ちを何度も抑えながら、気づけばまた夕日の街を鍛冶屋にむかって歩いていた。


「おう、また来たか。今日はどうした」


声をかけられて初めて気づく、いつもより数段早足であるいていたことに。


「ハンドクリームを、追加でいくつか分けてもらえないかと思って」


「シャンティのやつか。ああ、あんたにやったやつは、シャンティがあんたのために作ったもんだから、ここには置いてないなぁ」


「え……」


「もしすぐに必要なら、あの子が帰ってきたら詰所まで届けさせるけど?」


「……いや、そこまでしてもらわなくても」


自分のために…その事実があまりにも嬉しくて色々考えてきた言い訳がすべて飛んでしまった。


「そう……、で…は、母への贈り物として、何か別のものを見繕ってもらえますか」


「あれが気に入ったんだろう?急ぎじゃないんだったら、また別の日に来たらどうだい?」


(そうか、それがあった。いやありがたい)


「…ではまた、別の日に伺います。」


「ああ、シャンティには言っとくから。」


軽くお辞儀をしながら店を出る。会えなかったことよりも、また次に来る理由ができたことに心をなでおろしたのだった。



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