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大魔法使いは紫色の瞳に恋に堕ちる  作者: ゆうもみじ


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母の勘

邸に戻ったナッシュは、自室に入るなり小瓶を袋から出し、手に取って眺めていた。

蓋をあけると、何とも言えない香りが部屋に広がる。夕食の時間を前に香りを味わっていた。


夕食の席では、珍しく家族全員が揃っていた。


「そういえばナッシュ、今日は随分と機嫌が良さそうね」


開口一番、やはり母の勘は相変わらず鋭い。


「……別に、いつも通りですが」


「今日は街の方に用事があったの?」


ちらりと周りを見渡しても、父や兄上たちは我関せず、誰も助ける気はさらさらない。


「短剣の受け取りに」


「あら、そうなの。どこの鍛冶屋さん?」


「……ゲンさんという方の店です」


「それで、何か他にも買い物をしたの?」


ふと見ると上の兄グランは母につかまっている弟を見てにやにやしている、わかってはいるが相変わらず…いやいつも通りの兄上だ。


「いえ、特には」


そう、嘘ではない。買ったわけではなく、貰ったのだから。


「あらそう?ーーーまあ、いいわ。」


「でもあなた今日、袖口から何かいい香りがするわよ?」


母からの攻撃が、ようやく終わったと思って、パンに手を伸ばそうと油断していた。


「……気のせいでは」


悪いことをしているわけではないのに、何か言い訳のようになってしまう。


「あら、そうかしら」


納得いかない様子の母の横では、グランがいつも通りと言わんばかりに軽く笑っていた。


夕食後、部屋に戻ると、小瓶の蓋がわずかに緩んでいたらしく、ほのかな薬草の香りが辺りに漂っていた。


(これのせいか……)


瓶を丁寧に閉め直しながら、ナッシュはふと口元を緩めた。

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