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優しい感覚
その日の夕方、配達を終えて店に戻ると、シャンティはいつもより疲れている自分に気づいた。
「……ふぅ。」
カトラリーを並べていたアジェーナが何気なしに聞く
「どうした、随分と疲れた顔してるね」
今日の興奮が冷めやらないことをさとられないよう、あわてて返事をする。
「ん?なんでもないよ」
「なんでもない顔には見えなかったけどな」
工房から帰ってきたゲン爺も椅子に座りながらつぶやく。
(また会えるなんて、……)
薬草の話をしている時、いつも通りに夢中になって喋ってしまった。
(引かれてなかったかな……)
「今度、詳しく聞かせてもらってもいいか」
そう言われた時のことを思い出すと、また頬が熱くなってくる。
「シャンティ、夕飯の支度、手伝ってちょうだい」
「あ、はーい」
(短剣を買いに来てたみたい…)
それはつまり、彼がまたここに来るということ。そう考えた瞬間、胸の奥がふわりと軽くなるような感覚があって、シャンティは自分でも戸惑うほど、その日が待ち遠しく思えてしまっていた。
(変なの……いつもならこんなこと考えないのに)
夕食の下ごしらえをしながらも、心に生まれた優しい不思議な感覚が、何かを考えているのだった。




