自慢の薬草茶
「――で、柄の握りはこれくらいの太さでいいか」
「ちょうどいいと思います、ただ強度はそのままでもう少し軽い素材があれば」
「ふん、あんたは自分の癖をよくわかってるんだな。よしわかった。あと刃の長さは今のと同じくらいでいいか」
注文の詳細を詰めていく間、ついシャンティが去っていった扉の方を見てしまう。
それに気づいたのか気づかないのか、ゲン爺が大きな声をあげる
「シャンティ!悪いがお茶持って来てくれるか。恩人さんにもな」
しばらくすると香草の香りが漂ってくる。先ほどのドアの方からだ。
少し緊張しているかのようなシャンティがゆっくりとお茶を運んできた。
「あの、オリジナルなのでお口にあうといいのですが…」
「ありがとう」
初めての味わいに顔がほころんでしまう。それを誤魔化すかのように口をひらく
「そういえば、あの後、怪我はなかったか」
「はい、どこも…大丈夫です!本当にありがとうございました」
軽く頷くと、シャンティは微笑んだ。
薬草茶をさらに一口すすり、あまりの美味しさについ尋ねてみたくなった。
「薬草の扱いに詳しいようだが…」
「はい。おばあちゃんに教わったり本を読んだり…小さい頃からずっと…」
「あ、これは傷薬に使う葉っぱで、こっちは熱冷ましに。組み合わせ方次第で効果も変わってくるんです」
「詳しいんだな」
「趣味みたいなものなので……つい夢中になっちゃって」
少し赤ら顔になり目線をそらす姿に見入ってしまう
「魔物討伐の後、部下たちがよく傷を負ってくる。今度、そちらの薬も見せてもらっていいか」
「え? あ、もちろんです。ポーションもいくつか置いてるので」
少し誇らしげに微笑んでいるその姿をついつい仰視してしまう。
「シャンティ、ありがとな。そろそろ配達の準備だろ」
「ん。……あ!すみません、お客様の前で長々と」
「いや、興味深い話だった。また今度、詳しく聞かせてもらってもいいか」
「え? あ、もちろんです」
「短剣、仕上がりは十日後だ」
「よろしくお願いします」
答えながらも、頭の中では、十日後という言葉が違う約束に聞こえてしまっていた。




